メディアグランプリ

歌に熱中していたらボーリングまでうまくなっていたという話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:口中 大輔(ライティング・ゼミ日曜コース)

「よっしゃー! 170越え確定!」
意気揚々とベンチに帰ってくるY氏。

「まじかよ…… 全部倒さないと負けるんかい……(フンッ)」
ガシャーン! ストライク!
重圧の中投げた僕の1投は、1ピンも残すことなく倒しきり、辛うじて逃げ切ることができた。

これは大学時代のお話である。
月に2~3度だろうか。僕たちは、仲間とともにやたらとボーリングに興じていた。
場所は三条河原町にある京劇という名のボーリング場。ピーク帯を外せば、1,000円で何ゲームでもOKという、破格の投げ放題プランを売りにしていたお店である。
暇はあるけど金はない学生生活。僕らがこれに無反応なわけがない。平日の夕方になると、仲間内のメーリングリストに「ボーリングやりませんか!?」と、意気揚々のお誘いが誰からともなくかかると、その数時間後には、おおよそ10人前後の若人が京劇に集うのであった。
ちなみに言っておくと、僕らはボーリング同好会などではない。
体育会系集団とは無縁のアカペラサークルの面々である。

最初は単なるノリで始めたボーリングだった。
しかし、みんな負けん気と向上心がかなり強い。段々と闘争心に火がついて、気付いた時には、下手するとバンド練習と同じくらいの頻度で「ボーリング大会」は行われていたのである。
二十歳越えた上回生であっても、プレイ前に酒は飲まない。
これだけ投げていると、さすがに腕も向上するわけで、アベレージはぐんぐんと上昇。わがサークルのエース格になると、その日のアベレージが170点付近になることも珍しくなかった。
僕も、周囲に漏れず、熱しやすく冷めにくい気質。最初はガーター上等のへっぽこレベルだったが、気づけばハイスコアも200を超えるほどにまで上達してしまった。

この「アカペラサークルのボーリング部」だが、全盛期ならば、そこらのボーリングサークルよりかはよっぽど強かった気がする。たかが半年ほどで、そう思うほど僕らは成長してしまったのだ。

思えば、こうした類の「サークル内部活」は結構たくさんあった。
サッカー部もあったし、ソフトボールもしてたし、バレーにいたってはアタックまでしっかり決められるような具合で「部活」を楽しんでいた。
やたらと器用な集団である。
では、肝心の歌の方はどうかといえば、当時としては、全国的に見てもアマチュア最高峰のひとつとして認知されるほどのレベルで活動するような集団であった。

僕は、ボーリングについてはそこそこ太刀打ちできたものの、ほかの「部活」については苦手なものも多かった。
でも、何でもこなせる人に限って歌もうまかったりするんだなぁ……
ちょろっとした遊びでも負ける…… それがまた悔しいのである。

なんでこの人はこんなに本当にほんn何でも上手いんだろうか……

いろいろとその秘訣を考えていた。
実は陰で練習しているのかと思ったりもしてみたけれど、そんな素振りなんかまったくない。
さんざん考えて観察した結果、僕は気付いたのである。
この人たちは技術を習得する前に、「技術の習得の仕方」を習得しているのだ、と。
簡単に言えば「コツの掴み方」である。
学業の方のテストで言い換えれば、丸暗記で点を取りに行くのではなく、理論からしっかり押さえておぼえる公式も最小限にして臨んでいるような具合である。
上手になる方法を知っているというのはとても強い。
「こんな風に努力をすれば、楽に、楽しく上達できるな」
意味も分からず反復練習をするのとはわけが違う。

僕らのサークルでは、音楽を語る時にやたらと「見てくれる聴衆がどう感じてくれるか」という話題が討議されていた。ライブの際のチケット価格決めの時のことなんか、特に印象的だ。
「自分たちの歌にチケット分の価値があるのかな? もしその値段分の価値をつくるためには僕らはどんなふうに向上していくべきかな?」
明確な一つの答えはないけれど、でも、確実に何かの答えがあるものについて、真剣に向き合って取り組んでいた。アマチュアながら、一目置いてもらえる団体になっていたのも、きっと「好きだからこそ、突き詰めて」を繰り返して、それぞれなりに工夫しながら取り組んでいたからじゃないかと思う。

こうして僕らは、知らないうちに歌うことから「上達するコツの掴み方」を学んだのだ。
それがたまたま今回はボーリング部で発揮されたという事なのだ。

個人的に見れば、この経験は人生において嬉しい副作用をもたらした。
俄然、多趣味になったのだ。
例えば、社会人になって始めたダーツも、わりとそこそこ楽しめるほどにまでになれたし、写真だって合同展ながら公衆へと展示する経験もできた。「石の種類」とか「猫の毛色について」とか、いわゆる雑学とまとめられるようなところへの興味も増して、どうでもいいことから、本当にどうもいいことまで、結構物知りになったように思う。
さらには、そうしたニッチな趣味の一つ一つが、新たな縁を招き、人生を楽しませてくれるようになったのだ。

好きこそもののなんとやら。
世の中の「軽々となんでも出来ちゃうスーパーマン」も、きっとこうして生産されていたのだろう。
人生、最後に残るのは学歴やら役職の肩書なんかじゃない。その人の経験と素養である。
いろんなことに精通した博識で、しかもポジティブな人間だったら、周りに愛されないわけがない。
僕の目指すところはそこだ。
よし、これからも、もっともっとアカペラを楽しんで突き詰めていこう!
そしてもっともっといろんな楽しいことと出会ってものにしていこう!

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2017-04-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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