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メディアグランプリ

人に読んでもらう文章を書くということ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【6月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:獅子崎 りさ(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
平成と令和の時代をまたぐ大型連休が終わろうとしている。
10日間に及ぶ大型連休。
私にとっては、人に読んでもらえる文章を書くとはどういうことかを考え続けた、そして書き続けた10日間だった。

 
連休前の4月中頃に、知人からこんな講座があるよと教えてもらったのが、天狼院書店のライティング・ゼミGW特講10日間集中コースだった。
ライティング、つまり文章を書くことについて学べる講座で、普段は4ヶ月かけて行う講座を、大型連休の10日間に集中して行うものだという。
連休に特に予定もなく、そして文章を書く力を身につけたいとちょうど考えていた私にはうってつけだと思い、私はすぐに申し込んだ。

 
そしてやって来た大型連休。
講義は4日間。それとは別に、毎日課題提出の締切があった。課題はフリーテーマで2,000字の記事を書くこと。もちろん提出は必須ではなかったが、私はとにかく毎日何か書こうと心に決めていた。

 
人に読んでもらう文章を書く。
このことを今までこんなに続けたことがあっただろうか。
いや、仕事で多少の文章を仕上げるということはあった。
しかし、フリーテーマで記事を書くという課題は、それとはなんだか違う気がする……。
連休中そんなことに思いをめぐらせていて、私は思い出した。
かつて、こうして毎日人に読んでもらう文章を書いていた時期があったことを。
 
あれは、小学校3年生、4年生の2年間のことだ。
毎日の宿題で、「日記を書く」というものがあった。
毎日日記を書くというのは小学生ながらに「けっこう大変な宿題ではないか」と思っていた。
遠足や運動会といったイベントがあったときはまだ書きやすかった。
しかし、子どもといえども本当に今日は何もなかったとしか言いようがない日もあった。

 
それでも、あの頃の私はどうにか書いていたのだ。

 
ある時、やはり特に変わった出来事もなく、ごく普通に学校で授業を受けただけの日があって、私は家で日記帳に何を書こうかと心底悩んでいたことがあった。
ちょうどその時、父が菖蒲(しょうぶ)の花を手に帰宅してきたのである。
菖蒲というのは、長い茎に大きな花がついている植物で6月頃に咲く。色も白や黄色など様々なものがある。父が持って帰ってきたのは、紫色の菖蒲の花だった。
小学生の私は、その花をきれいだと思った。
そして、きれいだと思ったことを日記に書こうと思ったのだ。
その時はもう他に書くネタもないとやけになっていたのも否めない。
それでも、日記帳が埋まるように一生懸命に書いた。
自分だけのための日記だったら、ほんの数行で終わるだろう。
「今日お父さんが菖蒲の花を持って帰ってきました。きれいでした」
これだけだ。
しかし、私が書いていたのは宿題の日記である。担任の先生が読む。こんな一言二言で終わらせられるわけがない。
私は、どうにかして菖蒲の花の美しさを先生に伝えたいと思った。私がなぜ菖蒲の花をきれいだと思ったのか、わかってほしいと思った。
そう思いながら書いていた。

 
私がこんな些細な一日のことを何十年もたった今でも思い出せたのは、先生が日記帳のコメントだけではなく、口頭で直接日記を褒めてくれたのが印象に残っていたからだ。
学校の廊下で先生は私に声をかけ、言った。
おもしろかった。いい日記だった。これからも、こんな風に書いていくといいよ。
小学生の私にはよくわからなかった。
なにか特別な出来事やおもしろいイベントのことを書いたわけでもないのに。
ただ、菖蒲の花がきれいだと思ったということを書いただけなのに。
先生はいったい何がおもしろかったんだろう……。

 
だが、今ならわかる。
私は、小学生ながらに必死に先生にむけて文章を書いていたのだ。
その結果、単に「菖蒲の花がきれいでした」と書く以上に、先生に私の菖蒲の花への思いが伝わったのだ。

 
振り返って思う。
あれは「日記」という名の宿題ではあったが、純粋な日記ではない。
日記帳は毎朝提出し、先生がそれを読む。そして、先生がコメントを書いて返却してくれるのだ。
あれは、まさに先生という読者を意識して書いていた記事だったのだ。

 
この10日間の私も、小学生の時の私と同じだった。
自分の今までを振り返り、菖蒲の花というネタを見つけ出しては、その美しさを読み手に伝えようと必死に書いていた。
一日中、何を書こうかと頭をひねったこともあった。
「もう考えるのはやめてとにかく書こう!」と決め、何の考えも計画もなくいきなり書き始めてみたこともあった。
それでもとにかく、自分の思いよ読者に届けと、必死に書いたのである。

 
人に読んでもらう文章を書くということ。
それは、「文章で自分の思いを伝えるために必死になる」ということではないだろうか。
必死にやってきたこの10日間でつかんだことが「必死になることだ」、というのも何だか妙な話ではある。
しかし、今の私にはこれが精一杯だ。
この先も書き続けていれば、きっとこれ以上の何かをつかめるに違いない。

 
「これからも、こんな風に書いていくといいよ」
10日間必死に書き続けた結果思い出せた先生の言葉が、私の背を押してくれている。

 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-05-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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