メディアグランプリ

言葉づかいは猛獣使い


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事: 三上弘恵(ライティング・ゼミ火曜コース)
 
「あなたはどなたですか? 」
 
いきなり電話をかけてきて、それはないだろう。
 
でも、私の電話番号知ってるんだ。名乗ることにした。
 
「三上です」
 
「私は山崎です。今電話帳の整理をしていて、わからない電話番号に電話かけているんです。私たちはいつ頃の関係だったのでしょうか……」
 
変な電話だなと思いながら、お互いに記憶をさかのぼって、思い出そうとした。たぶん10年以上前の勉強会であろうと、話が落ち着いた。そして、今どうしているのか? お互いの近況を会って話そうということになった。
 
ちょっとだけ、嫌な感じがあった。普通こんな風に電話してすぐに会うことになるのか?
何か売り込まれるかもしれない。警戒感もあった。けれど、どんな人だったのか知りたいという気持ちもあったので会うことにした。
 
数日後のカフェ。相手の顔をみていも思い出せない。話していても思い出せない。本当にこの人と同じ勉強会に参加していたのか? でも、会話に出てくる登場人物の名前は知っている。時間が経っても思い出せない。記憶が戻ってこない。きっとお互いにインパクトはなかったのだろう。
 
たわいもない会話の中で、山崎さんは、ご自身が健康を壊した時に、あるサプリメントを飲んだら良くなったというストーリーを話し始めた。
 
「それは良かったですね。元気になって何よりです」
 
「そうなんですよ。私の人生は変わったんです。だから、三上さんもサプリメント飲んでみませんか? 」
 
えっ、やっぱりそうきたか。
「いや~、私はいいです。今のところ体の不具合はないし、スイミングは20年やって運動もしています。そもそもサプリメントは飲まないです」
 
ここまでなら、なんということはない。けれど、言葉って暴走するのです。さっきまで人の話をよく聞いてくれて、大人しいネコのような人が、突然凶暴なトラになっていく。
 
それは、話が終盤になってきて、
「三上さん、最後にこれだけは言わせてください。今は健康だと思っているかもしれませんが、もし、あなたやあなたの家族が“ガン”になったら、きっとこの商品が役に立つと思うので、その時は連絡してください」
 
「えっ、なんでサプリメントなの? 病院に行くよ」と心の中でつぶやいた。
 
その後で、「ガンになる」「ガンになる」と何度も繰り返し言うのです。ガンにならないかもしれないのに、ガン、ガンと言うと、ガンになった人を頭の中でリサーチする。そして思い出す。私は夫がガンで亡くなったので、その頃のことを思い出した。その話もさっきまで散々したのに、なんと気分が悪い。
 
そして、ガンになった自分を想像してしまう。気分が悪いのを通り越して、なんだか次第に腹が立ってきた。連呼するごとに、嫌な気持ちのレベルが上がってきて、爆発しそうになる。 
 
「その言い方やめてくれ~。あなたのその言葉は人に毒をかけてるよ」と、心の中で叫んでいた。
 
自分の中の猛獣が、牙を出して暴れるように毒を吐きそうになる。その場では極力顔には出さないようにしていたけれど、ムカッとした気持ちが、たぶん顔に出ていたと思う。
 
猛獣同士のバトルに発展しそうな気配があった。猛獣は猛獣を言葉で刺激するのだ。
 
書いている言葉を読んでも同じことがある。
トイレの中の張り紙をみたことがあるだろう。以前は、「トイレを汚さないでください」と書いてあった。そうすると汚すことに焦点が当たる。汚れた状態をイメージする。汚い、気持ち悪い、気分悪い……。
まるで猛獣が暴れているようなイライラ感。
 
それが最近は「キレイに使ってくれてありがとう」と書いてある。キレイに使うイメージ。なんだか優しい気持ちにもなる。世の中は良い人たちでいっぱいのように感じて気持ちがいい。猛獣が暴れることはない。ネコのようにノドをゴロゴロ鳴らして喜んでいるようだ。
 
また、自分の課題ができない時、「何でできないんだろう」と自分への質問をすると、出来ないことに焦点が当たる。時間がない。能力が足りない。必要なデータがそろってない。パソコンの速度が遅い……。できない理由が山のように出てくる。自分が情けなくなって気分が沈む。自己評価が下がる。
 
そんな時、「上手くいったことは何だろう」と問うてみる。すると上手くいったことに焦点が当たる。上手くいったことを脳は探し始める。時間がない時ほど時間を有効に使っていたことを思い出す。誰のサポートがあればいいのかも分かってくる。イメージが上手くいくことで占められる。
 
言葉の使い方で、悪い状況を想像し、頭が混乱する。感情がコントロールできない猛獣のようにもなる。また言葉が変われば、明るい未来や自分の可能性へと視点を変えることもできる。
自分が行きたい方向に焦点を当てる言葉を使おう。
 
さあ、私は今停滞しているいくつかのレポートをどう早く完成させられるだろうか?
そのレポートを読んだ人が幸せになることをイメージしよう。
「幸せなレポート」と自分へ言葉をかけよう。
 
 
 
 
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2019-04-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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