帝王切開とべきオバケ
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記事:岡 志津(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
「帝王切開も立派なお産です」
この言葉、違和感があるのだが、私だけだろうか?
「7月7日と7月14日、どっちがいいですか?」
「えーっと……。(7月7日だと七夕とかぶるから……)7月14日でお願いします」
これは、帝王切開の手術の日が決まった時の会話。
つまり、自分の子供の誕生日が決定した時の会話である。
経腟分娩だとこうはいかないが、私は帝王切開で、つい先日赤ちゃんを産んだ。
今、入院中の病室でこの文章を書いている。
産みたてほやほやだ。
帝王切開は、誕生日が選べる、つまり、産まれる日が事前に決まるので、夫の休みが合わせられるなど予定が組みやすい。
何しろ、一番のメリットは、赤ちゃんが無事に生まれてくるという安全性を高めることができるということだ。
今や5人に1人や4人に1人といった割合で行われており、知らないだけで、身近な人にもたくさん経験者がいるはずだ。
おなかと子宮を切開して赤ちゃんを取り出す帝王切開。
大きく分けて2種類ある。
緊急帝王切開と予定帝王切開だ。
下から産む経腟分娩の途中で緊急事態が発生し、医師が帝王切開に切り替えたほうがよいと判断して行うのが緊急帝王切開。
逆子・多胎妊娠・子宮の手術をしたことがある・持病があるなどの理由で事前に分かっているのが予定帝王切開。
2回の子宮筋腫の手術をしたことがあった私の場合、子宮破裂のリスクがあるため、予定帝王切開となった。
「とはいえ、帝王切開ってどんな感じ?」
そう思ってググった時、ふと目についたこの言葉。
「帝王切開も立派なお産です」
どうやら、漫画『コウノドリ』の中で出てくるセリフのようだった。
帝王切開を「ちゃんとしたお産」ではないからと嫌がる妊婦さんに対し、
帝王切開は確かに「手術」ではあるが、赤ちゃんの命を守るためだけに妊婦は命をかけて手術台に上る、これは立派な「お産」なんだよと、諭す。
そんなシーンだった。
このシーンの医師のセリフに違和感は無い。
ただ、この言葉に救われたという人たちがいることへの違和感だ。
つまり、「帝王切開はお産じゃない」といったような心ない言葉に苦しんだり、
もしくは、「ちゃんと産んであげられなかった」と自分で思ってしまう人が、少なからずいるということだ。
漫画でわざわざこんなシーンを作るということは、そういうことなんじゃないだろうか。
ググっても結構な量の傷ついた話が出てくる……。
読んでいるだけで辛くなってくる。
立派とか立派じゃないとか優劣をつけることがそもそも良くないとは思うが、
少なくとも、帝王切開を経験した私からすると「立派なお産」だったと思う。
陣痛は経験していないが、5日経った今日もまだ傷口が痛いし、同じ病室に後から入った経膣分娩の人の方が早く回復し、早く退院していくのを横目で羨ましく見ている。
陣痛の痛みを分散して味わっている、そんな感じだ。
また、子供が大きくなったらきちんと「帝王切開で産んだんだよ」と、話したいとも思う。
両親学級に行った時、「べきオバケ」から自分を守ろう! という講義を受けた。
・離乳食は手作りするべき
・子供の面倒は私が見るべき
・子供は早く寝かせるべき
・今だけだから頑張るべき
・みんなやっているのだから自分もやるべき
……
産後うつにならないために、誰かが作った◯◯すべきというものにとらわれないように。
ママもニコニコなら子供もニコニコになるんだよ、というものだ。
これらの「べきオバケ」は、今後の子育てでも付きまとってくるだろう。
でも、よく考えたらそれまでも
・女子は男子より学歴が高くないべき
・女子は生徒会会長ではなく副会長になるべき
・女の子は親元近くの地元にいるべき
・30歳までに結婚すべき
……
こんな「べきオバケ」をのらりくらりとかわしながら自分の身を守ってきたじゃないか。
・子供は下から産むべき
・帝王切開に逃げるべきではない
今回の「帝王切開も立派なお産です」は、こんな「べきオバケ」が顔を出した瞬間だったのかもしれない。
こんな時は、本当は帝王切開じゃない方がよかったな、ではなく、
帝王切開になったんだから誕生日選べてよかった、スケジュール組めてよかった、
みたいにポジティブに変換しよう。
「〇〇するべき」と考えると不自由で辛いけど、ひっくり返せば自由で楽しくなる。
「べきオバケ」が出てきてしまったら、モグラ叩きみたいに、出てきた瞬間バシッと叩いてやっつけて自由になってやろうじゃないか。
言いたい人には言いたい人の事情もあるし、言わせておけばいいのだ。
ポジティブ側に発想の転換をしよう。
***
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