チーム天狼院

中学生でも「色気がある」と言われる女と、24歳になっても子供っぽいと言われる女の違い《川代ノート》


「色気」とは、一体何なのか?
中学生の頃からどうしてだか、「色気」というものにひどく興味があった。自分に色気が全然なかったからかもしれない。貧乳だったからかもしれない。モテなかったからかもしれない。わからないけれど、まあとにかく、物心ついたときから私は、「どうすれば色気が身につくか」ということばかり考えていた。「色気」とは何かということを研究しまくり、色々な本を読み漁った。なぜか無性に、実体のない「色気」というものが何なのか、その正体を暴きたいという気持ちになったのである。

「サキのクラスに、妙に色気がある子、いるわよね」
思い返してみると、はじめて「色気」について考え出したきっかけは、母の一言だった。保護者会だか、授業参観日だかのあと、夕食の席で、母はそう言った。私が中学生か、高校生くらいのときのことだった。
「え、誰のこと?」
「ほら、サキの斜め前に座ってた子」
それは、私が特に仲の良い友人だった。好奇心旺盛そうな目をしていて、女性らしい体つきをしていた。骨太な私とは違って、ふんわりとしたイメージを相手に与えるタイプの女の子だった。
「ああ、胸が大きいからね」
私は迷うことなくそう言った。事実、その子は思春期には似つかわしくないほどとても胸が大きかったのだ。私もあの子のようなスタイルを持てていれば、もっと女らしく振る舞えるのだろうかとなんども考えた。
「いや、そういうことじゃなくて」
だから、母がそう言ったとき、とても驚いた。
「え?」
「そういう、体つきとか、胸が大きいとか、そういうことじゃないんだよね。なんていうのかなぁ。なんか、あの子はあるのよ、色気が」
結局母は、それ以上追求しても、言葉にしようがないとか、直感だとか、なんとなくとか言って、具体的に、「色気」の正体を教えてくれることはなかった。

一体、どういうことなんだろう。

私は混乱した。

同じ年。
身長だって同じくらい。
体型の違いこそあれど、それは関係ないと母は言う。
だったら、「色気」って、何?

あの子は持っているのに、私にはないもの。
同じだけの時間を過ごしてきたはずなのに、自分は手に入れられなかった、女としての魅力。

思えば、「あの子の方が自分よりも女として魅力的だ」と断言されてしまったような気がして、なんだか納得できなかった。
だから、努力さえすれば、研究さえすれば、自分だって色気とやらを身につけられるのだと、証明したかったのかもしれない。

それからというもの、私の「色気」探求はスタートした。

まず第一に、「色気」と「エロ」は同じなのかということを、考える必要があった。

母が言うには、「あの子の色気は、胸の大きさとは関係ない」。
胸が大きいのはただの「エロい女」であって、それは本当の色気ではない、ということを言っているらしかった。

グラビアアイドルや、水着の女性がセクシーであるのとは違う、内側から匂うような魅力。

いかにも動物的な、肉感的な女らしさとは関係ない、内面的な魅力のことを言っているのだろうと私は推察した。

たしかに言われてみると、「色気がある」と言われている女性は、必ずしも肌を露出しているわけではないようだった。
年齢を重ねても「色っぽいなあ」と言われる女優さんだっているし、どれだけ面積の小さな水着を着ていても「元気いっぱい!」という印象にしかならないアイドルもいる。

この差は、一体何なんだろう?

どれだけたくさん恋愛をしてきたか?
人生経験?
苦労してきた数?
それとも、生まれつき?

そんな疑問がぐるぐると渦巻いていて、おかげで私は常に「色気とは何か」という命題をかかえながら、日々生きていくことになってしまった。

「色っぽいと言われてみたい」という単純な欲求からはじまった「色気」探求は、気がつけば、本格的な探究心へと変わっていった。

相変わらず、どれだけ努力しても、色っぽいと言われる人の見た目を真似してみても、私自身が「色っぽい」と言われることはなかったけれど、もはやそんなことはどうでもいいとばかりに、私は色気の研究をし続けていた。

