プロフェッショナル・ゼミ

カンパリはこの季節にぴったりなお酒なのです《プロフェッショナル・ゼミ》


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記事:松尾英理子(プロフェッショナル・ゼミ)
 
ああ、また飲みすぎた。
 
昨日はそんなに飲みすぎなかったのに。それなのに、なんだか頭が痛い。
最近、週2回くらいは、朝起きるとそんな不調を感じています。今年の夏は暑すぎて、身体に疲れがたまっているからかもしれないのですが、普段なら次の日残るはずもない量、例えばワイン3-4くらいしか飲んでいないのに、なぜか今年の夏は、二日酔いになりやすくなっている気がします。
 
それでも、夕方くらいになると、知らないうちにお酒が抜けてきて、頭痛も感じなくなっています。でも、やっぱり本調子とまではいえない。だけど今日もまた飲み会っていう時、結構ありますよね。そんな時、私は迎え酒として、まず最初にカンパリソーダを飲むことにしています。するするっと、そしてゆっくり、カンパリソーダを喉に通していくと、じわーっとやさしく、身体中に心地よい苦味が染み渡り、前日の疲れがきれいにリセットされるように思えるのです。
 
だから最近の私にとって、カンパリは迎え酒専用ドリンクになっています。心地よい苦味の後、少しまとわりつくような軽い甘さが後に続きます。この甘み、何かに似ているんです。そうです。小さい頃飲んだ風邪薬の味わいです。小さい頃覚えた味は、人の一生の味覚傾向を左右すると言われていますが、そのせいか、カンパリの味わいには、懐かしさを感じると同時に、心と胃腸にとっても効く気がしてしまうのです。
 
もちろん、そんな二日酔いにはならないよ、と言う人にもカンパリはオススメです。今年は残暑も厳しそうですよね。夏バテ気味な状況が続いている人も多いと思います。食欲が出ない時の食前に、クイッと冷たいカンパリをあおると、意外にも美味しく食事が楽しめたりします。食前の胃薬的な役割を果たしてくれるのも、カンパリの魅力の一つです。
 
カンパリを使ったカクテルは、居酒屋のメニューにも載っていることが多いですし、どこのバーに行ったとしても、カンパリのボトルは必ず並んでいますから、酒呑みの方々であれば、「カンパリ」は定番中の定番と言えるお酒でしょう。カンパリの苦味の正体は、キャラウェイ、カルダモン、コリアンダー、オレンジピールなどのハーブたち。使っているハーブ原料は60種類以上とも言われていますが、原料名は一切公表されていません。そして、あの複雑で深みのある味わいはどうやって作られているのでしょうか。その作り方も公表されることはありません。それが、カンパリが神秘的なベールに包まれたお酒といわれる所以です。
 
カンパリはイタリア生まれのリキュールです。今からさかのぼること約150年前、ガスパーレ・カンパリというイタリア人が研究に研究を重ね、数十種類の薬草を使ったお酒を開発しました。ガスパーレは、自分の開発したお酒の販売先として、人生を賭け、一等地であるミラノのドゥオモ広場に「カフェ・カンパリ」をオープンしました。そこで、自分のつくったリキュールをお客に振舞って、自身の開発したお酒を流行らせようとしたのです。
 
ガスパーレの目論見どおり、たくさんのお客さんの賞賛の声が集まり始めました。
 
その甘美なる味わいは芸術作品とも言える。
ほろ苦さが病みつきになり、普通のお酒では物足りなく感じるほどだ。
 
カフェの常連客からこんな声がたくさん集まり、次第にそれは大評判となり、ガスパーレ・カンパリは一躍時の人となりました。そしてその後、息子のダヴィデ・カンパリに店は引き継がれましたが、息子は父の偉業を称え、その店の看板リキュールは家名をとって正式に「カンパリ」と改名され販売、世に広めることに成功したのです。親が自分の店でテスト販売し、顧客の声を集めて広告効果にし、一定の販売が見込めた段階でその子供が商品化し世に広めていくとは、かなり昔の話なのに、素晴らしい長期マーケティング戦略ですよね。
 
さて。20代で最初にカンパリを飲んだ時のことを思い出してみると、あの鮮烈な赤い色は、ものすごいインパクトがあったように思います。鮮やかで目の覚めるような赤い色は、一体何者なのだろう……。 そう思って裏ラベルを見ると「天然着色料使用」と書かれていました。お花か何かの色なのかな、と思って調べてみると、その色を出す素材はなんと虫だったのです! 天然の着色料は、コチニール色素と呼ばれるもので、それはカイガラムシを乾燥させたものだったのです。食品衛生法でも認められているものだとは言え、それは私達が普段使っている口紅にも使われていると分かった時は、子どもがどうやってできるのかを知った時と同じくらいのインパクトがあったことを思い出します。最近は、どの会社もコチニール色素を使わなくなっているといわれていますが、その事実は定かではありません。
 
それはさておき、迎え酒が必要がない時ももちろんあります。カンパリをきちんと愉しみたい時に、最近お気に入りの飲み方があります。それは、カンパリシェカラート。材料はカンパリと氷だけです。これをシェーカーで思いっきり強く振ってグラスに注ぎます。短時間で強くシェークすることで、カンパリの苦味が丸くなり、ストレートなのにビックリするくらい飲みやすいカクテルになります。シェカラートはすごくシンプルなカクテルなのですが、強くシェークすることで、氷が細かく砕かれ、その結果、氷の粒々がグラスの中にちりばめられたように広がり、カクテルグラスの中はまるで宝石箱のようにみえます。その見た目を眺めているだけで、なんとなくポジティブになることができます。だから私も真似して、家にあるシェーカーで同じことを試してみましたが、力強く振るのは至難の業でした。結局、氷は粒状にはならず、緩んで液体になってしまい、だらけた味わいになってしまいました。だから、カンパリシェカラートは、シンプルながら、プロのバーテンダーに作ってもらったほうがよい、バーで飲むべきカクテルでもあるのです。
 
お酒があまり得意じゃないという方々には、カンパリオレンジはいかがでしょう。カンパリとオレンジジュースでつくられる甘酸っぱいカンパリオレンジには「初恋」という、見た目的にも味わい的にもぴったりなカクテル言葉がつけられています。淡い遠い昔の記憶を思い出しながら、私も飲んでみようかな、と思いつつ、やっぱりその世界には戻れないので、私は今日もストレートかソーダ割りでいただくことにします。
 
ある時は迎え酒として。ある時は末来の夢がつまった宝石箱のようなカクテルとして。そしてまたある時は、初恋を思い出すカクテルとして。カンパリはどんな時も、過去をリセットして、末来へ向かうためのお酒なのかもしれません。残暑が続くこれからの季節、体調や気分がイマイチになることも多いかもしれませんが、そんな時はカンパリをお試しあれ。きっと、カンパリがあなたを上向きにしてくれるはずです。
 
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