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今日もまた、「思い出しムカつき」だ!


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記事:西部直樹(ライティング・ゼミ)

天狼院書店のライティングゼミを受けて、
よかったことは多々ある。

ひとつに、文章を書くのが苦にならなくなった。
苦どころか、逆にとても、楽しい。
書くのが楽しくてならない。
書く時間がないことを苦痛に感じるほどだ。
それが何よりの成果だ。

そして、副次的な効果もあった。

ライティングゼミでは、毎週記事を書く。
身のまわりのこと、友人、知人、その他のことを書いている。

そういえば、こんなこともあったな、と昔のことを思い出し、記事に書く。
自分のまわりの人のこと、学生時代、高校、中学、小学校時代のことを思い出して。
こんなことをよく覚えていたなあ、と書いているうちに、自分自身が驚くこともあった。

小学校一年生の時、登校の途中で転んでしまい、ズボンが泥だらけになってしまった。小さいながらも、泥だらけのズボンは恥ずかしかった。
先生にいって、少し泥でも落としてもらえばよかったのに、自分には勇気がなくて言えなかったこと。などなど。
半世紀も前のこと、鮮明に思い出したりするのだ。

そう、副次的な効果というのは、
記憶力、それがよくなった。

正しくは、記憶する力というよりは、思い出す、想起する力だ。

書くためには、いろいろと思い出して、題材を集めなくてはならない。
過去のことを思い出し、書いていくうちに、関連していろいろと思い出していくのである。

そういえば、こんなこともあったとか、なかったとか。
楽しかったこと、哀しかったこと、喜びとか。

そう言えば、学生時代に付き合っていた人はどうなったのかなあ、と感傷的になったりもした。

楽しいこと、嬉しかったこと、少し感傷的なことなどを思い出すのはいいのだ。楽しい、嬉しい、少しセンチメンタルな感情が呼び起こされ、楽しさや喜び、感傷を追体験しても心地よい。
しかし、過去には、楽しかったこと、嬉しかったことばかりではない。

副作用というか、マイナス効果もある。

昔、ムカついたことも思い出すようになった。やれやれ。

恥ずかしいことなら、ああ、恥ずかしかった。済んでしまったことだ、と割り切ることもできる。

学生時代、当時付き合っていた女性とケンカをしたことがある。ケンカの原因は些細なことだったと思う(さすがにそこまでは思い出せない)、しかし、ケンカした場所が悪かった。大学の構内だった。1号館の階段だったと思う。
そこで、派手にやり合ってしまったのだ。
私たちの痴話喧嘩を他の人にも見られてしまった。
なんとも恥ずかしい。
なにがって、なんか私が女々しいことを言った、ということは覚えているから。

そのような恥は、若かったのだ。と、笑い飛ばせる。思い出す度に恥ずかしいけれど、ふふ、と笑って済ませることができる。

しかし、怒りは、笑えない。
その時の感情が蘇り、あいつは許せない、と感情が沸騰する。
徹底的に相手を打ちのめす(肉体的ではないけれど)ことを想像したりするのである。
一つを思い出すと、その相手のことを、あれもそうだった、これもそうだ、と次から次に思い出してしまう。なかなか厄介な副作用である。

ある会合で、私が提案したことを、某氏が軽く「そんなもの」と否定してきたことがある。そのいい方はけんか腰でも、強弁でもなかった。しかし、こちらが誠意を込めてした提案を一考だにせず、軽く扱うというのは、如何なものか。その言い方がなんとも許し難かったのだ。相手はもう忘れているかもしれない、もうだいぶ前のことだ。
しかし、その時のことを思い出すと、怒りがムラムラとわき起こる。その時は他の人もいたので、私も「そうですねえ、まあ」と軽く引き下がったのだ。しかし、あの言い方は、あの態度は!

と、怒りを新たにしてしまうのだ。

こんな副作用をどうしてくれるのだ!
ライティング・ゼミ!
と、八つ当たりもしたくなる。

「で、そのことを思い出すと、ムカムカくるんだよ」
と、私は新橋の居酒屋で、妖艶な人妻に向かって話をしていた。

「珍しいわね、あなたが愚痴をこぼすなんて」
と、妖艶な人妻は、黒のミニスカートから伸びた長い脚を組み替えながら、笑っていた。

「愚痴というかね、どうしたもんかと……」

なぜか、新橋には個室居酒屋が多い、ような気がする。そんな居酒屋の狭い個室、テーブル一つにL字型に配された席は、二人がけと一人がけしかない。
今日、友人はなにかの用事で来ない。
華奢で可憐な彼女は、まだきていない。
妖艶な人妻と二人きりだ。

「思い出しムカつきか、私も時々ある、あの時の旦那を許せない、とか」
彼女は、笑いながらレモンチューハイを呷る。

「思い出しムカつきは、相手が目の前にいないだけに、困るよな。エスカレートして。この間思い出したときは、メリケンサックをした拳で1発、殴ってしまった。ああ、もちろん妄想の中でな」
私はその時のことを少し思い出し、憤然としながら薄いハイボールを飲んだ。

「メリケンサック! まあ、昭和な凶器ね。そんなので殴られたら、相当痛かったでしょうね、彼は」
「いや、彼女だ」
「ひ、女性なの、相手は」
「そうだ、だから、よけいに腹が立つような気がする」
妖艶な人妻は、ノースリーブの上着に包まれた嫋やかな肩をすくませた。