日々生活するなかで、「あ、色っぽいな」「雰囲気を持ってるな」と思う人を観察し、その人の要素を分析してみた。

そして、あることに気がついた。
おそらく彼女たちの中には何かの「種」のようなものがあって、それを持っているかいないかが、色気の有無を左右しているのではないかと。

ふと目線を流すときの視線や言葉の端々に宿る、その種を私はほしいと思った。

それが何なのかが、よくわからなくて、ずっとずっと考えていた。

そしてあるとき、はっと気がついた。

天狼院の部活「秘めフォト部」(当時の名前は「裏フォト部」)に参加したときのことである。

秘めフォト部とは、女性限定のイベントで、女性のセクシーな写真を撮影し、うちなる自分の女としての魅力を引き出しましょうという部活なのだが、ふとあるとき、唐突に、大きな変化がもたらされることがあるのである。

リピート率の非常に高いイベントなので、連続で参加する人も多くいる。天狼院のスタッフも、味をしめてなんども参加したりしていた。

その子が、変化していくのである。

秘めフォト部に参加することによって、がらりと雰囲気が変わり、その直前までは持っていなかった「色気」を、持つようになっているのだ。

これはなんだ、と私は思った。

私よりも3つも4つも年下の女の子たちが、秘めフォト部に参加するというただ一つの行為を通しただけで、次々に変化していく。美しくなっていく。

そして何より、その「色気」の種を、身につけている。

たしかに、他の大人の女性たちと比べれば、「色気」と言っていいようなものではないかもしれないけれど、それでも、たしかに、彼女たちの中にその色気の種が宿っているのが、はっきりとわかった。

自分の中に閉じこもっていた殻を破り捨てたのか、脱ぎ捨てたのか、ただの19や20の「女の子」だった子たちが脱皮し、「女性」へと変化していくのがわかった。

それはまさに「突破」としか言うようがないほどの大きな変化で、どうしてたかだか数時間のイベントに参加した程度でそこまで変化できるんだろうと私は思っていたのだけれど、最近になってやっと、気がついたのである。

私たちは、「女性である」ということを、許して欲しいのだ。世間から。社会から。何からも、許してもらいたいと、思っているのだと思う。

生きていると、必死になって、がむしゃらに頑張らなければならないことがたくさん起こる。男性並みに働かなければならないと強く思うし、そして、それを楽しいとも思う。自分が頼られ、そして社会的地位を得られていること、自由を手にできていることに、とても安心する。自分は生きていけると、実感できる。

けれども、その一方で、「誰の力も借りなくても生きていける」自分に、とても不安になることも、あるのだ。

思いっきり女性らしく振る舞うと、なんだか顰蹙を買いそうで怖い。
自立した人間としてのプライドもある。
女を武器にして戦っていると、思われたくない。

そう感じる一方で、それでもどこか、本能的な、動物としての自分は、「自分が女性である」ということを、思いっきり、肯定して欲しいと思っている。強く願っている。
自分は女性であってもいいと、女を思いっきり堪能してもいいのだと、誰かに言ってもらいたい夜も、たまにはあるのだ。

だからこそ、秘めフォト部には人が次々と集まる。ここは、お互いが女性であることを、肯定しあえる場所だからだ。
ここでは、自分の女としての本能をむき出しにしたとしても、誰も文句を言わない。誰にも非難されることはない。

そうやって、自分の「女性」性を肯定してもらったことで、自分の殻を破ることができた人が、色気を手に入れられるのではないかと、私は一つ、結論付けた。

つまり、「色気」の種とは、「母性」なのだ。

女は、自分の中に秘めている「母性」を認めて欲しくて、それを解放したくてうずうずしているのかもしれない。
だからこそ、その母性の種を解放することができ、周りの人へ愛情を持って接したり、優しくしたりしているところを見ると、その柔らかな魅力に、周りの人は「あの人は色っぽい」というのではないか。

思えば、あの「色っぽい」と言われていたあの子は、自分が女性であることに、何のためらいも持っていなかった。それどころか、女であることを、謳歌していた。
あの吸引力を「色気」と呼ぶのであれば、おそらく、自分の母性をどれだけ解放できるかが、あるいは、色っぽい女になるためのキーなのかもしれない。

私も、もう今年には25歳になる。
いい加減、いつまでも子供っぽいと言われているわけにはいかない。

そろそろ秘めフォト部に本気で参加して、自分の母性を目覚めさせる時期に入ってきているのではないかと、真剣に考える、今日この頃である。

 

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