博多美人は待つ女。魔性の女、いい女。《プロフェッショナル・ゼミ》
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記事:永尾 文(プロフェッショナル・ゼミ)
「行ってきんしゃい、って送り出せば、ただいまって帰ってきてくれるやろう?」
博多美人はそう言って、妖艶に笑った。
新たに毒牙にかかった旅人の背中を見送りながら、じきにまた彼は博多の街を訪れるのだろう、と思う。
博多の街は底なし沼。博多美人は魔性の女だ。
もし、あなたがこの先旅のつもりで博多を訪れようと言うのなら、悪いことは言わない、絶対にやめておいた方がいい。
これは、元・旅人からの助言だ。どうか聞き入れてほしい。
かつて私もあなたと同じ旅人だったのだ。旅人だったはずなのに、笑ってすぐに別れを告げる算段だったのに、私はまんまと博多と博多美人の術にはまってしまって、もうここから抜け出そうとさえ思わない。
私の人生を狂わせた街だ。
もしかしたら、あなたの人生も狂わせてしまうかもしれない。
***
「たべりー」
この言葉をご存じだろうか? 博多でよく唱えられる魔法の呪文である。
はじめに食ありき。それが博多の鉄則だ。博多美人はとにかく、食わすのが好きだ。あなたが他の土地から来たと知るや否や、どんどん食わす。
「もつ鍋は?」「酢もつは?」「一口餃子は?」「ラーメンは?」「ごまさばは?」
そして、食わすついでに自分も食べる。それはもう、ここぞとばかりによく食べる。自分が食べる口実に、客人を使っているのではないかと思わず疑ってしまうほどに。
しかし博多美人はなぜか太らない。よって、同じだけのペースで食わせられた客人のウエスト回りだけがあわれに膨らむ。
魔法の呪文「たべりー」。食べなさいという意味の方言だが、催眠効果でもあるのだろうか、博多美人の優しい声音でささやかれるといくらだってごはんがお腹に吸い込まれてしまうのだ。
博多飯は腹だけでなく、心の隙間を満たす。
あなたが寂しさを抱えているなら、博多には行くべきではない。博多美人はあなたの寂しさを見逃さない。とことん食わして、甘やかして、心の隙間を満たしてしまうだろう。
かつての私がそうだった。
博多の街が嫌いだった。一刻も早くこの街から脱出したかった。
大学進学を機にやってきた博多の街は、私にとって、挫折の象徴だった。
何もかもがうまくいかない街だった。法律の勉強も、あたためてきた恋も、この街で実を成したものは一つもなかった。周りの同期は皆、私より優秀に思えて、ひどい劣等感の中で私はどんどん卑屈になっていった。
この街のせいだ。この街に来てから人生は狂い始めたのだ。
大学在学中4年も辛抱すれば、ここから脱出できる。大学さえ卒業してしまえば憎たらしい博多とも永遠にお別れだ。
4年だけ、我慢すれば――。
高を括っていた私の、最初の大誤算。それは……。
「なんで留年しちゃったん?」
2つ年上の院生、優子先輩は私に問いかける。そんなに優しい声を出さないで。ピンと張っていた糸が切れてしまいそうだ。私は声を振り絞った。
「……就職が、決まらなくて」
「あー……、マスコミ志望やったっけ?」
「はい。箸にも棒にも、って感じです。でも、どうしても諦めきれなくて、もう1年」
「私の友達にもおったなぁ、マスコミ就留。倍率すごいっちゃろ?」
そう、留年。留年だ。就職留年って奴だ。
私は超難関と言われる出版社への就職を志望していた。名だたる大手3社から、学術系の中堅どころ、漫画に強い中小出版社。さらには小さな編集プロダクションに至るまで、あらゆる企業を受けたが、どこにも通らなかった。諦めきれなくて、もう1年大学に残り、就活をやり直すことに決めた。
