メディアグランプリ

大きくなっても何になりたいかわからない干物女が出会ったもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講申込みページ/東京・福岡・京都・全国通信】人生を変える!「天狼院ライティング・ゼミ」《日曜コース》〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
【東京・福岡・京都・全国通信対応】《日曜コース》

記事:まつしたひろみ(ライティング・ゼミ日曜コース)

「なぜ、出会ってしまったのだろう……」

日曜日の午後のスタバは、とても混雑している。カップルで楽しく旅行計画をしている人たち、参考書とノートを開いて勉強をしている人たち、パソコンの画面をにらめっこしている人たち。次から次へとお客さんが来て、戦場状態の定員さんたち。
そんな空間の中で、私は両手でソイラテのカップを握り、ため息をついた。

こんな思いをするくらいなら、いっそ出会わなければよかった。
辛く苦しい思いなどはしたくなかった。
毎日会社へ行き、同僚とくだらない話をし、仕事をする。気付いたら2回目の成人式を迎えるまであと数年。一度も転職も結婚もしていないので、会社ではお局と呼ばれる年齢だろうか。幸い同じ年代の同僚が多いので、お局にはならずに済んでいるけれど。
休日はスイッチが切れたようにだらだら過ごす。休みの前日はいつもの晩酌よりも量が多くなるので、なかなか起きられない。起きたところでデートなどの予定は何もなく、テレビの前に座り、お茶をすする。携帯でSNSを見たりゲームをしているとすぐに晩御飯の時間で、いつもより早めに晩酌となる。そして寝るまでテレビを見るか、携帯でSNSを見たりゲームをする。

ごくフツーの会社員で、典型的な干物女子。
そんな日常の中に、出会いは突然やってきた。
突然なんていうとすごくドラマティックな感じだが、実際は道ですれ違うくらいさりげないものだった。

「ねえ、ちょっとこっち向いてごらん」
そんな言葉に乗せられて、振り向いてしまった。振り向いたら手招きされた。
ちょうどその時は、余裕があった。余裕がなければ、そんな言葉にも気付かなかったし振り向きもしなかったのに。
仕事で新システムが入るから、業務形態が変わるから、転勤するかもしれない。その予定だったが、大人の事情で新システムが入ることもなく、転勤もなくなり、そのままの業務を続けることになった。そんな時だったから、空けていた時間がぽっかり空いた。そんな隙間に入ってきた。パズルのピースを埋めるかのように、スポッとはまった。
なぜ振り向いてしまったのだろうと、その時のことを考えると後悔してもしきれない。

そんな出会いがあり、関わりを持つようになってからは、本当に優しく接してくれた。
手取り足取りいろんなことを教えてくれた。
初めて体験することも多かった。こんな大人になってから初体験だなんて、ちょっと恥ずかしいけれど、恥ずかしい思いを打ち消すほどいつも楽しく面白くしてくれて。こんなにドキドキワクワク心がときめいてしまうなんて、いつ以来だろう……。

振り向いたのは私だったのに、少しずつ振り向かせようとしている私がいる。
こっちを向いてほしくて、テレビや携帯ゲームの時間を減らし、本を読む時間が少し増えた。パソコンを開いて熱いメッセージを書こうと、休日の時間を費やした。

定期的にこちらから連絡はしていたけれど、時々忙しいのか返事がない時があった。
そんな時は不安で不安で仕方がなかった。絶対連絡をくれるはずだと信じていたから、前にもらったメッセージを読み返したり、先のことを考えて気を紛らわせた。次のメッセージはどうしようと考えたりもした。
それを見ていたかのように、仕事のあいまに携帯を開くと「頑張って!」とか「それいいね!」ってメッセージが入っている。その時は本当に嬉しくて、残りの仕事をいつも以上に頑張れた。早く終わらせて、次のメッセージを書かなくちゃ! と気合いが入った。

……別れが来ることはわかっていた。
わかっていたけれど、それでも頑張ろうと必死になった。
終わることを想像するだけで、悲しくなる。はまっていたパズルのピースが抜かれてしまう。それ以上に、パズルを全てバラバラにされてしまうような気分だ。

別れを意識するまで、こんなに私の中に入り込んでいることに気付かなかった。それほど私は夢中になっていたのだろう。
少し冷めたソイラテをひとくち飲み、またため息をつく。
別れの時間は刻一刻と迫っている。

まだ別れられない、離れたくない!
このままではダメだ。元の生活に戻ってしまう。
そんなの嫌だ!

出会ってしまったことを後悔している。
でも、出会う前の自分には戻りたくない……。
「4月からもライティング・ゼミを受講します!」

もう少し、続けることにしました。

始めた時は「なんとなく」でした。
なんとなく「面白い文章を書いてみたい」それだけでした。
書くことは嫌いではなかったので、少し教えてもらえばできるようになるんじゃないかと、軽い気持ちで始めました。
ちょっとしたコツを教えてもらい、頭では「なるほど」と思うのですが、いざ書いてみるとなかなかうまくいかないのです。うまくいかないのがなんだか悔しくて、書ける人たちに嫉妬もしました。嫉妬するのですが、記事を読むと笑ったり泣いたりして、読んでいる時間があっという間に過ぎてしまうのです。
そして「こんな文章が書いてみたい」とやっぱり思うのです。

特に日常を切り取っているような記事が好きです。
どんな風に切り取るんだろう? と思いながら書いてみるのですが、切り取り方がわからない。
まず、切り取る場所を間違える。野球の記事を切り取りたいのに政治のページで探してしまう。違うページだとわかり、スポーツの記事から野球の記事を探す。野球の記事を切り取ろうと思ったら、今度はサッカーの記事だった。そんな間違いを繰り返し、切り取る場所へ近付けるようになっていきました。
よし、野球の部分が切り取れた! と思ったら今度は切り取り方が雑なことに気付きます。切り取るつもりが、手で破いてしまって周りがビリビリになってしまったりします。ハサミで切れても余分な部分が付いていたり、逆に欲しい部分が切れてしまっていたり。
理想は、本当に切り取りたい部分を、よく切れるカッターで、サイズを間違わずに切り取ること。
それはなかなか難しく、できるようにはなれていません。

高度なことが続けるだけでできるようになれるか、わかりません。
でも、少しは「すごい!」と思う人たちに近付けないかなと思うのです。

ただ、なぜ書きたいと思うのか。
正直、自分でもわかっていないのです。

それでも「なんとなく」続けたいんです。
どうしてもライティングゼミを受けたいんです! なんて強い気持ちはないけれど、「日常」を「特別」なものにしたいから、目の前に映る景色をキラキラさせたいから、もうちょっと頑張ろうかな、って思います。
私にとっては「人生を変える」というよりも「自分探し」のライティングなのかもしれません。
大きくなっても何になりたいかわかっていない大人が、自分を探すことができたら、人生が変わっているかもしれません。
冷めきったソイラテを飲み干し、もう一度気持ちを立て直す。

4ヶ月後、どうなっているか。
私自身が一番楽しみにしている。

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

http://tenro-in.com/fukuten/33767

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2017-04-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事