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メディアグランプリ

歌うのも聞くのも実は同じことかもしれない。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:城裕介(ライティングゼミ)

「城って人の歌を聞いてないよね」

カラオケの場で会社の先輩にそう言われた。そしてこう続けられた。

「というか、そもそも人のことに全然興味を持ってないよね」

歌うのは好きだった。自分の歌いたい様に歌うのが楽しかった。反面確かに人が歌う歌には興味を持てていない自分もいた。さらにいうとあまり人と仲良くするのが苦手で興味を持てずにいる自分もいた。

別にただのカラオケなんだけど、先輩にそう言われたのは悔しかった。少し聞く様に心がけてみたけど、興味を持てていないことは伝わるらしく、結局同じことを言われてしまう。思ったことが顔に出やすい自分に喝を入れてみても上手くいかず、中々矯正出来ずにいた。

桜が咲く季節、僕は代々木公園にいた。東京に出て日が浅い僕は新しい繋がりを求めて、馴染みのないところに飛び込んでいた。僕の横にはギターをもった男が隣に来た。

彼は人懐っこい笑い方をして、「城君は聞いてみたい曲はある?」と聞いてきた。僕は自分の好きなスピッツをあげた。彼はギターを弾き始めて僕のリクエストに応えて歌ってくれた。優しくよく通る声だった。

「じゃあ、城君も一緒に歌ってみようよ!」

歌うのは好きだと確かに彼に言った。でもギターと合わせて歌うのは初めてだし、知らない人の前で歌うのもちょっと抵抗があった。

ただ、好きな歌を聴き続けてほんの少し歌いたくなる気持ちが湧いて来たのも感じていた。ギターに合わせて歌うということに好奇心が向いているのも分かった。いやでもさすがにそれはどうなんだ。

そんな僕の戸惑いを無視して彼は演奏を始めだした。

ええい、やってやろうじゃないか! 歌い出してみると、それは今までカラオケで歌うのとは違っていた。

あれ? 歌いにくい。思わず彼の方を見た。

僕が歌い出してから彼はギターは弾きにくそうになった。リズムが揃わない。

思わず彼を見た。自分の歌に合わせようとしているのが分かった。やっぱりやりにくそうだ。彼もこちらを見た。目で何か訴えかけているのが分かった。

ああ、僕の歌い方のせいで弾きにくいのか。彼の弾くギターのリズムに意識を向ける。

今度はタイミングが合った。また彼と目が合った。彼は笑ってうなづいた。

「そうそう、そんな感じ!」

多分そう言いたかったんだと思う。僕もつられて笑った。自分の気持ちが上がってきてるのを感じた。でももっと音を揃えられる。

ギターの音がサビに近づくにつれて少し強くなった。「ここで盛り上げよう!」という彼の意志が伝わった。僕の声もそれに合わせるように強くした。ギターの音と自分の声のリズムが合う。

ギターが鳴らす振動が自分の身体に心地よく響く。お互いの考えていることが曲を通じて伝わるのが感じた。

1人で歌っているときには感じたことのない感覚。これは気持ちいい。

そのまま歌いきったとき自然と彼と笑いあった。2人で音楽を歌うことで、1人で歌っているときには得られなかった感覚があるんだとそのとき思った。

後日、「お前は人の歌を聞いていない」と言われた先輩と再びカラオケに行った。そこで自分の歌の聞き方が今までと違っているのに気付いた。

お花見のとき彼は僕に向けてギターを弾いた。そして僕は彼の音に合わせて歌った。

カラオケでも一緒なんじゃないかと思った。相手の音に合わせて歌うのもいいんじゃないかと思った。そこまで目立たないかもしれないけど、お花見の時の感覚は、聞き手とも共有出来るんじゃないかと思った。

2人で曲を演奏するには相手の音を聞かないといけない。自分の歌い方と相手の弾き方を聞いて合わせないといけない。

声に出して歌うか歌わないかの違いはある。相手の歌に合わせてふわっと身体を揺らす。歌っていなくても心地よかった。歌うことばかりに意識が向いていた頃には気がつかなかったけど。

自分が歌う番になった。今度は相手に届ける様に歌ってみよう。今までいかに自分が気持ちよく歌えるかを考えていた。でも自分の歌を相手に届ける様に歌うのも違った楽しみなんじゃないか?

そう思うと不思議とカラオケの機械の出す音を聞くようになった。自分の歌いやすいリズムで歌うんじゃなくメロディとリズムに耳をすませて歌う。カラオケの機械は自分に合わせてはくれない。音に注意を向けて、リズムを合わせていく。

歌いきったとき先輩から「お前の歌が心地よくなったよ」と言われた。なんだか意外な顔をしていると、

「別に歌は上手くはなっていないんだけど、なんだか聴きやすくなった」と先輩は続けた。本当に些細な違いだと思う。でもその意識だけで歌い方はきっと変わるし、聞き手の心地よさも変わるんだ。

僕は彼が気付かせてくれた、そんな新しい発見と一緒に今度はゆったりと先輩の歌う声を聞いた。

***

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2017-01-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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