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奇跡はいつも起こっている

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:近藤頌(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「近藤くん、奇跡ってのはいつも、毎日起こっているものなんですよ」
 
高校時代。ことあるごとに、こんなことをいう先生がいたことを最近になって思い出した。
当時のぼくはいまいちこの先生が何を言いたいのか判断しかねるところがあって、ああそうなんですね、と受け流せるだけ受け流した対応をしていたように思う。
 
その先生曰く、
「飛行機って毎日飛んでいるじゃないですか。でもあれ、実はまだ人類はその飛ぶ原理を解明し切れてはいないんですよ。あんな鉄の塊本当は飛ぶはずないんです。だから、毎日奇跡が起こっているんですよ」
 
へえ〜、と頭の外で音がした気がした。
確かに聞いたことがある。これと似た現象で全身麻酔もどうして効くのかわかっていないのに、こうすれば効く、という結果論でもって今日まで使われているという話もどこからか入ってきた情報だ。
 
要するに先生が言いたかったのはこうだ。
世の中にはまだまだ知らないこと、わからないことが多い。意外と世界はあやふやで未知が満ち満ちている。だからこそ世の中を楽しんでいこうよ。外に目を向けて生きていこうよ。
 
的な。
当時そんなに落ち込んでいるように見えたのか、それとも内向的がすぎるのを改めさせたかったのかはわからないが、もしかしたら励ましたかったのかもしれないと、思い当たる節を無理やりつなげてみたりする。
 
当時は生きることにたいした感慨を持つこともなく、ずっと上の空な生活態度だったような気がする。かといって別に死にたいというほどの深刻さも持ち合わせておらず、どうせ痛い思いをするだけだろうし、仕方なく生きるしかないないという気持ちに支配されていた。どうせ生きていても面倒なことばかりしか起きない。小さな幸せを見つけたところで、すぐにまた、別の嫌なこととか、避けられない現実にたやすく上書きされてしまう。気分がいい、とか、楽しい、とか、笑い、とかそういうものは一切合切、燃料みたいなもので、ぼくはどうやら燃費のあまりいい方ではないらしく、すぐに稼働できなくなるたちだった。
だから、そういう自分と分離できるようになれたら楽になれるかもしれないと、そういう訓練を蜜に開催していたりした。
目標は、希望がなくても生きていける体にすること。
精神は別に硬くしておけば大丈夫そうだったし、それが無理をしているという自覚もなく、むしろ楽だったからそっちの方向で対処していけばいいとしていた。
問題は体の方で、体というよりは呼吸とか、発声の方だけれど、どうもぼくの声は嘘臭く人の耳に届いてしまうようにぼく自身感じていたし、まさに立ち居振る舞いに自信がなかった。そういう自信のない自分に焦りみたいなものも感じざるをえなくて、どうしたらいいのか考えても特に自分の脳みそから得られる期待もなく、とりあえずただただどうでもよくて、どうでもいいと考えるのが本当に楽で、漂う体に辟易しながらも身を寄せていた。
 
「夢を持ちましょう!」
当時の校長先生は何か挨拶をするという場で登壇すると必ずこのセリフを言っていた。夢っていうのは、つまりは希望だろうか。
ぼくはさっぱりわかっていなかった。
希望を持たなくても生きていけるようになりたいのに、どうしてわざわざ希望を持たなくてはいけないのだろう。
これは余計なお荷物なのではないだろうか。
希望を持てる体力や筋力があるなら、それはそれはきっと素晴らしいものなんだろう。それはテレビや伝記などをみていてわかる。希望を語る人には人がいっぱい集まってどんどんどんどん生きやすくなってさぞ明るくて気持ちがいいんだろうな、と思う。思うだけだけれど。
きっとそういう人から見れば、ぼくはただいじけているだけの性根の腐った人間なのだろうな、と思う。別にどう思われてもどうでもいいことだし、そしてどうでもいいからこそ進んでどうでもいい人生を歩みたいと思っているのだろうし、そのことに関してももうとにかくどうでもいいと思い続けることで平静を保っていることも別にどうでもよかったのだ。
 
そんなこんなで時間が過ぎて、
今更ながらに思い出す「奇跡はいつも起こっている」という言葉に、どうも支えみたいなものを感じている。
相変わらず希望とか夢には懐疑的だし、一方的な明るさには嫌悪しか抱けない体ではあるけれど「奇跡はいつも起こっている」という言葉の裏にあるものは信じてみてもいいかもしれないと思い始めている。
それはただの楽観思考、この世の周りはみんな奇跡でできている、なんて空き缶がガラガラなる雑音ではなくて、もっと探究心をくすぐられるような、しっとりとした囁きである。うまく言葉では、今の自分の力では、できないのだが、いつかこのことが、ばちん、と電撃が発生させられるように、地道地道に暗中模索していければいいなと思うのだった。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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