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「冬季五輪に魅せられて」——天狼院書店特派員ライター・関谷智紀が行く! ピョンチャン五輪紀行


こんにちは! 天狼院書店の池口です。みなさん、五輪観戦で寝不足になっていませんか? 時差がない分、「深夜に決勝戦」などということはありませんが、私自身、日本人の活躍を聞くと、ついついネットやテレビを眺める日々が続いています。

今回はお隣の国・韓国とあって、身近に感じている方も多いと思いますが、実際に現地まで足を運んで観戦している人はそう多くないはず。そのため、天狼院書店のWEBでは、プロライターの関谷智紀さんの「ピョンチャン五輪紀行」を掲載することにいたしました!

ぜひ、関谷さんからの現地の生の情報をお読みいただき、五輪の熱気を感じていただければと思います。関谷さん、よろしくお願いします!

(聞き手:池口祥司/写真:関谷智紀)

 

ピョンチャン五輪の会場はこんな場所!

 

池口:関谷さん! 海外からのリポートありがとうございます。平昌(ピョンチャン)の街の様子はいかがですか?

 

関谷:実は「平昌五輪」と言っていますが、「平昌」でやっている競技は、スノーボードやスキーのフリースタイル競技だけなんですよ。

 

池口:えっ! そうなんですか?

 

関谷:そうなんです。平昌以外に、「珍富(ジンブ)」という街に開閉開式の行われるスタジアムがあって、スキーの中長距離とアルペン、スキージャンプ、バイアスロンなどの競技が行われ、海沿いの 「江陵(カンヌン)」という街でフィギュアスケート、アイスホッケー、スピードスケート、カーリングなどのスケート競技が行われています。

その中で一番大きい街が江陵です。ここは日本海側の海沿いにあって、人口は21万人ほど。甲府とか熊谷と同程度の人口ですね。韓国国内ではそんなに大きくない街です。新駅舎は昨年12月にできたばかりでとてもキレイなんですが、残念ながら中心街からはかなり離れているうえに、なんとすぐそばがラブホ街……。まあ、韓国のラブホは、旅館的な使い方で家族連れも泊まったりするので、日常的な風景なのかもしれないのですが。

街の雰囲気は、雑然としていてハングルの大きな看板が立ち並ぶ、韓国の地方都市といった感じです。韓国って、どこの都市も似たような雰囲気なので。

 

池口:珍富はどんな街なのでしょうか?

 

関谷:珍富は、江陵よりもう少し山側に入ったところで、江陵より規模が小さい「町」って感じです。スキーリゾートなのでペンションやリゾートによくあるレストランなどが立ち並んでいます。ちなみに、オリンピックスタジアムのすぐ近くに、ジャパンハウスという日本選手団役員が各国の役員をおもてなししたり、メダルを取った選手が記者会見をする建物があるのですが、そこでは無料でお寿司(!)が振る舞われているそうですよ。それも職人さんが目の前で握ってくれるそうです。

そして平昌はさらに山の奥にあります。明らかに気温が他の街より低い……。江陵で上着を脱いでも大丈夫かなという気候でも、平昌は間違いなく凍えるくらい寒いです。ここは、本当に田舎です。駅から会場までのシャトルバスの車窓からは、山と川と雪とたまに牧場しか見えません(笑)。

会場はフェニックスリゾートといって、大きなホテルがあるほかペンションやスキーショップが並んでいたり。日本でいうと草津や志賀高原みたいな雰囲気のスキーリゾートです。

韓国人の友人が、日本の大手新聞社の通訳として雇われ現地事務所で働いているのですが、あまりに何もないらしく「平昌送りにされました。何もないところで3週間と3日。どうにかなっちゃいそうです」というLINEを送ってきましたよ(笑)。

どの町も、オリンピック向けの装飾がなされて、バス停にマスコットの画が描いてあったり、五輪マークののぼり旗がずらっと並んでいたり。それらは五輪っぽいデザインに統一されているので、いやがおうにも「五輪が来た」って雰囲気は街のなかに充満しています。
 

 

身近な国・韓国の交通事情

 

池口:日本から韓国へ行く旅はいかがでしたでしょうか?

 

関谷:本当に近いなあと感じました。パスポートが必要なことを除けばLCCでも行けますし。僕の場合は、1月に予約して往復で3万円強でした。長野五輪につぐぐらい、行きやすいオリンピックだと思ったのですが、それでも移動にはとても苦労しています。その理由はまた後日の記事にて!

韓国はこの頃、物価が上がったうえにウォン高で、モノの値段は日本と同じか少し高いくらいになってしまいました(泣)。10年くらい前は、日本の3割安、4割安くらいの感覚だったのですが。

とはいえ、その分発展して、どこでもWi-Fiが使えますし、地下鉄なども便利になったので仕方ない部分もありますね。

ただ、駅前とかでおばちゃんがやっている昔ながらの食堂は相変わらず安くておいしいですし、電車代・タクシー代は日本の3分の1くらいの感覚で使えるので、その点はすごく楽です。

 

池口:飛行ルートも教えてください!

