メディアグランプリ

天狼院で働き始めたけど、正直なところもうやめてしまいたい


【12月開講申込みページ/東京・福岡・全国通信】人生を変える!「天狼院ライティング・ゼミ」《日曜コース》〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
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【11月開講】未来を変えるマーケティング教室「天狼院マーケティング・ゼミ」開講!「通信販売」も「集客」も「自社メディア構築」も「PR」も、たったひとつの法則「ABCユニット」で極める!《全国通信受講対応》

記事:永井里枝(ライティング・ゼミ)

「三浦さん、ここで雇ってもらえませんか?」
まだこの時は、この言葉の持つ重みに気づいていなかった。
決して甘い気持ちで言ったわけではない。しかし数日後には、激しく後悔することになるのだった。

予期せぬタイミングで前職を辞めることになった。
不可抗力といえばそうかもしれないが、どうしようもない状況だったのかと言われれば、今となってはわからない。
ただ、突然現れた人生の岐路を、どうにかして自分のチャンスに変えなければ、私の人生はこのままずっと輝きを放つことなく終わってしまうような恐怖に襲われていた。

「もっと自分を表現する方法について学びたい」という気持ちから、ライティング・ゼミに通い始めたのが今年8月。それまでは天狼院書店の存在すら知らず、知人に勧められるまま訪れたのがきっかけだった。
隔週で受講するゼミはいつも楽しかったし、他の受講生の方々とも仲良くなって、家でも職場でもない新しい居場所を見つけた、と心躍る日々だった。

そんな生活の中で訪れた転職のタイミング。
もし、天狼院書店という船に合流できたら、もっと自分の表現活動にまっすぐ向き合えるんじゃないか。そんな風に漠然と考えていた。
その考えは日を追う毎に強くなり、天狼院で働きたいと明確に思うようになった。
そんな折に、店主の三浦さんが福岡入りし、直接話す機会が訪れた。
今日言おうか、明日にしようか。
そんな迷いを振り切って、自分を雇ってもらいたいと申し出たのが10月の初めのことだ。

その2日後、改めて面接をしてもらえることになった。
私は、生まれて初めて真剣に履歴書を書いた。
今まで書いてきた志望動機がいかにデタラメだったか、自分でおかしくなった。
「ああ、私、本当にここに入りたいんだ」
そんな静かな興奮に包まれて眠りについた。

翌朝、約束の9時少し前にお店に行くと、福岡天狼院店長の川代さんが出迎えてくれた。
いつもは夜にしか来ないお店は、朝の日差しが入るとまた別の空間のように感じた。
程なくして三浦さんが到着し、面接が始まった。今までやってきたこと、これからやりたいこと、世の中に対して疑問に思っていることなど、話し始めたら自分で止められなくなっていた。
「こんなにいろんなこと考えてたんだ……」
三浦さん、川代さんと3人で話していると時間を忘れた。
そこで、なんと3時間もしゃべり倒してしまった私は、翌週からまずはアルバイトとして働くことになった。

しかし、スタッフとして入り始めてすぐに、私は自分の選択が間違っていたことを知った。
原因は、川代さんだ。

正直、川代さんに会うのが辛い。
本当につらい。つらくて、つらくて、やめてしまいたいと思うまでに時間はかからなかった。

そもそも、ライティング・ゼミを受講する決め手となったのは、<川代ノート>だった。
最初に読んだのは「私たちはいつになったら石原さとみになれるのか」という記事だった。
世の女性の願望を代弁し、石原さとみのかわいさについて冷静に分析し、自分自身のことを赤裸々に語った挙句、最後は女子部の告知に持っていくのだ。
ずるい。
こんな文章を書けるなんて、たった24歳なのに、なんで?
私が自分のことを素直に受け入れられるようになったのなんて、30歳を迎えた最近になってからなのに、この人はその先の次元にいる。そんな気がした。
そして、彼女の頭の中にあるものを知りたいと思った。
それを外にアウトプットする方法についても、知らなければならないと思った。

ライティング・ゼミを受講し始めて、さらに川代さんの力を見せつけられることになる。
メディアグランプリでは常に上位だし、読みあさった過去の<川代ノート>もみな、実に的を得ていて共感するものばかりだった。それでいていやらしさがなく、最後までスラスラと読まされてしまう。
これから4か月の間に、自分がこんな記事を書けるようになるとは到底思えなかった。
7つも年下の女の子に、強烈な劣等感を覚えた。

天狼院にスタッフとして入る最初の日、「私はこれから川代さんを、紗生ちゃんって呼ぶことにします」と恐る恐る言ってみた。
「えー!じゃあ私はなんて呼べばいい?」
「がいちゃん、でいいよ」
そんな会話から仕事が始まった。
そばで見ていて思うのは、とにかく仕事が早いということ、異常なほど気配りが行き届いているということ、それからメイド服が似合うということだ。
膨大な仕事の合間にあの記事を書いて、さらっと週間1位をかっさらい、益々ファンを増やしている。それが、才能だけではなく、努力に裏付けされたものであることも、ひしひしと伝わってくる。紗生ちゃんのことを知れば知るほど、仲良くなればなるほど、自分の小ささを思い知らされるようでつらかった。

