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メディアグランプリ

消化試合な日が多いから、1年が一瞬で終わっちゃうし。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ふくい(ライディング・ゼミ平日コース)

 
 
「最近さ、呑んでみんなと別れてから、家に帰るまでの記憶がないんだよね。やばくない?」
 
展示会に行った帰り、ヘトヘトに疲れて同僚と飲みに行った時のこと。たまたま歳の近かった私たちは新橋駅前ビルの居酒屋で、30歳を目前にして、太りやすくなった、風邪が治りにくくなった、と話していた。
 
最近の私の悩みがこれ。
たいして酔っ払っていなくても、帰りの記憶がない。何度も言うけれど大して飲んでいなくても、お酒を飲んだ日はみんなと別れてから、ぷつりと記憶がなくなる。気がついたらお布団の中だ。翌朝は一旦、スマホのカメラロールとLINEの履歴を見て、何もなかったことを確認し、胸をなでおろす。あー、ダメ人間ですねー。
 
お酒は強くもないし弱くもないが、大好きだ。毎週末は酒場にお邪魔して、昼からやってしまうくらい。だから、困る。記憶がなくなるのは、すごく困る。 
 
「どうしたもんですかねぇ〜」と言いながら、私は、ビールを飲み干した。お気づきだろうが、お酒が関わると後悔はするけれど、反省はしないし学習もしない。
困った困ったと言いつつお酒は控えない。悪い癖だ。なおす気は無いけど。
 
帰り道の記憶がない飲み会の回数を数えていたら、ふいに、忘年会で話したことを思い出した。2人ともどう思う? と言いながらその時のことを話し出す。
 
「最近毎日が過ぎるの早すぎて、1年間の記憶ないよね。飲んでなくても、帰り道の記憶なんてほとんどないわ」
去年の年末の飲み会では、1年が早く感じるのはなぜかという“あるある”なテーマについて語り合った。それぞれの1年のスピードと濃度、過ごし方。だいたい、1年早すぎたね、と言いつつ色々話す。けれど、結局みんなが口を揃えていうのは、毎日が代わり映えしなくて面白くないから記憶に残らず、1年が早く感じたのではないか、ということだった。別にのんびりしてようが、忙しかろうが関係ない。ルーティンかどうか、新しい刺激があったかが大切なようだった
 
刺激がないと、新しい何かをはじめないと、毎日を大切にしないと。
1年のうちに記憶にないルーティンだった日のことを“消化試合”と呼んで、来年こそはと、消化試合を減らすためのアレコレが話し合われる。はたから見ればちょっと面倒くさい奴らに見えるかもしれないが、酔っ払いにとってこういう取り止めもない話が良いツマミだったりするのだ。
通勤で使う電車を変える、散歩をする、外でご飯を食べる。いろんな案が出たけれど、あまりピンとこなかった。そして最後は各々の努力を誓い、次に会うまでの楽しみにした。
 
ちょっと酔っ払い気味の私の話を聞いて、一緒に飲んでいた先輩は「確かに1年が過ぎるのが早い、消化試合な日もある」と、うなづいてくれた。ただ、ちょっと不思議だった。だって、新しい業務を手がけることが多かったから。彼はきっと新しい毎日を過ごしていて、私より長く濃い1年を過ごしていることだろうと思っていた。
 
「先輩は新しい仕事をたくさん担当しているのに、なんで消化試合なんですか?」
「…新しいことに出会うのが、もはやルーティンの一つなんだよ」
 
職場でミスターストイックと呼ばれる先輩らしい、答えだった。私にはなかった考え方だった。新鮮さも薄れていくとか、そんな話もしていたが、適当に返事をしてあまり聞いてなかった。
私もそんな風に言ってみたいわ。いつもコイツ良いこと言うじゃん。と内心興奮していたのだ。
 
帰りの電車で考える。なんでもない毎日に何か新しいを埋め込んでいくって、1年のはっきりとした記憶に残らないかもしれないけれどカッコイイ気がする。新しいことが当たり前の生活だ。毎日成長できるということかな。
いや、逆に今のルーティンの中にも新しい何かが隠れているのか?
もしかして、消化試合こそが新しい日々なの? 
 
答えは出なかった。ただ、次の飲み会で言えるのは「文章を書き続ければ、何かが見えてくる気がする」ということかなぁ。文章を書くと、日常を新しい何かに変えられる気がする。しばらく続けてみよう。もしかしたら、消化試合が減っていくかもしれないし。
 
酔っ払いながら、そんなことを考えた帰り道は3週間以上たった今でも覚えている。

 
 
***

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2018-05-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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