メディアグランプリ

新人と仲良くなるのは、やめておこうと思う。


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記事:まつしたひろみ(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「うちに新人が入るって!」
「ホントに!?」
 
3月の終わりのこと。
会社で、WEB上の通達を見ていた。人事異動の通達を開くと、「異動」「入社」「退社」と大勢の名前が並んでいた。全国の人事異動の通達なので、ほとんど名前も見たことない人ばかり。いつもは知っている名前を探す程度だ。
その日の通達は4月1日付の異動だったので、新入社員の名前がたくさんあった。今年は何人くらいの新人が入るのかと「へー」という程度に眺めていた。
自分の会社の新入社員だけど、全く興味がなかった。どこか遠い国での出来事のように感じていた。というのも、会社がグループ会社に吸収合併されたこの10年ほどの間に、うちの課に新人が入ったことが一度もなかったからだ。毎年入社する新人のほとんどは、営業部か、検査部の東京のメインの部署に配属になる。
 
「いつから、新人って入ってないっけ?」
「えー、中途では何人か入ってるけど、まったくの新人はいつだったか、覚えてないよー」
係長と私、古株2人で思い出してみたが、ひと昔以上前の記憶では、定かでない。思い出したところで、なんだって感じだけど。
今年は、会社の方針が少し変わったのか、東京以外の地方の部署にも最低1人ずつ配属になっていた。そのため、うちの部署にも新人が配属された。
 
新人が着任したのは、それから一ヶ月経ってからのこと。
合同研修を終えたGW後だった。
うちの係ではなくフロアの違う係に配属され、教育係の人と紹介に来たらしいが、ちょうど私は休みで不在だったので、挨拶の機会をなくした。
 
「めちゃくちゃ、かわいかったよ」
「素直で礼儀正しい子だったよ」
「男性陣はデレデレだったよ」
 
着任後は、男女関係なく、「見たよ」「話したよ」とアイドルが来たかのような盛り上がりだった。ますだおかだの岡田の娘に似ているだとか、ちゃんと挨拶ができる子だよ、などとみんなが噂をしていた。とにかく若くてかわいくて、素直で、礼儀正しくて、こんないい子が来てよかったね、とみんなが浮き足立っていた。
私も若くてかわいいい女の子は大好きなので、早く仲良くなりたかった。
 
研修の一環で、半日から一日、課内の各部署を回ることがあった。うちの部署に研修に来たときに、初めてちゃんと接した。噂通りの新人さんだった。いや、噂以上だった。
挨拶や受け答えがしっかりしている。
わからないことを「教えてください」といい、「こういうことですか?」と言い換えることができる。
素直な感情を、言葉で表現できる。
あたりまえと言えばそれまでだけど、案外その「あたりまえ」ができない人は多い。
 
うちの部署の半日の研修の終わりに
「新しい風を入れてくださいね」
と、すごい上から目線だなと、自分で突っ込みながら声をかけた。
 
ホント、素直でいい子が入ってよかった。
「ええ子やねー」
と、褒める言葉しか見つからなかった。
 
その一週間後のこと。
手が足りない部署のヘルプで静岡まで出張で行ったのだが、私と同じように派遣された新人の子2人と一日過ごした。手が足りないとはいえ、単純作業のヘルプだったので、新人が派遣されたらしい。
2人ともやっぱり、かわいくて素直でしっかりした子たちだった。そのうちの1人とはお昼休憩も含めて一日中一緒だった。
2人っきりだし、私先輩だし、なんか話しかけなくちゃ、と思っていたけれど、もともと話が苦手なので、なかなか話を振ることができずにいた。けれど、新人の子の方が逆に気を使ってくれて、お喋りしてくれた
世間では、ゆとりだとなんだかんだ言われているけれど、全然そんなことは感じさせなかった。
 
みんないい子だけど、みんな違う印象を受けた。
それが、個性なのか、配属された部署の特色なのかわからないけれど、違っていた。
 
ふと、染まらないでいてほしい、と思った。
 
濃くも薄くも、どの部署、どの仕事でも、それぞれ特色がある。
仕事を覚えていく上で、染まることも必要だとは思うけど、染まりすぎると違う色には染まらなくなってしまう。ガチガチの固定観念で固められてしまう。
 
染まって固まってしまうと、新しい風を吹かせることができなくなるし、新しい風を受けたときにも新緑の季節のような心地よい風ではなくて、冬の寒い時期の突風に感じてしまう。
 
そっか。
私自身が、染まりたいと思っていないし、風を吹かせたいと思っているんだ。
何度となく、風を吹かせようとしたけど、堅い壁をぶち破ることはなかなかできない。それどころか、跳ね返されてしまってダメージを受ける。
 
新人の子たちと仲良くしたいと思うけれど、そうすることで、染めてしまうことになるんじゃないかと思う。
そもそも、15歳以上も歳が離れているのに、仲良くなってもらえるわけないけれど。おばさんは遊び相手にもしてくれないよね。
 
染まるのではなく、自分の色を出してほしい。
個性を存分に出して、新しい風を吹かせてほしい。
 
だから、仲良くなるのはやめようと思う。
 
新しい風が吹くときに、私は追い風になりたいと思う。
仲良くではなく、見守りながら。
 
「だから、なに目線だよ」というツッコミは受け付けませんけどね。
 
 
***

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2017-06-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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