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6等星:病院を裏で支える2つの診療科


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記事:鈴木亮介(スピード・ライティングゼミ)
 
 
6等星。
夜空に光る星には、その明るさによって呼び方が違う。
一番明るい星は1等星。ベガやアルタイル、シリウスなど、星座を形づくる星として有名で、パッと見てもかなり光輝いて見える。
反対に、一番暗くて肉眼ではほとんど見えない星は6等星と呼ばれている。
でも、見かけの姿が本当の姿であるとは限らない……
 
「あっ、医学生なんですね。将来何科になるんですか?」
僕が医学生であると名乗った後に、次に来る質問は大体これだ。
僕は最近この質問に対してどう答えればいいかすごく悩む。
それは、まだよく決まってないからではない。
僕が今興味のある診療科の知名度があまりにも低いからだ。
でも僕は嘘をついたり、はぐらかしたりするのは苦手なので、正直に答えてしまう。
「病理か放射線科ですね」
相手が医療関係者でない場合、こう答えるとほとんどポカーンとしている。
「えーっと、それって何をするお医者さんなんですか?」
 
いやー、分かっているんだよ、知名度が低いことは。
後から説明を加えなきゃいけないんだよね。
 
病理、放射線科。これら2つの診療科は、いわば病院を裏で支える診療科だ。「裏で」とわざわざ言うのは、患者さんを直接会うわけでないからだ。
そうではなく、患者さんから取った組織、あるいはCTやMRI などの画像を、専門的に分析するのがこれら2つの診療科の役目である。
 
1. 病理診断科
病理診断とは、簡単にいえば、人間の組織を「つぶさに見る」科だ。最も代表的なのは顕微鏡を通して組織を観察する方法で、「鏡検」と呼ばれている。
患者さんから採取した組織(検体という)―例えば腫瘍―を薄くスライスして、病理医は顕微鏡のレンズ越しにその検体を観察する。例えば腫瘍なら、良性か悪性かを判断して、主治医に報告することで、治療方針の決定に役立てる。
 
2. 放射線科
「放射線科って、レントゲンを撮る人ですか?」
とよく聞かれるが、その人たちは放射線技師という違う専門職の人たち。
放射線科医は、放射線科が取った画像を読む人たち。
仕事場はPCだらけで、テレビに出てくる敏腕トレーダーのオフィスみたいだ。
主に扱うのはCTやMRIといった画像で、放射線科医は画像を読んで、病変の有無や広がりを判定し、主治医に手術の必要性を提言するなどする。
 
これら2つの診療科は、それぞれ得意な領域を持っている。
病理は細胞・組織。放射線科は画像。
どちらも形を見て判断することに長けていて、それぞれの分野では、ずば抜けた専門性を誇っている。もはや職人の世界だ。
正直僕ら医学生には、彼らの「選球眼」を理解するのは難しい。
何度か診断する場面に立ち会ったことがあるが、本当に凄かった。
例えるとすれば、僕が1時間かかっても解けない数独を、彼らはさっと10秒ほどで瞬殺してくる、くらいの衝撃だった。
 
また病理医と放射線科医の一部は、職人であると同時に、病気の「形」愛好家でもある。
画像診断実習で、放射線科の先生がCT画像を見て、「う〜ん、なるほど。これは美しい症例ですね」と漏らしていた。病気に「美しい」という概念があるのか……
また、ある病理医の先生は秘書さんの服を褒めて、「君の今日のワンピースはいいね。なんか脾臓の細胞みたいで」
僕は思わず吹き出した。あなたには、それが可愛いと言うことなのか……
彼らは病気の「形」を鑑賞しすぎて、一種の美学を持っている。
 
6等星。一番暗くて見えない星。
6等星は1等星と比較すると全然目立たない。
もしかしたらパッと消えても、誰も気づかないだろう。
でも6等星がほとんど見えないのは、ただ遠くにあるからだ。
仮に近くに行ってみてみれば、1等星よりも遥かに大きな星かもしれない。
世の中には、こんな6等星みたいな人がいっぱいいる。
 
病理や放射線科の医者も、この6等星みたいな人たちだ。
彼らは患者さんに会わないので、一般の人には知られていない。
実際僕は高校生のとき、この2つの診療科の存在自体を全く知らなかった。
医者といえば、よくテレビドラマに出てくる医者をイメージしていた。
だが医学を学んで、さらに病院で実習をしてみて、病理と放射線科の存在はとてつもなく大きく感じるようになった。
彼らは病気を「見る」職人として、医療現場で大きく活躍していた。
 
以前は一番暗かった星が、今の僕には一番輝いて見えている。
 
 
 
 
※正確には放射線科は放射線診断部と放射線治療部に分かれていて、前者は画像診断、後者は放射線照射によるがん治療を専門にしています。この文章では便宜上、前者を「放射線科」と表記しています。
 
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2020-03-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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