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【ええ、そりゃあ辛かったですとも。】陸上競技の中で最も辛いといわれる400メートル走を私が走り続けられた理由。《スタッフ山中のつぶやき》


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登山家に「なぜあなたは山を登るのか?」と尋ねればきっと多くの人はこう答えるでしょう

「そこに山があるからだ。」と

 

では400メートル走競技者に「なぜあなたは400メートルを走るのか?」と尋ねればどう返ってくるでしょうか?

 

お久しぶりです。スタッフ山中です。

そもそも、全世界の中で 400メートルを全力疾走した経験がある という人はどのくらいいるのでしょうか。

 

みなさま 400メートル と言われてパッとその距離を想像できますか?

単純に言えば

400メートルトラック1周分

サッカーで言えば コート端から端まで2往復

テニスで言えば  コートの長い方を8.5往復

野球で言えば   3回ホームまで戻ってきて、さらに3塁まで行く

 

日常生活に置き換えると

電車 20両分

東通り入ってすぐのセブンイレブンから天狼院まで

 

これが400メートルという距離。

なんとなーくイメージできましたでしょうか。そう、意外に長いのです。

 

しかし、この400メートルは陸上競技に置いては 短距離とされています。

100メートル、200メートルと同じ。

ペース配分等はあまり意識せず、とにかく全力で走る距離。

 

競技を終えた選手は、その足の疲労、心肺の疲労からゴールをきったとたんにバタバタと倒れていくことがほとんど。そのため、この400メートル走という競技は、陸上競技の中でも最も辛い種目であるとも言われています。

 

高校生の時、私はこの競技の選手でした。

 

え!よくそんな辛い競技やれてたね!物好きなの?

そんな長い距離全力ではしったら死んじゃうよ!

すごいねー!私には絶対できないや。笑

なんでわざわざそんなに大変なことするの!?

 

このことを告げるとほとんどの人からこんな反応が返って来ます。

 

辛いことは事実だし、もしかしたら私は物好きなのかもしれません。

確かに死にそうにはなるけれど、なんだかんだ今生きてるし。

私も最初は絶対にできないと思っていました。

ではなぜそんな競技を続けることができたのか。

 

 

初まりは唐突でした。

中学高校の一貫校。部活をはじめて4年目のことです。

いつものように自分の出場したい競技を第3希望まで決め、それを部員全員分リスト化した紙を顧問の先生に提出ました。1種目につき1つの学校から出場できるのはだいたい3名まで。

誰がどの競技に出場するかはすべて顧問の先生が決めるため、そのリストが先生から返却され、赤丸がついている種目に出場することとなります。

私の希望は以下の通り

第一希望 100メートル

第二希望 200メートル

第三希望 走り高跳び

走り高跳びは希望を出しているのが部内で私ともう一人しかいなかったため、第3希望にしても出場できることは確実。

問題は第一第二希望の方。100メートル200メートルはやはり人気で、毎回激戦となります。

しかし、返却されたリストを見て、私は言葉を失いました。

 

第一希望 100メートル

第二希望 200メートル

 

400メートル

 

赤のサインペンでくっきりと書かれたその文字を最初は受け止められませんでした。

え?どうして?

 

400メートルってあの400メートル走?

私が?間違ってないよね?

うそだうそだ。嫌だ。

だって、トラック1周でしょう?

200メートルだって走った後、苦しくてたまらないのに、その二倍?

大会で競技を見てみても、選手はゴールを切った瞬間にみんなばたばたと倒れていくし。

 

こわい。

コワイ。

怖い。

 

こわい。

 

他の競技に出たかったというくやしい気持ち以上に

この恐怖が私を支配していきました。

 

だって自分が苦しむことがわかっているのに、それをやれと言われて

はい とすんなり受け止めることなんて誰だってできないでしょう?

しかし、当時私は15歳。顧問の先生は絶対であり、反論することなんてとんでもありません。ただただその事実を受け止めることしかできませんでした。

普段の練習メニューだってただでさえ辛く厳しいのに、それを専門競技にするなんて。

しょうがない。

1度だけ。

今回だけは顧問の先生に従い、出場してみよう

 

大会当日は朝から緊張しっぱなしでした。

競技時間がだんだんと迫ってくると、正直やだなぁ という気持ちが強くなっていきます。

 

このために練習はして来たけれど、グランドの小さい私の学校では、なかなか400メートルという距離をとることは難しく、様々な不安をかかえたまま競技に臨むこととなりました。

 

念入りにウォーミングアップをすませ、いざスタートへ。

1組目2組目と着々とレースを終え、ゴールを切った選手たちがその場に倒れ込んでいった選手を見送ってから、

 

3組 8レーン

位置について

よーい

 

パ ァ ン

 

後悔しないように走れればそれでいいや。

400メートルなんて、もう走らないかもしれない。

ゴールをきった時に力が残っていないように。後悔のないように全力疾走しよう。

このことが一番の目標でした。

 

ペース配分なんて決めずに始めから全力

息を切らして

地面を踏みしめて

最後の直線なんかはもう気力のみ。

 

 

結果、私は他の選手と同様にゴールと同時に倒れ込むこととなりました。

 

痛い痛い!足が!筋肉がもう動かない!

苦しい苦しい!呼吸が!息がうまくできない!

 

HP(ヒットポイント)0。力を出し切るとはこういうことをいうのか。

 

しかし、不思議なことに私の中に”走らなければよかった”という感情は一切ありませんでした。

というより、そんな感情を押しのけて、

 

自分は全力を出し切ったんだ!という達成感

空ってこんなに青かったっけ、空気ってこんなにおいしかったっけという驚き

こんな、今までに味わったことのない感情が私の心を満たしてしまったのです。

 

結局、高校三年間。私はこの400メートルという競技を専門種目として走り続けました。

なぜそんな辛い競技を続けることができたのか。

 

辛いのも事実。

苦しいのも事実。

 

でもそこには、耐えたからこそ得られる感覚。そこでしか見えない景色がありました。

それを経験したからこそ。もう一度その感覚を体験するために。私は400メートルという距離を走り続けることができました。

 

今でも見るからに大変で、辛いことがわかっている出来事に出くわすと決まって私はこの400メートル走のことを思い出します。

やらずに逃げて後悔するよりも、思いっきり苦しんでいい人生経験にしてやろうと、まあただの負けず嫌いなのですが。笑

 

逃げ出したくなるときもある。

でもそれをやり切れば、自分の自信になり、新たな発見がある。

やってみれば案外!なーんてこともある。

 

 

ーーーー元400メートル競技者としてお答えします。

 

「なぜあなたは400メートルを走るのか?」

 

「そこに400メートルという距離があるから?

….いえいえ、こればっかりは走ってみないとわかりません。みなさんもぜひ一度走ってみてください。めっちゃめちゃ辛いですが。笑」

 

***

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2014-09-16 | Posted in READINGLIFE, チーム天狼院, 記事

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