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メディアグランプリ

私が出産しているとき、主人は「はんだごて」を握っていた話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:新明 文 (ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「は~。また電気点いてないのか」
私の電気はとっくの昔に点いている。でも主人の電気はまだ点いていない。時々点灯するものの、今は点いてない。また一人でゲームしている。
電気とは「父親のスイッチ」のことだ。
 
母親は約10カ月の妊娠期間を経て、子どもを出産する。出産するときの痛みは尋常ではない。獣のような声をだそうが、鬼のような形相になろうが、少し臭かろうが気にすることもなく、子どもを産みおとす。産んだ瞬間に「母親スイッチ」がオンになる人もいれば、数カ月かけてやっと「母親スイッチ」がオンになる人もいる。(私は後者だ)
 
「産後クライシス」という言葉を聞いたことがあるだろうか。出産後に、急激に夫婦仲が悪化する現象のことだ。出産後、母親は2,3時間おきに授乳したり、おむつを替えたり、沐浴させたりお世話は尽きることがない。その上、通常の家事もしなければならない。
夫が全く手伝ってくれない訳ではない。苦しんで産んでくれた自分の遺伝子を受け継ぐ赤子が可愛くないわけではない。もちろん妻には産後の体をいたわってほしい。
でも何か足りないのだ。そして妻は夫の子育てや家事の関与について不満をもってしまう。こういった男女のすれ違いから離婚に至ってしまうケースも多くないらしい。
 
「母親スイッチ」は妊娠期間からじわじわと電気が流れだす。雑誌や先輩ママの話を聞いて産後のシミュレーションをしたり、赤ちゃんの服を買ってきて、小さな服にほほをすり寄せる。私の場合はこの時点では全く電流が流れていなかった。そして待ちに待った「出産」である。「出産の痛みはスイカを鼻の穴からだすかんじ」というが、確かにそんなかんじである。私は出産後に「もう二度と産まない」と思った。
 
あたりまえのことだが、出産はゴールではない。私は10カ月のマラソンのように思っていた。出産すれば楽になれると思っていたのだろう。それは大きな間違いで、出産はスタートだ。産後の寝不足の日々、慣れない育児で不安がつのる。沐浴の仕方が合っているのか、体重はちゃんと増えているのか、なぜ泣いているのか、発育は正常なのだろうか、24時間体制で赤ちゃんのお世話をしてやっと電気回路に電流が通りだす。ホルモンの助けもあってやっと「母親スイッチ」は完全に電気が点く。母親としての確固たる自覚だ。
 
一方で、この時点で父親は、まだ「はんだごて」をにぎりしめている。
 
父親はもちろん子どもを出産しない。ホルモンも分泌しない。身体的な援助なく、「父親スイッチ」をオンにしなければならない。つまり、心理的に意図的に「父親スイッチ」をオンにしなければならない。
 
私の主人は子どもがあまり好きではなかった。だからスイッチをオンにするまで何年もかかった。今も点滅しているくらいだ。私の予想では、「孫」が生まれた時に完全にオンになるのではないかと予想している。産後クライシスは何とか逃れられたものの、熟年離婚の可能性は残されている。
 
今妊娠中の妻や独身女性に覚えていてほしい。「父親スイッチ」を早くオンにすることが、家庭円満の秘訣である。働き方改革により女性の活躍推進が求められている世の中だ。少子化で日本の未来は危うい。もし働きながら子どもも育てたいと思っているのなら、まず「父親スイッチ」をオンにする方法を知っておいたほうがいい。
 
先述の通り、「父親スイッチ」は「母親スイッチ」より電気が点きにくい。妻や社会からのサポートが必要だ。なかなか父親としての自覚がもてない。
 
具体的にいうと、妊娠したらまず自治体などが主催している「母親学級・父親学級」に夫を連れていこう。夫が渋っても絶対に連れて行った方がいい。
 
そして妊婦検診に連れて行こう。女の園の産婦人科に行くなんて嫌だというかもしれない。でもエコーにうつる小さな小さな我が子を見ることで、電気回路がつながりだす。
 
出産するときにはぜひ立ち会ってもらおう。苦しんでいる妻をみて、何も思わない夫はいない。
 
あと、長期の里帰り出産はおすすめできない。自分の母親は育児を経験しているので、何でも手伝ってくれるが、夫の出番がなくなってしまう。夫の出番を増やしてあげないと実技を伴わないのでなかなか「父親スイッチ」が点かない。赤ちゃんは泣くかもしれないが、夫に赤ちゃんを預けてみよう。二人っきりにするのもいいかもしれない。私は夫と赤ちゃんを二人っきりにすることが不安だった。私の周りの多くの友人がそうだ。でも夫を信じて預けることが「父親スイッチ」に電流が流れるのに有効だ。
 
もちろん私の夫は育児休業をとっていないが、もし可能なら夫の育児休業の取得をおすすめする。主婦業がいかに大変であるか分かってもらえるはずだ。
 
家庭は少数精鋭のチームだ。子どもを育てるという目的を果たすべく、チームメイト一人一人が当事者意識をもって家事・育児を担うと、みんな笑顔でいられる。容易くできることではないことは知っている。私たち夫婦が証明済だ。だからこそ伝えたい。覚えておいてほしい。「父親スイッチ」はなかなか点かないことを。
 
 
 
 
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2020-05-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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