メディアグランプリ

思い込みの恥ずかしさ


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記事:シロフクロウ(ライティング・ゼミ)
瑞希はあまり経験がなかった。初体験は16歳の頃だったが、その日の事を思い出すといつも恥ずかしくなる。何というか、上手く出来なかったのだ。緊張して身体が強張ってしまった。あれだけ落ちついて挑もうと思っていたのにと後悔した。よく思い出せないが痛かった事だけは覚えている。
瑞希には今狙っている人がいる。自分では落とせそうにない人。

その人は女の子には随分とモテているようだった。

瑞希は彼をいつも遠くから見ていることしか出来ない。 「私も人気者になれたらなぁ」

瑞希はそう思っていたが、どうしていいのか分からない。 自信がなかった。どうすれば自分の事を信用することが出来るようになるのだろうかと思い悩んでいた。 いつも余計なことばかり考えて、行動を取れば失敗する毎日。
「あーホント嫌になる」 こんな自分を変えたいと思っていた。 今出来ることを全力でやるしかないことは分かっている。 瑞希は決心した。 「もっと積極的に行こう!」 そんな瑞希に惹かれている男がいた。

「瑞希ってどんな人なんだろう?」

肇は瑞希のことを思っては、眠れない日々が続いた。

 

1度、瑞希の姿を目にしてからというもの、1つ1つの動作に心を奪われていた。しなやかで優雅な動き。

しかし心の何処かで引っかかるものがあった。 瑞希の噂を聞いてしまったからだ。あまり良い話ではなかった。 「あいつは誰とでも寝るよ」 「田中ともヤッたって噂だぜ。よくやるよ、あんな奴と」 だったら俺にもチャンスがあるかもしれない。肇は密かに期待した。 経験豊富なんだろうか? もしヤレるとしても下手だと思われないだろうか? 考えるだけ不安になる。 その日がいつになるか分からないが、毎晩のように考えては想像を膨らませていた。どのようにしたらいいんだろうと頭を悩ませていた。 相手は色々な人とやっている経験豊富な人なんだと思うと、気が気ではない。傷付けられたらどうしようかと思うと怖くなって眠れなくなるのだ。 だけど1度だけでもいいからやってみたい。何とかしなければ。 肇は勇気を出して手紙を書いて瑞希のロッカーに入れた。 返事があるといいけど、相手は僕のことを知らないだろうし難しいだろうなと期待はしていなかった。 ある日、友人が駆け寄ってきた。 「瑞希がお前の事に興味を持ってるってよ」 「えっ? 本当か?」

 

友人が瑞希から受け取った手紙を読んでみた。 「逃げてばかりいる自分が嫌で、自分を変えてみたいと思いました。それに何事も経験だと思っているので受けることにします」
ついに、その日を迎えることになった。

「やっと瑞希とやれる」 ここに辿り着くまで大変だった。頑張った甲斐があったと肇はしみじみと思った。

瑞希は触れられる前から滴り落ちるのを止められないでいた。 肇は興奮した。

冷静にならなきゃと思って必死で理性を働かせる。瑞希に触れてみたいという衝動を抑え込まなければならない。

しかし肇は興奮状態に陥っている。頭がぼーっとして思考が定まらない。 「はじめ!」 肇は自分の名前を呼ばれたような気がしてハッと我に返った。 瑞希が目の前にいる。じっくりせめないといけないと分かっているのに手が勝手に動いてしまう。 肇はまずは瑞希の胸元に触れてみた。 触れた瞬間に分かった。この人は思っていたような人ではないということが。自分に真摯な態度で向き合っている人だ。

それに比べて俺はどうだ? ただ楽しんでるだけじゃないか。 瑞希を疑いの目で見ていた自分を恥じた。

肇は、もっと瑞希のことを知りたいと思った。 瑞希に触れてみた時に、思っていたよりも随分と華奢な身体をしているんだなと思ったが、表情に出ないように細心の注意を払った。相手に悟られないようにしないといけない。

「さて、ここからどうやって体位を変えようか。スムーズにやらないと恥をかいてしまう」

肇は自信のあるところを見せたかった。そうやって強がっていないと身体が震えてくる。

 

やっとこの日が来たというのに身体が言うことをきかない。 自分の意に反して心臓の鼓動が激しくなっていくが、自分ではどうする事も出来ないのだ。
「このままじゃ、ダメだ。自分の実力が出せない。なんとかしないと」 肇は冷静さを欠いている。いつもの落ち着き払った姿はそこにはない。

 

肇は指を中にそっと入れた。 「アッ」 ドスン! あっという間の出来事だった。肇は何が起きたか分からないでいる。 「あれっ? 何で俺は天井を見ているんだ?」 「一本! それまで!」 見事な大外刈りが決まっていた。 瑞希は肇が動揺しているのを見抜いて投げるタイミングを見計らっていた。

「瑞希の奴。思いっきり投げやがったな。華奢なくせに技のキレは抜群だった。大した奴だよ。残念だったな肇」

「ちくしょー。もっと冷静にやればよかったー」 「こういうこともあるさ。さあ、帰ろう!」 仲間に慰められながら肇は家路についた。
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2017-03-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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