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SNSは、私たちを幸せにしたのだろうか? と考える夜


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記事:西部直樹(ライティング・ラボ)

 

今さらだけれども、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の普及は、私たちの生活や人間関係を大きく変えた。

LINEもメールも携帯もない頃、仕事で出かけたり、出張したりすると、定時連絡をする以外は自由だった。

外に出たし、連絡とれないから、まあ、仕方ないか、だったのだ。
帰りが遅くなる時は、公衆電話から「遅くなるよ」と入れておけばよかった。
アリバイ用BGMというのもあった。駅のアナウンスとか雑踏の音が入ったものだ。それを背景音に電話をすれば、どこから電話をかけても「今、駅だから」と言えたものだ。

しかし、今ではどうだ、
LINEで

「今、どこ?」

とくる。

これは既婚男性並びにパートナーのいる男性がもっとも心臓に悪いドキッとする書き込みだ。
読んだら返事をしなくてはいけない。
どこにいようとも。
「あ、天狼院にいます」と、動揺した文で返信したりする。
「じゃあ、1時間で帰ってこれるわね」と念を押され、
え~と、家庭の事情で帰ります! と席を立たなければならなくなるのである。

さらに、GPS機能がついていたりするので、
「あっと、天狼院でお茶しています」と書いても
「なんで、今は渋谷にいることになっているよ!」と追求されたりするのだ。

いやはや

帰りが遅くなった時、
「いやあ、公衆電話がふさがっていてね」
と堂々といい訳の出来た時代が懐かしい。

さらに、メールとかグループチャットとかコミュニケーション手段の多様化は、便利だけど、混乱も招く。

「今から出ます、待っていて下さい」
と密かにメールをしたら、間違って妻にメールが届いてしまい、深刻な事態に追い込まれた、と聞いたこともある。ご愁傷様である。
まったくもう。

そんなこんなで、大きく変わったコミュニケーションのあり方、それを、子どもたちにも教えるというボランティアをしている。
小学校や中学校に赴き、「携帯やネットは正しく使いましょう。被害者やましてや加害者にならないように」とお話をしているのだ。
ネットワークは、恐ろしい犯罪者が潜んでいるし、それでなくても一つ間違えるといじめや喧嘩の原因にもなるのですよ、と。

例えば、ABCの三人で仲良しグループを作り、グループでチャットを楽しんでいた。
しばらしくて、どうもAちゃんはBちゃんの言い方が気に入らない、そのことをCちゃんに伝えようと二人だけのチャットをしたつもりで、グループに書き込んでしまった。
A「Bちゃんの書き方、ちょっとあれじゃない?」と。
もちろんこれを読んだBちゃんは心穏やかではない。

間違って書き込んだりすることを「誤爆」といったりするようですが、間違いが元で炎上し、かくして仲良し三人組は崩壊し、喧嘩し、いじめにとなったりします。

LINEでもメールでも、送信ボタンを押す前に、一度読み直してみましょう。
等と小学生や中学生を前に説いている。

先日も、私が主催する読書会のグループにこんな誤爆があった。

その日は、チャットは静かで誰も書き込んではいなかった。
夜更け前にそこにある女性から、こんな書き込みがあった。

「おやすみなさい、(キスマーク)」

「あ、間違えました!」
「消して下さい、キャー」

と。

寝るには少し早い時間だった。
数十人いるメンバーの誰もが読んだであろう。
しかし、誰もその後に書き込みをしなかった。

翌朝、数人がスタンプを送ってきていた。
すべて「(good)マーク」だった。

 

新しいシステムはコミュニケーションを便利にし、そして少し複雑にしてしまったけれど、
「幸せのお裾分け」ももらえるのである。

 

***
この記事は、ライティングラボにご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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