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私はオタクになりたい


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記事:住田薫(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「私はオタクじゃない……!」
 
切実に、思う。
 
オタクとは、自分の好きなものために、人の目もはばからず全力でその愛を捧げ、その世界を深く広く知り尽くしている人のことだと、私は思う。
 
そんな人に、私は強く憧れている。
 
たとえば、私は「釜」が好きだ。
 
数年前に茶道を習い始めた。そして、その茶の湯の世界にどっぷりハマってしまった。
もともと、“モノ”が好きで、色々なものを収集したり、集めたものをズラリと並べた風景にひどく憧れたりする子どもだった。
お茶を習い始めるまで知らなかったが、実は茶の世界は“モノ天国”だった。
亭主は趣向を凝らして道具を揃えるし、客もその選びぬかれたモノたちに興味津々なのである。そんなこともあってか、茶の世界には、いろんな素敵なモノで満ちあふれている。
そして、膨大にある“お道具”の中で、私はとりわけ「釜」が好きだ。
 
釜とは、火にかけて湯を沸かすための金属製の容れ物のことだ。
なぜ好きなのか、私にも分からない。とにかく、ずっしりと重たく、大きなものに強く惹かれるようだ。あのざらざらぼつぼつした表情とか、物としての存在感とか、そこで湯が沸く様子なんかが、大好きだ。
好きすぎて、骨董市などで古い釜を見かけると、ついつい買ってしまう。中には錆びていたり、あまり状態の良くないものもあるが、そんなものですら愛おしい。
湯を沸かすだけなら、1個で十分足りる。靴下のような消耗品でもないし、洋服のように着回す必要もない。
だけれども、大きいの、小さいの、華やかなもの、モダンなもの、夏用など、シチュエーションによって使い分けたいなとか、あるいはもっと単純に、美しいカタチに惚れ込んで、つい財布の紐がゆるむ。
 
でも、私は「釜」オタクじゃない。
 
製法、呼称、素材、歴史……釜の世界には、まだまだ知らないことが沢山ある。
鉄の塊にうっとりしていると変なヤツだなと思われるかなと、他の“お道具”にもまんべんなく愛情を注ごうとか考えてしまっている。
湯を沸かすために普段遣いしたり、自分で漆を焼きつけ塗装したり、やってみたいことは沢山あるけれど、「忙しい」を言い訳に、なかなか実行に移せていない……。
だから、釜のことを何も知らない友達から、「詳しいんだね」とか「釜オタク」言われると、めちゃくちゃ恥ずかしい。
 
「ちがう、私はまだまだそんな域に達していないんだって……!!」
 
心の奥底で叫ぶ。
 
私なんて、ただの初心者だ。モンスターみたいな人たちがもっと沢山いる。私なんて足元にも及ばない。
 
日本人はオタク気質だ、と私は思う。
真面目で、コツコツと、自分の道に没頭し邁進する。熱を注ぐと決めたことには、徹底的に熱を注ぐ。
だから妙なところで技術がめちゃくちゃ高いのだと思う。
 
例えば、トイレのウォシュレット。
私は未だ使ったことがないので、その魅力はよくわからないが、日本に暮らしていた外国人が母国に帰ったときに恋しくなるものの一つなのだそう。
 
例えば、エレベーターのスピード。
世界中に建つ超高層ビルには、日本のエレベーター技術が欠かせないそうだ。
現在最も早いエレベーターは、中国のCFTファイナンスセンターにある日立製のもので、分速1260mなのだとか。440mの高さまで42秒で到達するのだそうだ。一般的なマンションのエレベーターで分速45~105mだそうなので、驚異的なスピードだ。
 
きっと開発当初は、エレベーターをつくるのに、スピードを競う必要など、なかったのではないだろうか。だけれども、その道を極めたことで、今や世界の超高層ビルにはなくてはならないものとなった。
 
トイレは、ウォシュレットにとどまらず、自動開閉、便器洗浄、消臭、脱臭、節水などの機能の開発も進んでいるようだ。必ずしも必要ではない機能の開発を極めた結果、快適なトイレライフをつくりだしている。
 
開発者たちはきっとモンスター級のオタクだったにちがいない。
その道に熱を注ぎ続け、オタク道を極めたことで、ニッチで、でも飛び抜けた技術が発展し、結果的に人の役に立っているのではないか。
 
オタクとは、好きなことに、しっかりと情熱を注ぐ、愛情が深い人たちなのだ。
オタクとは、そんな素敵な人たちなのだ。
 
なぜそこに熱を注ぐ必要がある? などと考える必要はない。
多少人に引かれようとも。
それが何の役にたたなくても。
多少知識に偏りが生じようが、気にしない。
オタク道を思う存分突き進む。
 
そんな人に私もなりたい。
 
もっともっと、釜の世界を知りたい。釜師のこと、カタチのこと、その材料のこと、もっと深堀りしたい。歴史だってしっかり覚えていれば、美術館に行ったときにきっともっと理解が深まるのではないか。お稽古や茶会の時間だけでなく、日常的に釜を使おう。きっと美味しい湯が沸くはずだ。きちんとメンテナンスし、できることならカスタマイズだってしてみたい。あわよくば、自分でつくってみたい。
野望は膨らむ。
 
オタクになりたい。
密かに憧れている人は、実はたくさんいるのではないだろうか。私のように。
 
 
 
 
***
 
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2020-12-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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