メディアグランプリ

自分を変えたかったら、ミュージカルに出よう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:青山 ひろみ(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
「どうしたら、一人前の営業マンになれるんだろう?」
 
7年前、当時の私は広告会社に営業マンとして就職し、毎日研修を受けながら仕事に取り組んでいた。営業マンの研修は、自分の扱う商品の知識や、アポの取り方、商談をスムーズにする話し方などだ。
 
しかし、研修ではうまくできるのに、いざ営業の現場となると、相手の方とうまくコミュニケーションが取れない場面が多かった。
コミュニケーションがうまく取れないどころではない。その質は相当悪く、クレームを頂くこと、クライアントから営業担当の変更要請を複数回にわたり頂くなど、事態は深刻だった。
 
その理由は、私がすぐ顔に出すタイプだったからである。
 
うまく答えられない質問を尋ねられたら、困り顔。
値引き交渉を仕掛けられたら、嫌な顔。
 
さらに、営業マンとして面白くなかった。営業マンとして愛嬌がなかった。
なので、可愛がってもらえず、ミスがあるとすぐにトラブルになった。
 
極めつけは、そういう場面で相手に謝っても、誠意が伝わらない。
これも、心の底では「自分は悪くない」と思っているのが、顔に出てしまっているからだ。
クライアントから見た私は、ツンケンしててとっつきにくい営業だったことだろう。
 
しかし、具体的な解決策が見つからず、入社して半年が過ぎた。
未だ、クライアントとのトラブルはなくならない。
 
ある日、また私はクライアントとトラブルを起こし、上司に同行を頂いてクライアントに謝罪に行った。
その帰り道、クライアントと私のコミュニケーションの取り方を間近でみた上司は、私の直すべきポイントがわかったようで、私にこんなアドバイスをした。
「お前、演技が下手なんだよ。営業の現場は、舞台だ。女優になれ!」
 
そのアドバイスを真に受けた私は、ちょうどそのタイミングで妹から、
「アマチュアを100人集めて100日間稽古して舞台作りをするプロジェクトがあるから、一緒に参加してみない?」
と誘われ、直感でこれはすごいチャンスなのでは、と感じた。
私は、この経験が自分のコミュニケーションの質を高め、一人前の営業マンになるきっかけになるかもしれないと考えたのだ。
突拍子もないこの提案を、私は二つ返事でOKしてしまう。
 
上司にしてみれば、「いや、そういうことではないんだが……」と思ったことだろう。
しかし、この選択は今振り返ると大正解で、のちに大きな好影響を生むことになる。
 
ミュージカルをはじめて、様々な変化が起きた。
 
感情表現が豊かになった。
役作りのために喜怒哀楽を明確にすること、気持ちを作ることに取り組んだ。
ぎこちなかった仕事中の笑顔が、少し和らいだ。謝罪の時には申し訳ないと思う気持ちが、自然と伝わるようになった。
 
自分の殻を破ることができた。
人前で歌うこと、踊ることをしているうちに、恥ずかしさも次第に気にならなくなったのがその要因だ。自分はこうあらねばならない、という頑な感じがなくなり以前に比べクライアントから「とっつきやすい」と言ってもらえるようになった。
 
かっこ悪い自分を、受け入れられるようになった。
私が営業マンとして面白くなかったのは、そして愛嬌がなかったのは、必要以上に自分をカッコよく見せようというプライドからだったのだ。素の自分をさらけ出すことで、クライアントとは距離を縮めることができた。それは、人前で演技をする経験を通して、自分に自信がついたからだと思う。
 
さらに、営業マンとしての自分をレベルアップさせてくれた要因がもう一つある。
それは、舞台人としての姿勢だ。
 
役者は常に、自分の実力を見られる。いい役が欲しかったら自分の力で掴み取るしかない。
人のせい、環境のせい、運のせい、そういうことを言っている人は、いつもオーディションで敗れ去る。
 
でも、役者は一人では舞台に立てない。衣装さんがいて、メイクさんがいて、舞台スタッフ、音響、振付師、脚本家、本当に多くの人に支えられて舞台に立っている。
いい役者というのは、そういった人たちへの感謝の気持ちを持ち、みんなの気持ちも一緒に舞台に立たせてくれる。
 
そして、役者は舞台に立てば、その役をやるのは自分しかいない。自分の代わりは舞台上にはいないので、自分の役をやりきるのみ。ここには、プロ意識とミスを許さない責任感が必要だ。
 
ミュージカルを通してこういったスキルと姿勢を身につけた私は、以前と比べてクライアントとうまくコミュニケーションが取れるようになり、クレームはほぼなくなった。
 
ミュージカルと営業は、つながりを感じにくいと思う人もいるかもしれない。
ただ、自分を表現する場であり、人とともに作り上げていくもの、そして時に自分と深く向き合う、という点ではきっと同じだ。
 
自分を、思い切り変えたい。
そんな時には舞台に出てみるというのも選択肢の一つだ。
きっと、自分の想像を超える変化があなたに訪れることだろう。
 
 
 
 
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2019-05-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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