卒業していく同期の背中を見送りながら、悔し涙を飲んだ。「博多から離れたくないよぉ」「卒業したくないよぉ」と言いながら、みんな博多を去っていく。
なのに、どうして私はこの街にいるのだろう。
博多を嫌い、この街から早く出たいと誰よりも強く願っていたはずの私が。
あぁ、やっぱり博多の街が嫌いだ、ここにいると何もうまくいかない。4年でこの街からドロンする予定も、延期になってしまった。
「諦めきれんのなら、もう1年頑張ってみたらいいよ。でも、今回は出版社に絞るんじゃなくて他の業界も広く見ときー」
「頑張ります。頑張って、早く博多を出たいです」
「お姉さんは寂しいけどなぁ。あやちゃんが博多からおらんくなったら」
生まれも育ちも福岡博多。生粋の博多美人である優子先輩は、そうだ、と手を打つ。
「ねぇ、最後の1年くらい博多満喫せん? どんたくも山笠も行ったことなかろ?」
「えぇー。嫌ですよぉ」
「そう言わずに。どんたくも山笠も知らんくせに、博多が嫌いとか食わず嫌いと同じやん。知らないのに批判するのは卑怯やん」
食べたこともないのに、嫌いと顔をそむけている。
そんな子供のイメージが頭に浮かんで、思わずむっとしてしまう。
「意外と食べてみたらおいしかった、ってことあるやろ?」
「ないですね」
「じゃあ、1年後、無事に就職決めて卒業するとき、食べてみたけど全然おいしくなかったですー、って言ってくれたらいいよ!」
優子先輩は強引に約束を取り付けた。
都会なんだか、田舎なんだか、博多はよくわからない街だ。群衆に紛れれば都会にいるように寂しく、そのくせ人間関係はまるで田舎のご近所付き合いのように濃密で。無関心な振りして気にかけている、人の優しさがうっとうしかった。
「遠慮せんでいいけん、食べりー!」
とにかく博多っ子は食わすのが好きだ。優子先輩もしかり。
私の皿を奪い取り、彼女はどっさりとしなったキャベツをよそった。
「博多を満喫するにはまず、もつ鍋やね~!」
テーブルの上にはもつ鍋はもちろんのこと、酢もつ、おきゅうと、一口餃子にごまさば。所狭しと並べられた、皿、皿、皿。脂身たっぷりのもつを口いっぱいにほおばりながら、優子先輩は、今まさに、恍惚とした表情を浮かべている。
「こんなに食べられないですよ、優子先輩」
「大丈夫、大丈夫。こんくらい、すぐなくなるとって!」
優子先輩の言葉通り、あっという間に料理はなくなった。
もつって、甘いんだ。博多に来て、初めて知った。もつの脂身が舌の熱でじゅわっと溶けて、蜜のように口いっぱいに広がる。
甘い。おいしい。ひとり言のように漏れたつぶやきを、優子先輩は聞き逃さなかった。
「皿、貸して。よそっちゃー!」
空っぽの皿を「おいしい」で満たして、笑顔で私に返すのだ。
優子先輩は毎週のように新しい店に連れて行ってくれた。博多美人はどうしてこんなに多様な店を知っているのだろう。ちょっとおかしいと思う。
とにかく安い店からそこそこ値が張る高級店、若者向けの店から落ち着いた雰囲気の料亭まで、彼女はとにかくいろいろな店を知っていた。お酒にも造詣が深い。彼女に連れられて行った居酒屋で、私は地酒の味を覚えるまでになった。
何かがおかしい。調教されている。
優子先輩の術にはまっている気がする。
そう気づいたのは、就活で訪れた東京で昼ご飯を食べようとしたときだった。
「……からい」
面接と面接の間の休憩時間、私に与えられた時間は1時間しかなかった。急きょ見つけた品川駅の近くの吉野家で牛丼を頼み、口に入れた瞬間、「からい」と思った。
