メディアグランプリ

幸せになるには、「さよなら」を自分から言わないといけない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:玉木裕子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「もう、これは病気やねん。助けて。お願い」
 
次の休みは、部屋片づけや!
物ありすぎやねん。
なんでそんなに散らかるん?
 
何回も、何百回も、何年も言われてきた。
自分でも、「本気出せば、できる」そう思っていた。
でも。
25歳を過ぎた頃に、薄々感じてきた。
やっても、やっても、片付けが終わらない。
一日、一週間、一年……。
 
いつか終わるのだろうか?
片付けが出来ないなんて、ダメな人間だ……。
そう思っていた。
友達が、断捨離の本をプレゼントしてくれたけど、実践できない。
いや、ごめんなさい。そもそも最後まで、まだ読めてないです。
どうしても自分で出来なくて、見かねた友達が、
面白半分で掃除をしに来てくれたこともあった。
ゴミ袋で13袋分ぐらい捨てることになって、部屋は、ホテルみたいに片付いた。
嬉しくて、そわそわして、気づいたら、部屋は、いつのまにか元通りなっていた。
 
「もう、これは病気やから、薬をちょうだい」
冗談めかして言うけれど、友達から帰ってくる言葉は「全部捨てたらいいねん」ばかり。
「捨ててやる!」そう思って片付けを初めても、なかなか進まない。
もう、誰も頼れない……。
私だって、最近流行りのミニマリストとか、整理整頓がきちんと出来ている、白が基調の部屋とかに住みたいのに。
なぜ、こんなことに陥っているかというと、とにかく物が多いのが原因で、それを減らせないせい。
せめて、これ以上増やさないように気を付けても、減らさなければ変わらない。
じゃあ、もういっそのこと引っ越して、0からまっさらな部屋で暮らしてやろうか!
この部屋が変われば、毎日の暮らしが、生活が、変わる気がする!
変わる気がするのに、手が付けられない。
なんでなんだろう……?
片付けた方が、圧倒的に気持ちが良いだろうに。
それなのに。
とにかく、触るもの、片付けようとするもの、その全てに「さよなら」が出来ない。
そもそも、「さよなら」を必ずしなくてはいけない訳ではないのだけれど、
断捨離界でよく聞く「ときめくか、ときめかないか」というワードに従うと、部屋にあるほとんどの物たちに、もう私は、ときめいてはいないであろうことに気付いた。
そんな物たちに囲まれる私の生活が、そりゃ、ときめかないものになってしまうのは、
当たり前な気がする。
この部屋から逃げて、着飾って外に出かけても、帰ってくる場所は、いつも淀んでいる。
根っこが腐って、どうしようもなくなった、ぎりぎり生きているような木と同じ。
どんなにライトを巻き付けて綺麗にイルミネーションしようとしても、
朝になると化けの皮がはがれてしまうような。
 
そんな積み重ねで、私の生活はつくられてきた気がする。
片付けられない部屋から、家族から、上手く行かない人間関係から逃げて。
着飾って出かけて。アクティブに見せかけて。
大切な根っこが、なにもしっかりしていない。
だから、9年も付き合っている彼氏とも、いまだに結婚もせず、別れることもせず、
「笑って過ごせること以上に幸せはないか」なんて、ちょっとごまかしながらも、貴重な20代の時間を費やしてしまった。
もう、こんな現状を一気に変えるには、「よし、ここは、ひと思いに彼を断捨離してやる!」と勢いにのってしまいそうになるけれど、「いやいやちょっと待てよ」と、
冷静な私がブレーキをかける。
 
目をつぶって、ぽいぽい物をゴミ袋に入れてしまうことは、友達が助けてくれた掃除のように、一時的に部屋も、気持ちも綺麗になるかもしれない。
けれど、そんなことをしても、また、部屋も気持ちも同じように散らかってしまうよう。
だって、自分できちんと決めていないから。「捨てる」か「捨てない」か。
「ときめく」か「ときめかない」か、を。
他人任せにして、向き合ってこなかったから。だから、部屋は、また散らかってしまった。
 
 
今の私がしなくてはいけないのは、「ときめかないもの」たちに、ちゃんと、向き合うこと。
情が出てきて、「さよなら」が出来なくなることをこらえて、「本当に」必要かどうかを考えること。
「こんなの、もういらない!」って、やけくそにならないこと。
「一気に変えよう」なんて、焦らないこと。
ひとつずつ、ちゃんと向き合って、「さよなら」に苦しむこと。
物も、その物を選んだ自分も、ひとつずつ、否定せずに、「ありがとう」と伝えること。
「捨てる」「捨てない」よりも、大切なこと。
そろそろ、いい加減、ちゃんとやらないと、私は本当に、本格的に、ごみ屋敷の住人になってしまう道を歩んでいく気がする……。
 
私は、変わりたい。
さよならをしたい。
今日までの私に。
「お前なんて、大嫌いだ!」
なんて言わずに。
ありがとう。と言って、ハグでもしてあげたい。
逃げていた「わたし」を卒業して、向き合える「わたし」になりたい。
帰ってきたくなるような部屋に、私の根っことなるような部屋にしたい。
そうなったら、彼とは、結婚するかもしれないし、お別れするかもしれないな。
どちらになったとしても、今の私よりは、断然良い感じになってるに決まってる。
決まっているなら、もうやるしかないよね、私。
 
別れを言うのは辛いけど、さよならは、自分から言おう。
そうしなくちゃ、物は、私からさよならしてくれない。
彼は、私の部屋がこのままだと、私を断捨離して、
「さよなら」を言ってくるかもしれないしね。
 
 
***

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2018-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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