そこに、華奢で可憐な彼女が個室に入ってきた。
彼女の様子を見て、私は少しの間、口を開けているだけだった。
さらりとした亜麻色のショートヘアにストローハットをのせ、レース素材で包まれた上半身は薄く白く煙るようだ。レースに包まれた二の腕が眩しい。
そして、ミントグリーンのショートパンツから伸びた脚、高いヒールのサンダルでいっそう脚の長さが際立つ。
「ヒュー! 素敵! 可愛くて、綺麗な脚、撫でたいくらい」
声を失っている私に代わり、妖艶な人妻が彼女を褒める。

「久しぶりに会うから、ちょっと気合い入れてきました」と彼女は、無駄な謙遜をしない。
「それで、何を話をしていたんですか?」
私のそばに座った華奢で可憐な彼女は小首を傾げる。

「時々、女の子のことを思い出して、辛いんだって」
妖艶な人妻が、笑いながら彼女に説明をする。
「え、どんな女の人ですか」
「殴られるような人」
「??」

これ以上妖艶な人妻に話をさせると、とんでもないことになりそうだ。
私から、これまでのことをかいつまんで話をした。

「思い出しムカつきかあ、ありますね」
と、にこやかに華奢で可憐な彼女は言う。
「でも、どうして、彼女にむかつくんですか?」
「どうしてって、いい方が気にくわないし、態度がよくなかったんだ」
「言い方のなにが、気に入らなかったの?」
華奢で可憐な彼女の私の方を見ながら、聞いてくる。
「なにがって、僕の話を軽く扱ったからな、折角のものだったのに」
少し、憤然を蘇らせながら、私はいう。

「軽く扱って欲しくなかったんだ」
「そうだよ、人の提案にはそれなりの敬意を払って欲しかったなあ」
「敬意を払って欲しかったのに、敬意を払うどころか、軽く扱ったから、ムカついたの」
「そうだ、僕は敬意を払って欲しかったんだよ」
「敬意を払って欲しかったのに、彼女はしなかった、だから、ムカついたの」
華奢で可憐な彼女の声は、いつもより低く、静かだった。
彼女の声が、私の中に染みこんでくる。
「そうだ、彼女が僕の思い通りの行動を取らなかったから、ムカついたんだ」
華奢で可憐な彼女が、私の言葉に頷く。

「思い通りにならないと、ムカつくこともあるわね。
でも、そんなとき、私は思うの。私も他の人の思い通りのことをしているのかって。
全然、私は私、他の人の命令で動いているわけじゃないやって」

「……、たしかにね。そうだ」
私は深く首肯した。
「そして、そんな風に思い出しムカつきをしていて、いいことあった?」
華奢で可憐な彼女は、少しばかり声を高めて聞いてくる。
「ないね。なにも。時間が無駄に過ぎていくだけだ!」

華奢で可憐な彼女は、ちょうどきたギムレットのグラスを掲げる。
「ありがとう。モヤモヤが晴れたよ」
私は、彼女のグラスにハイボールのグラスを合わせる。
彼女は、ギムレットを一気に呷る、少しむせながら、飲み干した。

「一気飲みは、ちょっと」
私は少し慌てる。

「あなたのモヤモヤは晴れたかもしれないけど、私はちょっとモヤっとしているから」
お代わりを注文しながら、華奢で可憐な彼女は妖艶な人妻に向かって呟くようにいう。

「え、どうして? なにが、あなたをモヤっとさせているの?」
私が彼女に聞く。
「誰かが、気合いを入れた私のことをなにも言ってくれないから」
彼女は、私の方を向いて言うのだ。

彼女の後で妖艶な人妻は素知らぬ顔をしている。
嫋やかな二の腕が艶めかしい。

「思い通りのことを言って欲しかったんだ。でも、人はいつも他人の思い通り、望み通りのことを言ってくれるものだろうか」
私は、少々真剣な顔をして言ってみた。

華奢で可憐な彼女も、真剣な顔をして言う。
「でも、礼儀というものはある。私が褒められるのが好きなのことを知っているのに、なにも言わないのは、礼を失している。つまり、失礼なのよ。失礼な人には、少々ムカついても仕方ないんじゃないかな」

「……、うむ、そう、そうだね。失礼な態度を取るのは、いけないね」
「そうでしょう」
華奢で可憐な彼女は、したり顔で頷く。
「で、失礼な人は、どうするの」

「うむ、とっても素敵だ。眩しいくらいに可愛い、それに……」
「それに?」

妖艶な人妻が、レモンチューハイのお代わりを頼み、私は、何と言おうか思案に暮れ、華奢で可憐な彼女は、笑いながら私に詰め寄ってくる。

思い出しムカつきは、もうどこかに行ってしまった。

変えることが出来ないもの、それは他人と過去
変えることが出来るのもの、それは自分と未来

どこかで読んだ言葉を思い出した。

変えられない他人のことに悩んでいたのだ。
空しい時間だった。

自分と未来を変えていこう。

華奢で可憐な彼女に、何と言おうか。
女性になんと言えばいいのかわからない、自分を変えていこう、まずは。

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-08-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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