味が濃い? いや、そんなことはない。あんなに好きでよく通っていたじゃないか、吉野家。味が薄いからつゆだくしか頼まないって思っていたのに、どうしてこんなに辛く感じるのか。
「……優子先輩のせいだ」
優子先輩が連れていく博多のご飯屋さんはどこも、独特の甘みで私を虜にしつつ、基本的に味付けは西日本特有の薄味だった。
面接で知り合った同じ就活仲間や、サークルのOBとの飲み会で訪れた居酒屋でも、私はずっと違和感を覚えていた。出されるご飯の一つひとつはとてもおいしいのに、なぜか満たされなかった。どうしてこんなに物足りないのだろう、と思っていた。
博多に暮らして、二度目の大誤算。舌が博多の味を覚えてしまったこと。
「東京にいて思うのはさぁ、」
東京で働く同じサークルのOBは、黒霧島のお湯割りをぐいっと空けた。
「博多の味が恋しい」
「先輩、もう東京長いじゃないですか。卒業して2年経つのにやっぱりそう思うものなんですか?」
「思うよ。だって、もう博多は俺にとって第二の故郷みたいなもんだから」
先輩の笑顔は寂しそうだった。
私は……、私にとっての博多はまだ、大嫌いな挫折の象徴だ。
もつ鍋を食べて、どんたくに行って、山笠で追い山に水をぶっかけても、やっぱり嫌いな場所。ここで成し遂げたことなんて何もない。就活はうまくいかないまま、時間ばかりが過ぎていく。
大学を卒業して就職して何年も経って、いつかあの土地を第二の故郷と呼べる日が来るのだろうか。湯気の立つ黒霧島の水面に、未来の自分が映るような気がして、慌ててそれを飲み干した。
「私、博多を離れることになったんよ」
「えっ、どうしてですか! 優子先輩、一生博多にいたいって言ってたじゃないですか」
ある日、優子先輩に呼び出され、二人で飲んだ。
優秀な院生の優子先輩は、来年の春からドイツに留学することになったらしい。いつまで、とは決まっていない、と彼女は語った。そのままドイツで暮らすことになるかもしれないし、いつか日本に帰ってきて大学の教員になるかもしれない。
「私としては、またこの大学に戻ってきたいっちゃけどね。でも、そのとき教授のポストに空きがあるかわからんから、何とも言えない」
「優子先輩がいなくなるなんて……寂しくなります」
「ありがと。で、どうね? 博多のこと、ちょっとは好きになった?」
彼女の言葉に頷くことはできなかった。
どんたくの春を過ぎ、山笠の夏を過ぎ、放生会が秋を連れてきても、私は結局目指した出版社の内定をとることはできなかった。ただ、1社だけ選考に進んでいる駒がある。その会社の内定がとれたら、無事にこの土地から離れられる。
だけど、なぜだろう。東京で働くOBや優子先輩の姿を見ていると、なんだか博多から離れたくないなぁ、と思うようになった。
少し気温が下がり、鍋がおいしい季節になってきた。今日のメニューは水炊きだ。白濁のスープに浸かった柔らかい鶏が、口に入れた瞬間ほろほろと崩れていく。もつ鍋もいいけれど、水炊きも好きだ。優しい味がする。
「私、ずっと博多にいたいと思っとった。みんなここから旅立って行っちゃうけど、私だけはこの場所で出ていく人を見送りたいと思っとったんよ」
と、優子先輩。
「ほら、私の同期はほとんど東京に行っちゃったやろ? でも、私がここにいたら、帰ってくる理由になるやん。博多のごはんを食べに帰っておいで、って言えるけん」
彼女は寂し気に笑う。
「行ってきんしゃい、って送り出せば、ただいまって帰ってきてくれるやろう?」
胸が締め付けられるようだ。
彼女は、待つ女だった。博多の街はとても都会で、栄えているけれど、夢を持つ若者は皆、東京を目指す。もしくは、この土地で学び、身を立てる準備を終えると、自分がいた地元に帰っていく。
