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ふるさとグランプリ

僕が僕であるために啜るラーメンの味《ふるさとグランプリ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:サイ・タクマ(ライティング・ゼミ)

「やっぱこれだよな~」と頷くラーメン屋さんを、あなたもひとつはお持ちじゃないでしょうか。
小さい頃から食べていて、長い間離れていても体が覚えているようなラーメン。

神戸には、私が少年の心に返る中華そばチェーン店“M”があります。
このお店について、愛をもって語る神戸の方は多いのではないでしょうか。
京都の“T”のような全国展開はせず、東は西宮、西は舞子までに留まる全12店舗。
灘にある工場で作られた同じスープを使っているはずなのに、お店ごとに味が微妙に違うので、
“M”を愛する神戸の人々にはひとり一人「お気に入り店」、今風に言うところの「推し」店舗があります。
ちなみに私のお気に入りは、『火垂るの墓』にも登場する御影公会堂のすぐ近くのお店。

真っ赤な看板、丸みを帯びた黒字で書かれた平仮名4文字。
赤一色のカウンターに横一列ズラリと並ぶ背中の向こうに、モウモウ湯気が立ちのぼります。
特徴は、アッサリの中に濃厚なコクの尾ひれを残す醤油とんこつスープとストレート細麺。
豚足を使用しているとも噂されるこのスープのおいしさは、なぜか他のどのラーメン屋とも異なっています。
丼の底まで沿うようにぐるり、花びらのように放射状に敷かれた薄切りチャーシューと、中央に大量に盛られた青葱の山の緑が美しい。スープの下でもやしが青葱を支えています。麺はさらにその下です。

チャーシューの枚数の多さに、あなたはきっと少しだけビックリするはずです。
「チャーシュー麺を頼んでしまったのではないか」と。
いいえ。それがこのお店のスタンダードなのです。
チャーシュー麺の場合は、中央部に蓋をするような形でそれらが覆いかぶさり、外からは重なってスープに浸かったチャーシューの姿しか視認できないという、ちょっとした衝撃を味わうことができるのですが、それはまた、別の話。

麺を引きずり出し、ズロロ! と啜って口の中で麺を千切ると、ほのかに香る小麦の風味。
スープの旨みが、舌の横側の味蕾をグーンと広げます。
噛むたびに好い気味で鳴る葱ともやしのシャクシャク歯応え。やーっぱこれだよな~。
この濃厚スープを纏ってきらきら光る煮豚の薄さは、なんたってライスをくるむのにちょうど良いんです。
卓上にドンと置かれた、大ぶりのたくあんは太っ腹にも食べ放題、これまたごはんがドンドンドンドン進んでしまう。絵に描いたような真っ黄色のたくあんです。
同じく取り放題のニラ唐辛子は、中盤以降のゲームチェンジャー。
細かめに刻まれているため、ほどよい酸味が広がって、一杯の中に新しいハーモニーを生み出します。

啜り、くるみ、頬張る。この繰り返しの愉悦。ニッポンが生んだ、ラーメンライスという背徳。
ああ、一体これ以上のなにが必要なのでしょうか。

はじめて連れて行ってもらったのは、おそらく7つか8つの頃でしょうか。
潰れてしまって今はない、我が家の最寄りの駅前店。
脂っこいのが苦手だと言う母はその後二度と立ち寄りませんでしたが、私はこの時に感じた衝撃的なおいしさが今でも鮮烈な記憶として脳に焼きついているのです。
思えば、「親の言うことが全てではないのかもしれない」という発想がペコッと芽が出る瞬間は、“M”によってもたらされたと言っても言い過ぎではないと思います。

神戸を離れた大学生時代以降も、“M”へ行くと、「ああ、帰ってきたなあ」と深く心に感じます。
むしろ、神戸を離れてから久しぶりに食べるあのおいしさを発見してから、より一層「好きだ!」が強まったと言えるでしょう。
大晦日の夜、年越しそばの代わりに仲間と連れ立って食べた総本店の味は、青春の1ページでもあります。

久しぶりに一口食べ、喉を鳴らして飲み込んだ瞬間にサアーッと胸の奥から湧き上がってくる圧倒的懐かしさ。懐かしいというのは、「心地よい」と感じる感覚に少し似ているんじゃないでしょうか。
それは年を重ねた現在の自分と、子供だった昔の自分が今も同じ延長線上にいることを確めてホッとするような、そんな気持ちであり、再会のよろこびと言えるかもしれません。

諸説ありますが、人体を構成する分子は数年で完全に入れ替わる、という話をご存じでしょうか。1年で入れ替わるだとか、5年で入れ替わるだとか言われていますが、つまりは数年のサイクルでひとりの人間が「別人」になっているというわけです。
だとすると、私を構成するものは一体なんなのでしょうか。思春期であれば思わず唸ってしまいそうな哲学的な問いですが、私にとっての“M”がそうであるように、何かを食べて感じる懐かしさや言いようのない安心、舌上での帰郷のよろこびは、昔も今も、あなたがあなたであるということへの素朴にして強力な答えになるのではないでしょうか。

変わりゆく変わらないもの。
かつて自分が好きだった懐かしい味に立ち返るのも、案外いいものです。
それにしたって、昔と同じ量を食って胃もたれで後悔する上に腹が出てくる「老い」という変化。これだけは、忌々しいものでございますね。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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