ちょうどその頃、「劇団天狼院〜咲〜」の稽古が本格的に始まった。
小説家養成ゼミの受講生の作品を、演劇として作り上げようと始まったこの企画、主演を務めるのは紗生ちゃんだ。それだけではない、演出も紗生ちゃんが行う。しかも、福岡天狼院の店長をしながら。
私も音響担当として関わることになった。1か月で演劇を作るという挑戦は、無謀に近い。
しかも、参加するのは演劇経験者ばかりではない。紗生ちゃん本人も、演技については素人なのだ。それでも、膨大な量のセリフを覚え、告知をし、劇団をまとめあげなければならない。
私だったら、無理だ。
私じゃなくても、きっと無理だと思う。
でも、紗生ちゃんなら、できるのかもしれない。
三浦さんはきっとそれを見越して主演に紗生ちゃんを指名し、福岡天狼院には「劇団天狼院〜FUKUOKA〜」があるにもかかわらず、わざわざ新しく劇団を旗揚げしたのだろう。

恐ろしいよ、三浦さん。
そして、それ以上に紗生ちゃんの成長が恐ろしいよ。
とんでもないところに入ってしまった。
「雇ってもらえませんか?」と言ったあの日に戻れたらいいのに。

連日、深夜まで続く稽古から帰宅し、バタバタと化粧を落としてベッドに入ると、ケータイで「川代ノート」と検索する。
寝る前に、これまで紗生ちゃんが書いた記事を読むのが日課になっている。
「ほとんどストーカーだな」
お店でも一緒なのに、帰ってからも紗生ちゃんの記事を読んでいるなんて、と自分でもおかしく思う。
その日は「『やりたいことがない』ともやもやしていた私が今本当にやるべきことを見つけた唯一の方法」という記事を読んだ。

前週のメディアグランプリで週間1位を取ったものだった。
読み終わって、いつもとは違った高揚感に包まれた私はすぐに寝付くことができず、シャワーを浴びることにした。
ぼんやりと髪を洗いながら鏡を見ると、いつの間にか泣いていた。
悲しいわけじゃない。悔しいわけじゃない。それは圧倒的な憧れだと思った。
記事を読んでいる時、私はいつも、自分が紗生ちゃんになれたようなつもりなってしまう。この記事でもそれはそうだった。もがいて、もがいて、でもそこに自分のやりたいことっていう明確なものが見つからなくて、そんな自分をうまく乗りこなすために理由をつけて、それでも自分に嘘はつけなくて、ようやくやるべきことを見つけた、という内容は私の未来を描いているようだった。でも、お風呂の鏡に映ったのは、紗生ちゃんじゃなくて私だった。

私はきっと紗生ちゃんになりたい。
石原さとみじゃなくて、川代紗生になりたい。
でも私は、石原さとみにも、川代紗生にもなれない。

なれないけど、なりたい。
<川代ノート>みたいにシリーズ化してたくさん記事を書いて、たくさんの人に読んでもらって、それで人を幸せにしたい。
絶対できるって、自分ならできるって思ってるのに、それでも紗生ちゃんになりたい。
心のどこかで、紗生ちゃんを超えられないと思ってる自分がいるのだ。

だいだい、なんなんだ!「劇団天狼院〜FUKUOKA〜」の演目だって、紗生ちゃんの記事を原作にしているし、みんなどんだけ紗生ちゃんのことが好きなんだよ!

シャワーを浴びながら、久々に声を上げて泣いた。
強烈な憧れと、恥ずかしいくらいの嫉妬と、自分の不甲斐なさとがごちゃまぜになって、目から吹き出てきた。
こんな感情は、今まで知らなかった。
知らない方が、幸せだったのかもしれない。
天狼院のスタッフになんて入らず、これまでと同じ仕事をしながら記事を書いていた方が、穏やかに生きていけたんだと思う。
でも、残念ながらもう後戻りはできない。
一度この感情を知ってしまったら、それと共に生きていくしかない。
天狼院をやめてしまえば、この感情からも解放されるだろうか?
いや、きっと膨れ上がる一方だ。
会うたびにフラッシュバックする感情から抜け出すには「紗生ちゃんになりたい」と思わないようになればよい。
それはつまり、「川代紗生を超える」ということだ。

ここまで書いておいて、また後悔している。
大変なことを言ってしまった。
紗生ちゃんも三浦さんも読んでいるっていうのに。
他のスタッフだってきっと「あいつ何言ってんだ?」と思うだろう。
でも、もう決めたことなんだ。
「紗生ちゃんになりたい」と思うばかりの人生なんて嫌なんだ。
「川代紗生」を超えるにはどのくらい頑張らなければいけないのか、想像しただけでゾッとする。それでも、紗生ちゃんを、超えたい。

これを書いているすぐ後ろで、劇団の稽古は続いている。
日毎に良くなっているのが実感できる。
私は、舞台上で最高に輝く紗生ちゃんが見たい。
もっと憧れたい。そして、それを超える自分になりたい。

今日も帰ったら、きっと<川代ノート>を読むだろう。
そして、ふつふつと湧き上がる闘志に燃えながら、眠りにつくのだろう。

いや、ちょっと待てよ。
天狼院のスタッフは紗生ちゃんだけじゃない。元福岡天狼院店長の今村さんだって、紗生ちゃんと一緒に福岡に来た海鈴ちゃんだって、羨望の眼差しを送るには十分値する人物だ。
とすると、他のスタッフも……

どうやら、本当にとんでもないところに入ってしまったようだ。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2016-11-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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