 

関谷:飛行機は、羽田から仁川(インチョン)空港に飛ぶ路線を使いました。かなりの数の日本の空港からソウル行き(仁川空港、金浦〈キンポ〉空港行き)の飛行機が飛んでいるので、とても行きやすいですね。

仁川空港からKTXという韓国版新幹線に乗れば、江陵ほかオリンピック会場の最寄り駅へ一直線で行けます。ソウル駅からは2時間かからずに江陵まで行けますね。この路線は昨年の12月22日にようやくギリギリで開通しました。

五輪の開催地はホテルや旅館代が高騰するのですが、今回開催地周辺の宿泊費は、モーテルと呼ばれる安宿までが1泊3〜5万という超強気の値段設定をしてきたので、とても泊まれません……。

それで、私はKTX乗り放題7日間フリーパスを複数買って、ソウルから江陵まで毎日通おうと思ったのですが……。このあたりの顛末はまた書きますね。

 

 

池口:日本で報道されている政治的な課題・論点について現地で感じることはありますか?

 

関谷:そういった部分はほとんど感じませんね。ボランティアも観客もとてもフレンドリーで、すごく親身だし、笑顔で迎えてくれます。とても大きなお祭りだからお客さんに楽しんでもらおうって感じです。

訪れた初日、オリンピックパーク場内にあるマクドナルドの前で手製の看板で抗議活動していた人がいましたが、気にも留めずみな通り過ぎていくばかりで。翌日からはいなくなっていました。

ただ、女子アイスホッケー韓国合同代表が出場する試合だけは雰囲気が違います。真っ赤なジャージを身にまとった北朝鮮の美女応援団が統制の取れた応援を繰り返しています。豪華な民族衣装を身にまとった人も踊っていたりするのですが、アリーナの雰囲気お構いなしで、自分たちのペースで歌を歌い応援しているという……。場内でラップミュージシャンが曲を披露しているときも、そのまんま合唱して応援しているので、声が入り交じってまさにカオス……。2月14日に日本と合同代表が対戦しましたが、その試合はもう「コリア!」の応援一色でかなりのアウェー感を味わえましたね。

 

やっぱり羽生選手は別格!

 

池口:日本人選手の活躍を肌で感じることはありますでしょうか?

 

関谷:いろいろな競技を見に行っているので、やはり応援している選手のメダル獲得の瞬間を間近に見られるライブ感が、五輪観戦の醍醐味だと思います。これを一度味わってしまうと、多くの人がまた行きたいと思ってしまうんじゃないでしょうか。これは他にはない感覚だと思います。

ちょうどこの原稿を書いている2月14日には、スピードスケート女子1000メートルの小平奈緒選手の銀、高木美帆選手の銅を見ることができて、日本から来た人とか、現地の日本人同士みんなが喜んで、ハグしたり、泣いたり、日の丸を振ったりしているのを見ると、やっぱり色々なことを犠牲にしてでもここに来てよかったなあと思いますね。

いっぽう街を歩いていて、日本人選手の活躍を感じるかというと、意外なことに日本人選手の情報って入ってこないんですよね。今はスマホがあるので、それで結果はチェックできますが、韓国のテレビでも韓国選手がらみの試合しか放送していないし、あえて日本人選手の情報が出ることもないので、とくに話題になることはありません。

ただ、フィギュアスケートの羽生結弦選手だけは、違います。韓国でも超有名で、「羽生君知ってる?」って話題を振ると、むちゃくちゃ現地の人も食いつきます。現地の人と仲良くしたいなら、ゆづくんの話題を出すのがよいかもしれません。100%の保証はできませんけれど、おすすめです(笑)。

 

池口:羽生選手は別格なんですね! 開会式の様子はいかがでしたか?

 

関谷:奇跡的に暖かかったんです。開会式の時間は。江陵の地元の人いわく、「昨日まで本当に寒くてマイナス15度くらいだったんだけど、今日はマイナス3度。暖かくて助かるわあ」と言っているほど、開会式当日はそれほど寒くありませんでした。札幌のほうが寒いくらいの感覚でした。

ただ、夜になるとものすごく冷え込み、風も吹いて、いやあもう寒いのなんの。いっぱい着込んで、使い捨てカイロもたくさん用意してなんとかしのぎましたが、当初日本で「開会式はマイナス20度」などと報道されていたくらい寒かったら、低体温症で搬送者続出だったんじゃないでしょうか。そんなニュースが流れて国際問題にならなかっただけでも、大会組織委員会はラッキーだったのでは!

あと、正直なところ空席は目立ちましたね。チケットが高いのと、「寒いよ」という報道が相次いだので地元の人も参加を控えたんじゃないかと思います。それは残念ですね。

 

池口:五輪の運営というのは、なかなか思い通りにはいかないものですね……。

関谷さん初回のリポートありがとうございました! 街の様子や、海外からの観戦者に楽しんでもらいたいという韓国の方々の気持ちがとても伝わってきました。2回目以降もどうぞよろしくお願いします。

 

関谷:ありがとうございます! 引き続きよろしくお願いします。

 

【プロフィール】

関谷智紀(せきや・ともき)

フリーライター。大学卒業後、TV制作会社にてスポーツ中継や情報番組などのディレクターをしていたが、会社解散にともない紆余曲折を経て情報誌のライターになり、グルメのお店情報から経済関係まで記事を執筆。その後、単行本・ムック本の企画・ライティングも担当。スポーツライターとしては、アイスホッケーをはじめとした冬季スポーツ、バスケットボール、野球などを中心に取材を続けている。

 
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