「正義感の強い人苦手なんだよね」~カンボジアの地で気づきをくれた一言~
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記事:みづき(ライティング・ゼミ朝コース)
「人の役に立ち、感謝される仕事がしたい」 小学校の感想文に書いていた。
自分のしたことに「ありがとう」と言ってもらえるとすごく嬉しい。この気持ちを私は小さい頃からすごく敏感に感じていたし、他人からの感謝を様々なことのモチベーションにしてきた。
「人の役に立ち、感謝を直に感じられる仕事」を将来したいと思っていた。
そんな時にみた国際協力をしている人のドキュメンタリー番組。もう詳しいことはおぼえてないが、国を超えて困っている人たちを助けに行く人をみて私はただただ感動した。
「めっちゃ人の役に立ってる!そして感謝されてる!」
安定しない、給料も多くない。そんな中でも他人のために頑張れる人。正義感が強くて、他の国で起こっている問題に心を痛め、自分がなんとかしようと思える人。
私は尊敬と憧れの眼差しで「国際協力」をしているテレビ画面の中の人たちをみた。
月日は流れ、中学、高校を卒業し大学へ進学した。昔のような「ただただ人の役に立ち、感謝を直で感じられる仕事がしたい」という思いは薄れてはいたが、他人からの感謝は私の行動のモチベーションの大きな部分を占めていたし、国際協力に対する憧れは残っていた。そして、その小さい頃の憧れが「国際協力」に関心のある学生の集まるサークルへの入部を後押ししたのだ。
そして、私はそのサークル活動の一環として行ったカンボジアの地で自分の価値観を揺るがす気づきを得ることになる。
カンボジアでの計画の中で、「国際協力」をしている人、マサさんに会うというのがあった。
私は憧れた「国際協力」をしている人に実際に会えるのがとても楽しみだった。
思いを膨らませながら熱気と土埃と笑顔の国、カンボジアに到着。マサさんに会った。少し猫背で、はにかんだように笑う自然体な男の人だった。私は私の中の「国際協力」する人の像をマサさんにも見つけられるだろうと思っていた。
だから、
「正義感の強い人苦手なんだよね、こういう活動もゆるくやってかなきゃつづかない」
会って間もないマサさんのこの言葉に私はびっくりしたし、少し失望した。私が思っていた国際協力をする人とは違うって。
でも。
旅の中でマサさんという人を知っていくにあたって、この言葉から私は重要な気づきを得たのだ。
マサさんはカンボジアで教育支援を始めてもう8年目になる。大学在学中に学生NGOを立ち上げ、今はカンボジアでの教育支援を軌道に乗せているが、そこに至るまでは失敗の連続だったらしい。
マサさんは言った
「自分がよかれと思って立ち上げた事業も、失敗して結局誰のためにもならなかったり、迷惑かけるだけだったり。現状に満足しているカンボジアの人もいて、教育を提供するっていっても、本人やその家族にやる気がないとそもそも始まらない。そこをどうやる気にさせるかということから考え始めないといけなかったりもする。要するに、俺のしている国際協力がカンボジアの人みんなからどうぞ、どうぞやってください。とても感謝しますって言われるようになるまで時間もかかるし、そうなれるかも分かんないってこと」
実際に、カンボジアで学生時代に教育関係のNPOを創設した人は何人もいるらしいが、中途半端なままやめる人が多いそう。マサさんみたいに大学卒業後も、何回も失敗を重ね、それでも支援を続けている人は数少ないらしい。
それはそうだろう。私もカンボジアの人のためになろうと思って支援を始めたのに、失敗して誰からも感謝されない、かえって迷惑をかける。こんな状況に陥ったら絶対やめたくなる。放り出したくなると思う。
そんな中でも粘って、粘って、カンボジアでの教育支援活動を続けてきたマサさん。
彼のモチベーションは一体どこにあるのか。
マサさんは私の疑問に対してこう答えた。
「みんなが絶対無理だって、やり遂げられないっていう事を自分がやり遂げたときの達成感が、俺の一番の幸せにつながる」
なるほど。マサさんは他人からの感謝より、何より自分の達成感にモチベーションを置いていたのだ。
それって強い。
他人からの感謝が第一のモチベーションじゃないから失敗してそれが得られなかったときもその事業を続け、成長させることができたのだ。
「カンボジアの人々のために」、よりまず何より「自分の達成感のため」に今の仕事をやっている。それが結果的にカンボジアの人のためになればいい。マサさんはそういうスタンスなのだ。だからそこに感謝の押し売りも生まれない。周りの反応でモチベーションがぐらつくこともない。
「正義感の強い人苦手なんだよね、こういう活動もゆるくやってかなきゃつづかない」
マサさんの意味する「正義感の強い人」って自分の仕事のモチベーションを「誰かのために」に重点を置きすぎている人なのだと思う。どんなに素晴らしい仕事も他人のためにするだけだと続かないし、押し売りになる可能性がある。その仕事のモチベーションを自分の幸せや達成感に求め、自分のためにやっているんですって言いきれてこそ、その先で誰かの助けになることができるのかもしれない。
そして、このモチベーションを自分に置くというのは自分が強くないと成しえないことだと思う。でも、その強さを見せびらかすことなしに、いつも自然体でいるマサさん。強いな。
私はカンボジアでマサさんに出会って、「他に依存するモチベーションは案外、脆い。だからこそ自分にモチベーションを置くことの大切さ」を知った。
私もモチベーションを他に依存するばかりではなく、自分におけるようになりたい。いや、なる。
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