メディアグランプリ

信用は極力しない方が良い


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記事:よめぞう(ライティング・ゼミ日曜コース)

「仕事においては、信頼はしても信用はするな」

ということを、当時の上司は私によく言っていた。
ディーラーで車の営業をしていた私にとって、この言葉は様々な上司からもらった金言の中でも特に印象に残っている。

1台の自動車がお客様の手元に届くまで……たくさんの「プロ」がその大切な1台に関わっていく。私の役目といえば、お客様との商談で「夢」の構想を一緒に練りあげる。縁があって契約に結びつけば、今度はたくさんの「プロ」によって「カタチ」になった大切な1台を無事に納車させていただく。

お世辞にもあまり出来る営業マンではなかったし、もちろん大変ではあったけれど、大掛かりな「ものづくり」の現場に携わることができたことは私自身にとってはかけがえのない財産になったように思う。

その中でもこの「信頼はしても信用するな」という言葉は、私にとっては「戒め」でもあり「お守り」でもあった。

人間が何かをやる上で「ミス」というのは必ずつきものだ。
大なり小なりあるけれど、出来るなら無いに越したことはないし、万が一あったとしても最少限度に抑えたい。

社会人としていかがものか? とお叱りを受けそうだけれど、私はどちらかといえば「ミス」が決して少ない方ではなかった。もちろん規模は小さいものから大きいものまで……。奇跡的にもキャンセルが出なかったのは、上司のフォローはもちろん、やはり寛大なお客様とご縁が多かったというのが大きかった。これだけは本当にラッキーだった。
そんな中、私は「ミス」にも2つあることを発見した。
ひとつは、私自身が完全に「やらかした」ミス。例えば、書類に印鑑をもらい忘れたり、約束を忘れてしまっていたり……ああ、今考えるだけでも胃のあたりがキュッとなる。
そしてもうひとつは、他の人との「やりとり」の中で生まれるミス。これは本当にタチが悪い。

「え? それこの間、私ちゃんと言いましたよね?」

「いやいや、こう言ってたから私したのに……」

「うそ……任せてって言ってたのにー!」

一見すれば他人のせいにできるような内容だけれど、最終的にお客様と対面するのは私しかいないのだ。だから、どうあっても「どんなミス」でも「私のミス」になってしまう。これはどうしようもないことなのだ。

ことが起きてしまって「どうしてこうなったんだ?」と言われても「これはあいつが悪いんです!」なんて口が裂けても言えない。けれど、その思いは私の顔面のキャンバスに思いっきり描かれているらしい。そんな時によく上司からは

「顔に出すぎ! とにかくちゃんと確認してないお前が悪い!」
とよく言われたものだ。そして「とにかく、仕事は信頼しても信用はするな。確認確認、とにかく大丈夫かと疑え」と続いた。

言われている時は、あまり納得がいってなかった。
だって、私悪くないもん。と心の片隅でずっと思っていた。
その方が、同じ怒られるにしてもその後の回復までのスピードが早かったからだ。

けれど、それは間違っていた。
どれだけ言い訳しようとも「ミス」が起きた事実からは逃れることはできなかった。それは大なり小なり私の足枷になってついてくる。しかも、解決する時間が長くなるにつれ、足枷の大きさはどんどん重たくなってくるのだ。

辛い、重たい、早く楽になりたい……。
楽になるためにはそもそも「ミス」をしないか、もう起きてしまった「ミス」を最小限に、ハイスピードに解決する外なかった。

上司が念仏のように唱えていたことは、嘘ではなかった。
「ミスをしない」ためにも「起きてしまったミス」を解決するにも、何度も何度も確認して、とにかく大丈夫か? これで良いのか? と疑う。パッと見れば効率が悪いというか、遠回りのような気もするけれど、結果として上司は私に最短ルートを教えてくれていたのだ。

上司はもう異動してしまい、私も営業という仕事からは一旦離れることになって、もう一緒にすることもなかなかないかもしれないが、もしもう一度一緒に仕事ができるのであれば、あの時はすみません! と謝りたいと思う。

そして、私はまた今朝「ミス」を犯した。
こうやって書き連ねた記事が、パソコンの再起動とともに何処かへと消えてしまったのだ。悲しい限りだ。

けれど、時間は待ってくれない。

「仕事は信頼しても信用はするな」

まさにその通りだ。なんでこまめに保存しなかったのかと後悔ばかりが出てきてしまう。

「確認、確認!」

今日もあの言葉を念仏のように唱えながら、ライティングに励もうと思う。

***

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2017-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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