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ああ、全裸で寝ることの素晴らしさよ。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:大国沙織(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
一日のうち、少なくとも四分の一は裸で過ごしていると思う。
なぜなら、毎晩、全裸で寝ているからだ。
というと、人には「暑い時期だけでしょ?」とか、「下着ぐらいは着けるでしょ?」なんて言われたりするが、暑かろうが寒かろうが一年中、まさに生まれたままの一糸纏わぬ姿で、眠りについている。
そんな生活を続けて実に10年以上になるが、もういいことづくしである。
メリットしかない、と言い切れるほどだ。
全人類に、「今夜から裸で眠ろうじゃないか!」と声を大にして叫びたくてたまらない。
 
そもそも私が「裸眠」に目覚めたのは、花も恥じらう女子高生だったころ。
当時、いろいろなストレスから自律神経失調症になってしまい、一番悩まされた症状が、ひどい末端冷え性だった。
常に手足は氷のように冷え切っており、真夏でも靴下を重ね履きしないと寒くてたまらない。
冬はスカートが履けないので、学校に許可をもらって一人だけズボンで通学していたほどだ。
それでも足先などは痛いほどに冷えてしまって、感覚がなくなることもしょっちゅうだった。
ガリガリに痩せていて血圧も体温も低く、体温計が反応しないこともあった。
そんな健康状態だったので、部活も辞めざるを得なかった。
朝目覚めた瞬間からとにかく体調が悪くて、毎日心が死んだようだった。
私は、人生に絶望していた。
元気じゃないと、なにもできない。
今はやりたいことをやる気力もないけど、健康を取り戻して、毎日思いっきり生きたい。
 
受験勉強そっちのけで、健康関連本を片っ端から読み漁った。
冷え性に効きそうなことは、なんでも試したかった。
そんなときに出会ったのが、「裸眠健康法」だった。
当時、食事や生活全般の相談でお世話になっていた、東洋医学系の先生がいた。
根本から体質を改善したかった私は、その先生を質問責めにした。
「寝るときに一番理想的な睡眠環境はなんですか?」
私はてっきり、枕にこだわるとか、マットレスにこだわるとか、頭を向ける方角だとか、そういった睡眠環境に関する答えが返ってくると思っていた。
ところが先生の答えは、そのどれでもない、とてもシンプルなものだった。
「完全に裸で寝ることだよ」
私がきょとんとしていると、「昔から、極寒の地に暮らすエスキモーも、毛皮にくるまって全裸で寝ているんだよ」と付け加えた。
それでも不安だったので、私は正直に言った。
「でも先生、ご存知の通り、私ひどい冷え性で夜も眠れないぐらいなのですが……」
「衣服の締め付けがない方が、血液やリンパの流れがよくなって、あたたかく感じるんだよ。とにかく試してごらん。全裸が難しいなら、寝まきをゆったりしたものにするだけでもいいから」
 
信頼する先生がそこまで言うなら、やってみよう。
実際に本やネットで調べてみても、裸で寝ることは健康にいい、とする証言はたくさんあった。
私はちょっと安心し、早速全裸で寝てみることにした。
先生はああ言ってくれたし、寝まきを変えることから始めてみてもよかったけれど、とにかく一刻も早く元気になりたかった。
できるかぎり24時間の生活のすべてを、ベストに整えたかったのだ。
 
それまでの私は、誰もがパジャマと聞いてイメージするような、ごくごく一般的なパジャマで寝ていた。
さあ今日からは、裸で寝るのだ。
いざ布団に入ってみると、スウスウして変な感じ。
でも、シーツとタオルケットのサラッとした感触が直接肌に感じられて、ちょっと気持ちいいかも。
寝返りをして、背中が出ることもない。
ズボンの裾がめくり上がってくることもない。
うーんなるほど、これは快適だ。
そんなことをぼんやり考えながら眠りについた。
だが、朝目覚めると、軽い風邪を引いていた。
確か、秋から冬にかけての時期だった。
選んだ季節がまずかったか。
 
でもいろいろ調べてみると、最初は風邪を引くこともあるがだんだん慣れる、と書いてあった。
素直な私はそれを信じて、次の日からも全裸で寝続けた。
風邪はすぐ治ったし、気付けば嬉しい変化がいくつかあった。
末端の冷えが、前ほどに気にならなくなっていたのだ。
これまで味わったことのない、手足がじんわりポカポカしてくる感覚に、私は感動した。
冬は湯たんぽが必需品だったのに、なくてもぐっすり眠れるようになった。
悩みの種だったしもやけも、すっかり治ってしまった。
それだけではない。
なんと、腰痛や肩こりまで治ってしまったのだ。
整体の先生に聞いてみると、「裸で寝るとゆがみがとれるからね、僕も寝るときはそうだよ」と言われた。
こうやって結果が出ると嬉しいもので、食事療法や運動にもやる気になった。
おかげで、私はすっかり健康を取り戻すことができた。
そのきっかけとなってくれた裸眠には、感謝しかない。
 
一人暮らしをした京都の部屋は、壁が薄くて真冬は5℃ぐらいになったけれど、裸で寝ると全く寒くなかった。
私は、暖房代がかさむとこぼす友達に、せっせと裸眠をすすめた。
「そんなの寒くて無理だって!」
「だから、寒くなくなるんだってば」
という一連のやりとりを、一体何回繰り返したことだろうか。
 
裸眠は、経済的で環境にも優しい。
質のよい寝具を揃えたりするのはお金がかかるが、裸で寝るだけならタダでできる。
しかも、パジャマ代が浮く。
それまで年間におそらく1万円は寝まき代に費やしていたことを思うと、10年で10万円の節約だ。
衣類のゴミも出ない。
 
いろいろ試した健康法の中には、もう辞めてしまったものも沢山あるけれど、
裸で寝ることだけは、たぶん一生辞められない。
なぜなら、「気持ちよすぎる」からだ。
何せ、解放感が半端ない。
生きとし生けるものは皆、例外なく、裸で生まれてくる。
裸で寝ることはおそらく、毎日死んで、生まれ直すようなものだ。
生きているといろいろあるけれど、不思議と毎朝、まるで生まれ変わったような新鮮な気持ちで、目覚められるようになった。
こればっかりは実際に感じないとわからないと思うので、ぜひ体験してみてほしい。
きっと、その新境地に病みつきになるはずである。
 
ひとつだけ心配があるとすれば、寝ている間に火事や地震が起きたら、あるいは急な来客があったらどうしよう、ということだろう。
これに関しては、パッと着られる服を枕元に置いておけば安心だ。
それでは、快適な裸眠ライフを!

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2018-05-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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