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やりすぎはよくない


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【東京・福岡・京都・全国通信対応】《平日コース》

記事:仲里 実(ライティングゼミ平日コース)

 
 
激辛料理はバンジージャンプのようだ。
 
36年前、私は沖縄の高校をでて、福岡の大学に入学した。
その大学では学生寮があるので、寮に入ることにした。
寮は2つあって、大学から歩いて通える距離にある寮と、バスで約45分かかる宗像市というところにある寮だった。
私は大学近くの寮を希望したが、そちらの方は希望者が多かったらしい。
結局、宗像市にある寮に入った。
 
大学には県人会のようなものがあり、指定した時刻の飛行機に乗れば寮からバスが迎えに来てくれるという通知がきた。
寮までどうやって行こうかと思っていた私はその飛行機に乗ることにした。
空港には沖縄からその大学に入学する学生が集っていた。
なんとなく挨拶をして、学生たちと一緒に飛行機に乗り込んだ。
 
空港にはバスが迎えに来ていた。
まずは大学近くの寮に向かった。
大学の前には桜並木があって、ちょうど満開だった。
沖縄にも桜はあるが、こんなに華やかではない。
桜の花が私たちの入学を祝ってくれているように感じた。
 
その後、一年間は寮生活を送っていた。
入学したときは全く友達がいなかったので、寮での生活は楽しかった。
 
寮では自分の部屋にテレビを置くことが禁止されていた。
夜は毎日、娯楽室に集まって雑談をしながらテレビを見るのが日課だった。
 
その寮は海に近く、海水浴場まであるいて10分くらいだった。
夏になると自然に
「海に行こう」
ということになった。
 
寮の仲間数人と準備をして海に向かった。
海に着くと結構な荒波が岩に打ちつけられていた。
すこし海の色が黒い。
 
沖縄の海を見慣れている私は
「なんかちょっと残念だな」
と思った。
 
仲間が揃って
「おおっ。きれい……」
と歓声を上げたので
「えっ。そうなの……」
と思った。
 
みんなと水遊びをしたり、釣りをしたりするのは楽しかった。
釣った魚を砂浜で焼いて食べた。
翌日は日焼けが痛くて大変な目にあった。
 
基本的にその寮は一年生しかはいれない決まりになっていた。
ほとんどの学生は寮をでて大学近くのアパートや下宿に引っ越す。
寮の仕事を手伝えば2年生になっても残ることはできた。
寮生活は楽しい半面、消灯時間が決められていたり、なにかと規則が多かった。
私も下宿生活がしたかったので寮をでることにした。
 
「彼女ができても部屋に連れ込むこともできないし……」
というのが最大の理由だったが、結局、卒業するまで彼女を部屋に連れ込むことはなかった。
 
寮を出た日の夜は大学近くの焼鳥屋で送別会をした。
福岡の焼鳥屋ではキャベツが無料で出てくる。
焼鳥をあまり頼まずにキャベツばかりお代わりしたので、しまいにはお店から嫌味を言われた。
 
店を出ようということになった。
二次会には行きたい気分だが、誰も店を知らない。
そもそも、今まで住んでいたのは大学からバスで45分も離れた場所なので大学近くの店は誰も知らない。
私も当時はサークルのコンパでしか飲んだことがないので店なんか知らない。
結局、近くのマクドナルドでしばらくおしゃべりをして解散した。
 
新学期から下宿生活が始まった。
下宿というのは今では少ないかもしれない。
私が住んでいた下宿は朝と夜の食事がついていて、自分の部屋は45帖~6帖の一室だけだった。
大家さんの奥さんが料理をしていた。
トイレや風呂は共同になっている。
大家さんの家の敷地内に別棟として建っていて、10人くらいの学生が住んでいた。
当時は大学の近くにそんな下宿がたくさんあった。
 
外食は楽しみの一つだった。
下宿では月曜から土曜まで食事がでるが、日曜日だけは食事がでなかった。
日曜日になると、大学近くの食堂やラーメン屋さんに行って食事をするのが楽しみの一つだった。
 
大学の近くにその韓国料理店はあった。
私は韓国料理と言うものを食べたことがなかった。
ある日、入ってみることにした。
ママさんが一人で切り盛りしている店のようだった。
 
壁には知らないメニューの名前が貼られていた。
中でも割りと安かったのはビビンパとクッパだった。
「ビビンパってなんですか?」
「ごはんにいろいろな具を混ぜて食べる混ぜご飯です」
「クッパってなんですか?」
「スープの中にご飯が入っている雑炊みたいなものです」
私はビビンパを注文した。
 
「辛いものは大丈夫ですか?」
ビビンパを作っている途中でママさんがにこやかに聞いた。
私は辛いものが苦手という意識はなかった。
というか割りと好きな方だった。
「大丈夫です」
という返事を聞いて、ママさんは赤いペースト状の物を丼の中に入れた。
 
「なんか……赤いものが大量に入っている……」
と思ったが、大丈夫と言った手前、食べないわけにはいかない……
とりあえず混ぜ混ぜして食べてみたら口から火を吹いた。
大量の汗をかき、大量の水を飲みながらなんとか食べきった。
 
店を出るときに
「もう二度と来ることはないかもしれない……」
と思った。
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その後、大学の友人と話をしていたらその韓国料理店の話になった。
「俺、行ったことあるよ」
というと、友人は興味津々の表情をした。
「韓国料理ってどんな感じ? おいしいの」
「いや……おいしいというかなんというか……辛かった記憶しかない」
「おれは辛いものは好きだ」
ぜひ、連れて行ってくれと頼まれた。
 
友人の頼みを断るわけにはいかない。
友人を連れて、再度、あの店に行くことになった。
「辛いものは苦手だと言ったほうがいいよ……」
私は忠告した。
 
しかし友人は
「辛いものは大丈夫ですか?」
と聞かれて
「大好きです!」
と答えてしまった。
 
赤いペースト状の物体が大量に入ったビビンパが友人の前に置かれた
まあ、本当に辛いものに強いのかもしれないし……と思っていた。
 
やはり友人も私と同じようにひいひい言いながら大量の汗をかき、大量の水を飲みながら食べていた。
 
激辛料理はバンジージャンプのようだ。
散々な目に合うかもしれないが、一度試してみたくなる。
 
大学を卒業して数年後、近くに行く機会があったので韓国料理店がまだあるのか見に行った。
韓国料理店はすでになくなっていた。
いくら激辛でもやりすぎはよくないと思う。
 
 
***

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2017-06-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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