福岡市は100万人超の人口を抱える、政令指定都市だ。2015年には人口で神戸市を抜き、全国5位になった。しかし、その人口増加の原因は自然増ではなく、社会的な要因によるものだ。他の土地からやってくる人が多いということ。あくまで博多は受け身の街。だから、博多に吸い寄せられた人々は、いつか別の土地に旅立ってしまうのだった。
私もその旅人の一人だった。
一人になる予定だった。
なのに、優子先輩の寂し気な表情が焼き付いて、いつまでも離れない――。
次の日、久々に大学を訪れた。成績証明書を発行してもらうためだ。
出版社の選考は順調に進んで、次が最終面接だった。最終まで残っているのは5人。内定が出るのは一人、多くても二人だろう。最後まで気を抜くわけにはいかない。
でも、なんだろう、このもやもやは。念願の内定まであと一歩だというのに。
ふと目をやった校内の掲示板。
福岡市内の企業が大学向けにいくつか求人広告を出していた。私の目はその中の1社に吸い寄せられた。何かの魔法をかけられたみたいだった。
これは、三度目の大誤算だ。
私はどくどくと脈打つ心臓をおさえながら、何度も何度も同じ番号に電話をかけ続けていた。
プルルル、もどかしい待機音に阻まれて、息が苦しい。
「……優子先輩!」
優子先輩、優子先輩、優子先輩……!!
平日の昼間、11時半。優子先輩は電話に出てくれなかった。そういえば、Facebookで先週からドイツって言っていた気がする。
どうしよう。優子先輩と今すぐ話したいのに、優しく背中を押してもらいたいのに。
突然目の前に現れた選択肢。道は大きく二手に分かれている。
一つは、博多の土地を離れ、東京の出版社で働く道。
もう一つ、今日新たに提示された道。
『ちょうど5月から産休に入る社員がいてね、人手が足りなくなりそうなんよ。もし君さえよかったら4月からうちに来てほしい。うちに決めてくれたらこの場で内定を出してもいい』
一時間ほど前、面接で人事部長に誘われた。
『今、ですか?』
『うちの他に、受けてる会社あると?』
『はい。一応……』
『見ての通りうちも小さい会社やけん、採用関係はできるだけ迅速に進めたいんよ。急かして悪いけど、明日までに返事が欲しい。決めたら、電話くれるかな』
新しく伸びた道、それは、博多の企業に就職を決めることだった。
ずっと目指していた東京。大嫌いだった博多の街。
挫折の象徴だった博多を出て、東京で夢を叶える。そのために頑張ってきたはずじゃなかったのか。今になって心が揺らぐのは、なぜなのか。
優子先輩に背中を押してほしかった。「あやちゃんは東京に行かな。ずっと目指しとったんやろう?」先輩ならそう言ってくれる気がした。しかし今、優子先輩は私のそばにいない。
ひとに選択権を委ねたいと思っている時点で、私の心は既に固まっていたのだと思う。
最後の決断は自分自身で行うものだ。
ドイツにいる携帯電話に、不毛な国際電話をかけるのはやめた。
そのかわり市外局番092で始まる番号に、電話をかけることにする。電話を耳に当てる手が、みっともなくふるえていた。
今からかける電話は、確実に人生の分岐点だ。
その決断が本当に正解だったかなんて、しょせん結果論でしかない。だとしたら私は、今の心が「好き」な方を選ぶ。
ど、ど、ど、と心臓が大きく音を立てていた。
「あっ、もしもし。すみません、私、K大学の永尾と申します。人事部のS部長に、おつなぎいただけますでしょうか……」
「……それでは、優子先輩の前途を祝して!」
かんぱーい!
