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メディアグランプリ

職場のモラハラで自分を見失ったとき助けになったのが「書くこと」だった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:井上文江(ライティング・ゼミ朝コース)

 
 
朝起きて、ぼーっとした頭のままノートを広げる。
頭の中に浮かんだこと全てをノートに書き出していく。
 
「今日は昨日より少しあったかい感じがする。もう春っていうか、夏だよね。なんかあっという間に夏だなあ。さて、今日は何する日だっけ? あ、そうだ。昨日のパン残ってた。あとで食べよう。それで、今日は……」
 
といった感じで、
文章のまとまりや上手い下手関係なく、頭に浮かんだ言葉が消えないうちに素早く書いていく。だいたい30分ぐらいで大学ノート3ページを埋める。
これが私の朝の儀式だ。
 
独り言をノートに書いているような儀式。なんの意味があるのだろうかと思われるかもしれないが、これをするとまず心がスッキリする、そして頭の中にスペースができて今日1日のことを考えられるようになる。
 
この儀式を始めた頃、私は職場の女性上司からモラルハラスメント(以下モラハラ)をうけていた。6年半に及ぶ上司からのモラハラで私は心身共に疲弊していた。もう限界だと何度も感じたけれども、抜け出す気力すらなくなっていた。
 
モラハラはわかりにくいハラスメントだ。
上司はいつも、厳しい駄目出しの後に「あなたのためを思って言っているのよ」と言って私をなぐさめた。私はその言葉を信じて、叱咤激励してくれる上司の役に立てるように頑張ろうと思った。これは普通に上司と部下の間でありえることだと思う。
 
だけど、最初は仕事に関するアドバイスや注意だったのが、だんだん私の持ち物や洋服のセンスについても駄目出しをされるようになった。自分が良いと思って着ている服を「あなたに全然似合っていない」とか「その組み合わせはみっともない」などと言われると気になる。
もともとおしゃれには疎いほうだと思っていたのでどんどん自信がもてなくなっていった。
 
洋服の次には本質にかかわる駄目出し。
「親がサラリーマンだから駄目なんだ」とか「未熟な母親に育てられたから仕方ない」とか。「そんな性格じゃあどこに行っても駄目ね」とか。
 
言葉でのいじめのほか、時間外の電話やメールでの指示に即対応しないと叱られる状態に置かれた。仕事的には緊急性はほとんどないのだが、上司の気まぐれや思いつき、予定変更に対応するために休日や時間外に呼び出されることが当たり前のようになった。
 
最初のうちは悔しくて泣いたり、怒りを感じたりしていたが、何度も繰り返されるうちにだんだん無抵抗になっていった。
 
そんな私を救ったのが「書くこと」だった。
頭に浮かんだことをノート3ページ分書いていく朝の儀式。
 
その儀式はある本で『創造性を取り戻すワーク』として紹介されていた。
子どもの頃の私は、絵や作文や手芸など創作することが大好きだった。その本を見た時、そんな子供の頃のことを思い出した。今、何もできなくなってしまったけれども、文章を書くなら鉛筆とノートさえあればすぐに始められる。また書いてみようと思った。
 
最初はノート3ページ書き出すのに苦労した。
頭に浮かぶことは、今は楽しいことが多いが、当時はネガティブなことがほとんどだった。人の悪口や誰かをののしる言葉が浮かぶ、それを書いてもいいのだろうかと迷った。
 
自由に書けばいいのに書けず手が止まってしまう私がいた。
心に浮かぶことに頭が検閲をかけてフタをしようとする。そして本心とは違う言葉を書かせようとする。心の声と頭の声の不一致。そんな葛藤を繰り返しながらも書くことを続けた。
そんなある日、
「心に浮かんでしまうことは誰にも止められないことなんだ」
と突然腑に落ちた。
「だったらありのままの自分の気持ちを受け止めよう」と思えた。
そうしたら、
今まで上司に叱られないように自分らしさを消して過ごしてきたことが、自分自身を傷つけていることだと思えてきた。このままじゃだめだ。変わらなくては! 変わりたい。
 
朝の儀式を始めて半年、勇気を出して上司に
「週に1日でいいので確実な休みをもらいたい。休みに勉強をしたいことがある」
と申し出た。心理学やカウンセリングなどいろいろと勉強してみたかった。
 
上司は私の言葉を聞いて激怒した。
「今まで、なんにもできないあなたの面倒を見て育ててきてあげたのに、恩知らずも甚だしい!」
それから一転。モラハラは、パワハラといじめに変わった。
 
職場では孤立し苦しい日が続いた。悔しさ、虚しさ、怒りに飲み込まれそうになったけれども、心がザワザワしたらすぐにノートに書き出すようにしていたおかげで冷静になれた。
上司の激怒から2か月後、私は仕事の引継ぎ資料を作り終えて退職した。
 
ハラスメントや人間関係に苦しんでいる人や自分が何をやりたいのかわからない人に、書くことを勧めたい。
「書くこと」は力になる。
上手くなくても、まとまっていなくても、浮かんだことを自由に書くことだけでいいと思う。
書いていると内側からエネルギーが湧いてくる。
表現することの喜び、書けたことへの自信。自分の心の声を聴くことで感じる安心感。
 
「書く」ことを鍛えることは、「生きる力」を鍛えることにつながると思う。
 
今、自分のためだけでなく人に読んでもらえる文章を書きたいと思いライティングゼミに通い始めた。書くことを通して自分は変わってきた、これからも変わっていくだろう。それが今は楽しみだ。
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-05-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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