この春から、自分らしい色にスイッチしよう!
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記事:江原英男(ライディング・ゼミ平日コース)
「グレーもええな、どう?」
隣で、70才くらいのおじいさんが鏡を見ながら
娘さんにそう言った。
「紺もええかな?」
おじいさんは、再び娘さんに尋ねた。
ここは、ユニクロ。
娘さんと奥さんを動員して、新しく買う服を相談をしているようす。
おじいさんは、かなり迷っていた。
「グレーも、紺も、そう変わらんよ」
僕もおじいさんと同じようなグレーのジャケットを羽織りながら、心の中でつぶやいた。
おじいさんが、鏡を見ながらポロッとこぼした言葉が、耳に残った。
「この色、家のジーパンに合うかな」
「似たような色、家にもあったかなぁ」
自分に似合う色を探しているというより、
すでに持っている服との組み合わせを考えて、
失敗しない無難に見えるコーディネイトを探しているように思えた。
外国の人は、カラフルな服を着ているイメージがある。
自分の個性を活かした色を着ていると思う。
最近、日本で良く見かける中国の人の洋服も
カラフルなものが多いことを思い出す。
無難な色選びは、肌の色のせいだけではないかも……。
今まで気づかなかったけど、無難な色の服を選択するって、
日本人に多い発想なのかもしれないと思った。
とくにユニクロは、日本人好みの無難な色が多そうに感じる。
だから、安心できるお店なのかも。
そう言えば、この無難な色を選ぶ発想は、車を買う時も同じかもれない。
日本車では、「白」が全体の30%を超えているらしい。
3人に1人は白を選んでいるということになる。
続いて多いのが「黒」、その次が「シルバー」。
「シルバー」というのは、服で言うと「グレー」かな。
ここユニクロの駐車場でもやはり白の車が多かった。
ベーシックな色は、飽きが来ない……という言い方もできるが、
やはり無難な色を選んでいるという考え方もできる。
日本人は、
好きな色を選びたいと本心では思っていても、
多くの人が、無難な色を選択してしまうのではないだろうか。
もしくは、好きな色を選ぶことを
諦めているのかもしれない。
「えっ? どうしたん? そんな色の服」とちょっと驚かれたり、
「それは、ないわ」と否定されたら、どうしよう……とか。
選ぶ前からすでに諦めてしまっている。
自分も含めて、そんな人は案外、多いかもしれない。
他人の目が気になっている。結局は、そういうところに行き着く。
隣のおじいさんも、もしかすると
ピンク色の服を着たい。
と本心ではそう思っているかもしれない。
ただ、それを娘さんに言ってしまうと、
「歳なんだし……似合わないから……止めとけば」と、
ダメだしされるから最初から選ばないだけかもしれない。
自分の好きな色の服を選ぶ。
たったそれだけのことなのに、
実は、相当な勇気が試される場なのかもしれない。そう思った。
好きな色を選ぶのは、リスクというマイナス面の怖さも確かにある。
白、黒、グレーの服の中に1枚だけピンクの服。
買ってはみたものの、うまく着こなせない可能性だってある。
カバンや靴もピンクに合わせて、買い足す必要がでてくるかもしれない。
車の場合のリスクは他にもあって、
白や黒の方が、中古車として高く売れるらしい。
ピンクの車と比較して、数倍売値が変わるかもしれないという、
金銭的な、リスクも存在するのだ。
今まで、勇気とリスクのバランスを考えながらも、最後にはリスクを優先し、
無難な選択ばかりを選んで来なかったか……。
過去の自分に問いたくなった。
それを考えると、あの人はどうだ?
全身ピンクの林家ペー!
無難を避け、自分の好きを貫いているではないか。
かなり日本人離れしている。
「林家ペーさん、すごい!」
呼び捨てにするわけにはいかないレベルだ。
上から下までピンクで身を固めることを決意した時、
どんな気持ちだったのだろう。
ぺーさんの武勇伝を聞いてみたくなった。
僕ら、ペーさんほどの勇気がなくても、
自分がほんとうに着たいと思う色を1つ選ぶところから始めればいいと思う。
そこからいろんなことが変わる気がする。
「無難を脱ぎ捨てよう」
好きな色の服を着て、好きな色の車を乗ればいい。
自分の一番の味方は、自分であればいい。
きっと、それだけのことだ。
この春から、自分らしい色にスイッチしてみようと思う。
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