優子先輩のドイツ行きが正式に決まった。今まで誘ってもらったお礼もかねて、今日は私から優子先輩を誘い、飲みに行くことにした。博多駅から少し奥に入った、小料理屋だ。優子先輩の知らない店、と独自の調査を重ねてようやく見つけた私のお気に入りのお店だ。猫のような目をさらに丸くして、優子先輩は「こんなとこ、よー見つけたね!」と言った。最高の誉め言葉だ。
「ドイツに行っても盆と正月くらいは帰ってきてくださいね」
「うん、帰ってくる」
「約束ですよ。待ってますから」
「あやちゃんにそんなこと言われる日が来るとは、想像もせんかったわ」
そうだろう、自分でも意外なんだから。
「とりあえず。内定おめでとう、あやちゃん」
「ありがとうございます」
再びグラスを合わせる。店内に澄んだ音が響き渡った。
そうだ。私は結局、博多に残ることになった。あんなに嫌いだったのに。
求人票を見て応募した会社は地、元の小さな印刷会社だった。チラシ、DMの印刷、本の出版から広告制作まで多岐にわたる事業を営んでおり、入社したら先輩の後について制作アシスタントとして、雑務をこなすところからスタートすることになる。一人前と認められたら、様々な制作に携わることができるようだった。中小企業ゆえの自由度の高さといい、一からスキルを身につけていける環境といい、最終面接に進んでいた出版社より、心惹かれた。
東京でしか夢は叶わないのだと思っていたけれど、それは間違いだ。何も成し遂げられない自分から逃げたかっただけの方便だ。
博多でだって夢は叶えられる!
現に私は何も諦めていない。この場所に生きる私にしか生み出せないものがあるはずだ。
今はそう信じている。
それに……。
それに、私自身が博多を離れがたいと思ったのだ。誰に強制されたわけでもない。自分で選んだ道だ。092で始まる番号に電話をかけ、人事部長に「これからお世話になります」と告げたとき、博多と共に生きていこうと決めた。
大嫌いな街だった。ここに来てから何年も、何もうまくいかない日々が続いた。
そんな私の寂しさも悔しさも、ダメな私ごと受け入れてくれたのも、博多という街だった。博多美人の優子先輩。おいしい博多のごはん、お酒。楽しく騒々しい、お祭りの数々。
ここで出会った、うっとうしいくらいあたたかいもの。
いつの間にか私はそれらに心の隙間を満たされて、この場所から離れたくないと思うようになった。最後の大誤算だった。まさか、大嫌いだった博多に自ら残る決断をするなんて。
「先輩。今度は、私が待つ女になりますから。先輩がいつでも博多に帰ってこられるように」
空になった皿を強引に受け取り、もつ鍋を取り分けた。
ほかほかの小皿は、しんなりしたキャベツともつに満たされ、もくもくと白い湯気を立てている。湯気の向こうで、優子先輩が優しく微笑んでいる。
あたたかいなぁ。これがきっと、博多なんだなぁ。
「ほら、先輩。たべりーたべりー」
初めて唱えた魔法の呪文はまだ口に馴染まなくて、なんだかちょっとむずむずした。
***
博多は底なし沼で、博多美人は魔性の女。
私はこの土地で博多美人に近づいていく。
優子先輩が私にそうしたように、新たな旅人を毒牙にかける。
「行ってきんしゃい」と送り出すのは、「ただいま」と帰ってきてほしいから。私のいる街が、この博多があなたにとっての第二の故郷になればいいと思う。帰らずにはいられない場所になってしまえばいい。
博多には、旅行のつもりで訪れない方がいい。いつの間にかあなたの心に隙間に入り込み、故郷の座に居座ってしまうだろう。
元・旅人の私から、せめてもの助言だ。
もうすぐ年が明ける。旅立つ前に約束した通り、優子先輩は盆と正月、どんなに忙しくても博多に帰ってくる。先輩の帰国の日は近い。
彼女が「ただいま」と帰ってきたとき、私は「おかえりなさい」と返すだろう。
そして、再び旅立つ日には、「行ってきんしゃい」と送り出すつもりだ。
行ってきんしゃい。からだに気をつけて。
あなたの帰りを待っとーよ。
私はいつまでも旅人の帰りを待っている。
博多という愛すべき底なし沼で、これからも生きていく。
***
この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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