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メディアグランプリ

「ご飯を作るのがめんどくさい」からの脱出作戦


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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関戸りえ(ライティングゼミ・平日コース)
 
「私本当は、すごく料理が苦手なの」
主婦歴40年以上の母の発言に、私は耳を疑った。なぜなら、毎年味噌や梅干しを手作りし、漬物をつけたり、私たちが子供の頃には、パンやお菓子もしょっちゅう作っていたからだ。
 
実家に帰省した時、新聞に毎日掲載されるレシピの切り抜きが、箱いっぱいなのを見つけた。おそらく5、6年分いやそれ以上のコレクション。
 
「この中で、今まで作ったことあるメニューってある?」
 
「ほとんどないわよ。時間のある時に食材別にファイリングしようと思ってるんだけど、なかなかやってる暇がないわ」
 
必要のない切り抜きコレクションなら捨てれば良いと思うのだが、そうはいかない理由が、母にはあったのだ。
 
「料理が苦手だから、レシピがたくさんあれば、とっておきの時に参考になるかと思って毎日切り抜いているのよ」
 
実際、毎日の食事は、自分の頭に記憶されている定番メニューですませているのである。あの切り抜きレシピは、多分訪れることのない「とっておきの時」の出番に備え、箱のなかでスタンバイ中なのだろう。
 
苦手とはいえども、家族がいればご飯を作らないわけにもいかない。ネガティブサイクルが発動し、苦手という思いが積み重なり、やがてめんどくさいと思うようになったのだろう。
赤ちゃんが夕暮れになると火のついたように泣く「黄昏泣き」と同じように、夕方になると母の気分は憂鬱になり、泣きはしないが機嫌が悪いことがあったのかもしれない。今なら理解できるが、子供の頃には想像もつかなかった。
 
一人暮らしの時は、コンビニやスーパーのお弁当や惣菜、外食ですませることができるが、家族がいる場合は誰かがご飯を作ることになる。
 
その人たちの悩みでよく耳にするのが「ご飯を作るのがめんどくさい」
そこには、表立っては見えてこない、いくつものプロセスが潜んでいるのである。
仕事を終えて帰宅し、食卓に晩ご飯が準備されている旦那さんにもぜひイメージしていただきたい。食事を終えるまでのプロセスを並べてみよう。
 
1)冷蔵庫の中の食材の在庫をチェックする
2)メニューを決める
3)買い物リストを作る
4)買い物に行く
5)材料を下ごしらえする
6)ここでようやく、調理する
7)食べる
8)お腹が一杯になったところで、後片付け
 
これは、工場とか会社で生産管理とか品質管理の業務改善のためのPlan-Do-Check-Actionサイクルと似ている部分があるではないか。
厄介なことにこれらのサイクルの一つ一つの工程は、基準が個人で全く違うのである。
企業なら、これらを会社ぐるみで見直して改善していくのだが、主婦がご飯を作るためにあえて改善作業などしている暇はおそらくないだろう。そんなことをしているより先に、次の食事を作る時間がせまってくるのだ。
 
ここで重要なのは、「Check」の部分がかけていること。すなわち自分のやり方を人と比べたり、効率的な流れを学ぶ機会がほとんどない。多くの場合、親の手伝いをする中で自然と学んでいくのだろうが、それ以外は実際にやってみるしかないのだ。これでは、何をどう向上させればよいかわからず、苦手を解消する方法がないではないか。
私は、Plan-Do-Check-Actionサイクルの「Check」の過程を母とシェアしてみた。
「えー、そんな風に考えてたの? そんなやり方考えたこともないわー」と驚くほどに違いがあった。私は母から学んだものだと思っていたことも、意外とそうではなかったことにちょっとだけ自分のことを褒めたくなった。なぜなら私自身、ご飯を作るのがめんどくさいと感じたことがほとんどないからだ。
 
例えばメニュー決め。
私は主菜を決めて、副菜はスーパーのお買い得品などから考えるのだが、母は計画なく買い物に行き、店頭に並んだものを眺めながら、気分でメニューを考えるそうだ。鶏肉を見れば「今日は唐揚げにしよう」とカゴに入れ、マグロがお買い得なら「今日はマグロの刺身にしよう。イカ刺しもいるわよね」と店内を回るうちにカゴがいっぱいになるのだ。
 
料理の下ごしらえの過程にも大きな違いを発見した。
例えば、玉ねぎを半分だけ使った残りを、私は切って保存する。別の食事を作るときの一手間が省ける。母の主張は「何を作るかわからない」という理由で、そのまま保存フィルムに包むのだ。
 
そして、食卓につくまでに疲れ果ててしまい、食欲がなくなり、さらに片付けるのが億劫になる。ご飯を作るのがめんどくさいことがネガティブサイクルしている原因がはっきり見えた。
 
それぞれのご飯を作るプロセスについて、3時間くらい話をしたただろうか。
 
数週間がたって、母からの報告があった。
「調理の時間が早くなったわ。調理台があんなに広いと思ったこと初めてよ。
ただ、作業の仕方をちょっと変えただけなのに、凄い違いだわ!」
 
普段何気なくやっていることも、仕事に関するスキルも、誰かと比べたり、シェアリングやチェックすることは、気持ちや生き方、表情までを変える可能性がある。フィードバックを得ることで、効率が良くなったり、ちょっとでも暮らしが向上するかもしれない。
フィードバックを積極的に受けよう。苦手から脱出できる近道になるだろう。
 
あの、母の切り抜きレシピコレクションは処分したそうだ。定番レシピを、新しい視点で作ることを目指すらしい。
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2020-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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