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スイミーは実は敏腕マーケターだったのかもしれない


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記事:ほう(ライティング・ゼミ)

『スイミー』といえば、言わずと知れたレオ・レオニの名作絵本だ。
日本では谷川俊太郎さん訳で、1977年から小学校2年生の国語の教科書に掲載され続けているので、それ以降に小学生になった人は、みんな一度は読んだことがあるはずだ。
クライマックスの『ぼくがめに なろう』というセリフを覚えている人も多いだろう。

うろ覚えだが、授業では確か『みんなで協力し合うことの大切さ』を教わったと思う。
『ひとりでは立ち向かうことのできない怖い敵でも、仲間がいれば、勝つことができる』ということだ。
でも最近読み返してみると、そんな感想にはならなかった。
『スイミーあなた、そんなやり手実業家みたいだったのね!!』だ。

きっかけは、とある土曜日の午後。
私は友人に誘われて京都水族館に行った。
水族館というのは、都会で適度な非日常気分を味わうのに、最適な場所だと思う。
程よく静かで、蒼く染め上げられた空間に包まれていると、ひたすらにぼんやりとできる。
適度に薄暗く、ロマンチックな気分を盛り上げてくれるので、デートにも最適だ。
(やや王道すぎるけど、間違いない)

最初にこれでもかと並ぶオオサンショウウオを眺め、アシカとアザラシの愛らしさに和んだ後、大水槽にたどり着く。
たくさんの種類の魚が一堂に集まって泳ぐ、実際の海を再現した様な広々とした空間。

ふと見ると、アジらしき小ぶりの魚の集団が、群れを成して泳いでいる。
スイスイと同じ方向に移動しては、水槽の端まで来ると、さっと銀色のナイフを返す様に方向転換を繰り返していた。
時折、エイが突っ込んでいって群れを蹴散らしていたが、いつの間にかまた元の塊に戻っている。見事な集団行動。

その様子に、あの有名な話を思い出していると、横にいたデート中らしき女の子が言った。
『あの魚の群れ、スイミーみたい!!』

やっぱりみんな連想することは一緒らしいと、密かに私が笑っていると、そのカップルの彼氏がたずねた。
『スイミーってどんな話だっけ?』
『ほらあの教科書に載ってた! ちっちゃい赤い魚がいっぱい集まって、大きい魚に見せかけるの。で、一匹だけ黒いスイミーが目になって、大きい怖い魚を追い出す話』
『みんなで立ち向かえば、悪いやつに勝てるやつね』
『そうそう、それ』

うん、そんな話だった。
あれ、でも大筋は覚えているけれど、詳しくは思い出せないな。
ちょっと気になる。
という訳で後日、本屋の絵本コーナーへ行った。

立ち読みして、驚いた。
それが冒頭の感想だ。

まず、皆で大きな魚に見せかける部分は、最後にちょっとしか出てこない。
最初に赤い魚の兄弟がみんな食べられてしまい、スイミーがただ一匹生き残るところまでは記憶しているが、その後が重要だった。

スイミーは暗い海の底を寂しい、怖いと思いながらも一匹でさ迷い泳ぎ、見たことのない生き物や面白いものを見て、元気を取り戻すのだ。

その旅の先にスイミーは、兄弟そっくりな赤い魚たちに出会う。
けれども彼らは大きなマグロに襲われることを恐れ、怯えて岩陰から出て来ない。
スイミーは、くらげやイソギンチャクなど、海の中で出会った生き物達を色々と挙げては、見に行こう、外の世界に出よう、と声をかける。

自分が経験したものの中から、良いと思ったものをピックアップし、他人にひたすらプレゼンテーションし続ける、その信念と熱意。

でも、いくら『出て来いよ』と呼びかけても、赤い魚たちはやはり怖がってひたすらにこう返すのだ。『だめだよ、大きな魚に食べられてしまうよ』

スイミー、断られること何と5回。
私ならとっくに心が折れている。

そして、スイミーはいろいろと考え、うんと考えて、素晴らしいアイデアを思いつく。
『みんないっしょに泳ぐんだ。海でいちばん大きな魚のふりをして』
それから赤い魚たちに離ればなれにならないこと、持ち場を守ることを指導することで、『大きな魚作戦』は実行され、マグロを追い出すことに成功するのだ。

作中には出てきていないけれど、ひとり黒いスイミーは、『なぜ兄弟が赤い中、自分だけ黒い魚なのか』と思ったこともあるだろうと推測される。

でも、兄弟いなくなったことがきっかけとは言え、スイミーは自分の意志で世界を広げ、
つまりマーケティングを行い、何が大切かを自分の中に経験としてしみ込ませたのだ。
それが結果としてアイデアとなり、大成功につながった。
これはとある若いマーケターのサクセスストーリーとも言えるかもしれない。

ふと、初めて社会に出たときの自分を思い出した。
一人で右も左も分からず先輩についてまわり、初めて先輩無しで打ち合わせに行ったときは、怖くて仕方がなかった。
でも、何とかひとつずつクリアしていくことで、今社会人としてやってこれている。

大人になってから読み返す絵本は、子どもの頃とは違った視点で見られて、新たな発見ができる。
そして、それができるスイミーはやはり素敵な一冊だ。

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2017-03-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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