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『時をかける少女』は『時をかけた少女』に変換されているかも知れない!


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記事:まみむめ もとこ(ライティング・ゼミ)

 

2012年11月7日、父が他界。

 

私の父は脳梗塞で倒れたあと食道がんを発症。病院での治療はあきらめ、残りの時間をホスピスで過ごそうと転院した。

そして次の日、父はあっけなく逝ってしまった。

 

亡くなったあと、父を家に連れて帰るため、病室で妹と業者を待っていた。

もの言わぬ父は、静かに寝ている。

その横で妹とぼんやりした時間が流れていた……みたいだが、二人でどんな話しをしたのかしなかったのか、どうやって過ごしたのか、数時間のことが思い出せない。

ただヘルパーさんが部屋を片付けにきたとき、私たちの姿を見て「名札はこのままにしておくね。まだお父さん、ここにいるもんね」と、優しいトーンで話しかけてくれた言葉に、涙があふれたのは覚えている。

 

もう一つ、記憶がある。

ドラマで亡くなった人は病院の裏口みたいなところからひっそり出て行くのが常。

うちもそうだと思っていたら、ホスピスは違って驚いた。

父は堂々と玄関から出て行った。

しかも先生はじめ、看護師さんやヘルパーさん、そしてキリスト教の施設だったためシスターまでも玄関に集まってくれて、みんな亡骸に向かって頭を下げて見送ってくれた……?

その白衣の白さだけがくっきり脳裏に焼き付いている、断片的な記憶だけれど。

 

そして父を乗せた車が走りだし、私たち姉妹も自家用車で自宅へと向かった。

そこでも不思議? な光景にあった……。

すでに夜だったので道は暗く、街灯もない。

でも知っている道なので、当たり前のように走っていた。

しかしいつもと様子が違う。

行けども、行けども畑しか見えない。

見覚えのある景色が出てこない。

ここが一体どこなのか、目印になるものがなにもない。

そのうえ、あたりは真っ暗だ。

車のヘッドライトをハイビームにしてもよく見えないぐらいの暗黒。

私たちは完全にどこかに迷い込んでしまった。

 

と、そのとき、大きな鉄塔らしきものが現れた。

うーん? こんなの見たことない?

あやふやな私のメモリを整理してみると、暗いのに、なぜ“鉄塔”とわかったのか?

それはそこだけスポットライトのように光が当たっていたからだ。

そうだ、多分、満月の光が鉄塔を照らしていたのだ。

どんどん思い出してきた。

その光が反射して、一本の道をくっきりと浮き上がらせていた。

ハンドルを握る私は、迷わずそこの道を進んだ。

そうだ!

すると見慣れた大きな道路につながって、無事に帰ることができたのだ。

父が亡くなった日は、そんな記憶がつながっている。

 

数年経った今、冷静に思い出してみたが、はっきりしたリアルなイメージが甦る一方で、ぼんやりした印象が浮かんでは消える……。

時間がつながっていない感じ。要所、要所でプツ、プツと途切れている。

 

しかもよく考えると、辻褄があっていない思い出だ。

そもそも満月だったのに、あたりが真っ暗だった?

いやいや、なにも見えないのに一面に畑が見えていた?

これはもしかして、以前に聞いたことがある“記憶のすりかえ”という現象なのか!?

記憶は都合のいいように塗り替えられるらしい。

 

『時をかける少女』は筒井康隆の原作で、何度も映画化、テレビドラマ化された作品だ。

なかでも1983年に映画化された原田知世主演のものが有名で、もちろん私も見ている。

しかも何度も見ている。

だって大林宜彦監督の、尾道三部作としてテレビでも一時期よくオンエアされていたし、映画館でも大林特集を組むと、必ず上演プログラムの1つとして入っていたからだ。

 

そして2016年7月からは、日本テレビ系列でドラマ『時をかける少女』が始まった。

主演は黒島結菜。幼馴染みのゴローちゃんを竹内涼真、そして未来から来た深町くんを菊池風磨と、若い俳優陣が熱演していた。

見ていると、とても懐かしい。

そして私の知っているストーリー展開に安心感も覚える。

が、なんか小さな違和感がある。

ちょうど喉に魚の骨がひっかかり、取れそうでとれない、そんなイガイガした感じ。

なんだろう?

 

そしてわかった。

そうだ、名前だ!

テレビの主人公は芳山美羽(よしやまみはね)。周囲から「みはね、みはね」と呼ばれている。その言葉を聞くたびに、私の頭の回路はピクピクと反応する。

一世を風靡した原田知世は、そんな名前ではなかったはずだ。

気になって調べてみた。

 

原田知世は芳山和子(よしやまかずこ)という、昭和の代表みたいな名前だった。

つい面白くなって、もっと調べてみると、「ゴローちゃん」「深町くん」も、微妙に名前が違っていることに気がついた。

ドラマでは“深町翔平”は、映画では“深町和夫”。

そしてゴローちゃんに至っては、テレビでは“浅倉吾朗”なのに対して、映画では“堀川吾郎”となっている。

特にゴローちゃんは“郎”が“朗”にかわっているが、そこにどんな意図があるのかはわからない。“堀川”は昭和で、“浅倉”は平成の苗字なのか? と考えると、こちらもひっかかってしまうが、制作側のなにか思いがあるはずだ。

確かに深町くんの“和夫”は、今にはそぐわない響きだと思うので、かえて正解だと思うけれど。

 

たまたま名前にひっかかり、調べた私は記憶を取り戻した気がした。

が、ここで名前に気が付かなかったら、私の『時かけ』は、ドラマを上書き保存されていたかも知れない。

そして『時をかける少女』は、私の頭の中で『時をかけた少女』に変換されてしまっても気が付かなかったかも……なんてことを考えると、恐ろしい。

 

すべてに疑問をもってドラマを観ると、他にもテレビと映画では微妙に違うことがいっぱいあった。

主人公がショートヘアまでは一緒だが、美羽は元気いっぱいクラスのリーダー的存在なのに対して、和子はちょっと引っ込み思案な少女だったりする。

また映画では「土曜日の実験室」がキーワードだったが、ドラマでは実験室のシーンは確かに重要なポイントになってはいるが、果たしてこれが土曜日の出来事なのかは不明。でも原田知世の『時かけ』が刷り込まれている世代は、当たり前のように「土曜日の実験室」と思いこんでしまう。

 

リテール一つ一つが、映画とちょっとダブってはいるが、その先が微妙にかわっている新しいテレビドラマの『時をかける少女』。

私は映画とドラマを比べて、自分のメモリとすり合わせしたが、これとて定かではない。

「これは大変だ! 私の『時かけ』が消されてしまう前に映画を見直さないと」

と原田知世主演のDVDを借りようとしたが、なぜだか扱いがないと言われてみることができない。

 

もしかしてそんな映画、存在しないのか!?

「いやいや、絶対にそんなことはない」と打ち消すが、記憶に“絶対”という言葉が存在しないことは、もう知っている。

だとしたら、未来人が私の記憶をこっそり塗りかえているのか?

それはそれで怖いけれど、ちょっと面白いかも。

なんて笑っている場合ではない!

 

私の記憶が消去されてしまう。

OSがすべてアンインストールされてしまう。

その前に食い止めなければ。

もしかしたらもう手遅れかも……!?

そしてもしかしたら、2012年11月7日が父の命日ではないのかも……!?

そしてもしかしたら、まさか、この世に私は存在していないのかも……?

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-08-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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