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格闘技って相手と戦っているわけじゃない。相手は自分の心。


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記事:石毛大蔵(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「カーンッ!」とゴングが鳴った。
僕はディファ有明に設置されているリングの上に立っている。
 
相手との距離を測り、左ストレートを繰り出した。
相手も僕の攻撃に合わせパンチを放ってくる。
「結構、鋭いパンチを放ってくるな」と思った。
試合も中盤にさしかかり、僕は相手に組み付き、投げ倒した。
僕は相手に上から殴りかかった。
その瞬間、相手の足が僕の首に巻き付いて来た。
「三角締めをうまくかけられちゃったな。どうしよう。相手が寝技出来るって、聞いてねーぞ」
 
僕は総合格闘技の試合でリングに立っている。
総合格闘技はパンチ、キック、投げ、関節技ありの、ほぼなんでも有りに近い状況で試合をする格闘技だ。
 
試合は当たり前だが、相手を殴ったり、蹴ったり、タックルにいったり、
相手を攻撃しないと勝てない。
 
パンチ、キック、タックルなどの攻撃をするという行為。
 
見ている人にとってはとても簡単に見えるかもしれない。
 
でも技をかけるって、とても怖い。
 
自分の攻撃=相手の攻撃のチャンスでもある。
自分が攻撃をすることで相手に有利なポジションを取られたり
相手にカウンターのパンチをもらうかも知れない。
 
自分の心が恐怖に打ち勝った時に、初めて攻撃が出来る。
 
「パンチを放った瞬間にタックルが来て倒されちゃうかな? いや、勝つには最初にパンチを出して主導権を握ろう」
 
「組みついて、投げにようかな。でも膝蹴が喰らったらどうしよう。いや大丈夫だろ。組もう」
 
一瞬、一瞬で弱い自分の心と戦っている
 
試合って相手と戦っているように見えるけど
実は自分の弱い心と戦っている。
戦って、自分の心に勝った結果が、攻撃になる。
自分の心に打ち勝った時、勝利がグーンと近づいてくる。
 
ピンチな時に「参った」しようという弱い心に勝った時
チャンスが回ってくる。
 
「あっ、絞め技が入っちゃった。苦しい。参ったしようかな?」
僕は柔術の試合で相手に背後を取られて、絞められていた。
 
映像で確認すると、あまり長い時間ではなかったが、僕にはとても長い時間
絞められているように感じていた。
 
「このままいくと意識を失うし、苦しいし、参ったしようか? いや、ここはこのまま逃げる。相手は絞め技が効かないと見て、違う技に入ってくるはずだ」
 
案の定、相手は僕の首から、肘関節を極めようと、技を変化してきた。
会場に集まっている、みんなの前で意識を失うという恥をかく、ということは防げた。
しかし、私のピンチなことには変わりはない。
 
相手は私の曲がった肘を伸ばそうと必死に力を入れてくる。
「やばい、肘が伸びそう」
ここで僕の肘が伸びてしまうと負けてしまう。
「やだ、絶対に負けたくない」
 
私は少しずつ、肘をずらし、体を反転させつつ腕ひしぎ十字固めから逃げた。
相手も試合巧者なのでまたまた、背後を取って私の首を絞めようとしてきた。
今回はしっかり、相手の袖を持ち、絞め技を防ぐことが出来た。そこから体を反転させて絞め技から逃げることに成功した。
相手が下、僕が上。
状況がピンチから、チャンスに変わった。
 
冒頭の総合格闘技の話で僕は試合中に三角絞をかけられたが、この時、一瞬絞めがきつくて参ったしようとした。でもそれを我慢して外した時に相手の背後を取ることが出来、チャンスが訪れた。
 
ピンチな時に自分の諦めようとする弱い心に打ち勝つと、チャンスがやってくる。
 
試合中に自分自身に勝つには、日々の練習で試合のイメージを持って自分に打ち勝っていくしかない。
スパーリングで抑え込まれてキツイ時、試合だったらここで動かないと負けてしまう。
ここで逃げれば試合で勝てる。
トレーニングで、もうダメだと思った時、試合だったら体を動かさないと負けてしまう。
ここで体を動かせば勝てる。
 
練習で自分に勝てない人は試合でも自分に勝つことは出来ない。
 
僕は柔道と総合格闘技に打ち込んできたが
どんなスポーツだって、相手と戦っているように見えるけど
実は戦っているのは自分自身の心と戦っている。
 
敵は目の前にいる相手じゃない。
キツイ時に自分の心に勝ったやつが、表彰台のてっぺんに立っている。

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2018-05-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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