メディアグランプリ

英語を話せるようになるコツは、無償の愛と小さな勇気


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記事:松本 悠里 (ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
今年になって3人目だ、部員が英語部を去っていくのは。
 
花束と、少しおしゃれな表紙のノートを渡し、皆で記念写真を撮った。今日は志乃ちゃんが英語部に来る最後の日だったので、ささやかながらお別れ会を執り行った。
 
英語部は、由季ちゃんと早希ちゃん、そして私という年齢も出身地も違うが「ある1つの共通点」を持った3人が集まって、「英語が話せるようになりたいよね」と思ったところから始まったちょっとしたサークルみたいなものだ。由季ちゃんは、自分の研究のために海外へ留学することを希望していた。早希ちゃんは、ホテル業界への就職を目指して英語を話す機会を欲していた。
 
英語部では、月に1回、都内のカフェに集まり英語を話す。基本的に日本人同士だが、始まってから3年経った今では台湾出身の英語を母語としない方や、時にはイギリス、アメリカ出身のネイティブの方も参加してくれるようになった。
 
英語部を初めて開催した時には、3人で3時間、ひたすら英語で話をした。ちょっと考えてみて欲しい。普通の英会話学校は1コマのレッスンが45分~60分。しかも、先生の講義などもあるため、自分がずっと話をしているわけではない。それなのに英語部では3時間も、ひたすら「あること」について話をした。3人の話す英語は拙く、完璧には程遠い。とてもゆっくり、つっかえながら、もちろん文法的な間違いもたくさんしていただろう。しかし不思議なことに、途中から「英語で話している」という意識がなくなっていた。ただただ相手に自分の伝えたい「あること」を伝えることに夢中になって、英語で話していることなんて忘れていたのだ。
 
活動を2回、3回と回を重ねていくうちに、色々な方が集まってくれるようになった。高校生から30代まで、出身地はおろか国籍もバラバラだ。人数も、多いときは10人を越えた。
 
そのうちとりとめのない会話をするだけでは物足りなくなり、英語でのプレゼンテーションを始めた。パワーポイントを駆使し、手の込んだ資料を作成し、原稿を練る。中にはプレゼンテーションの準備のために徹夜に近いことをする人もいる。時には「ある」商品の販売戦略について、などテーマを決めてディスカッションもした。志乃ちゃんが初めて英語部に参加したのもこの頃だった。最初はおとなしく、口数も少なかった。でも始まって1時間もする頃にはすっかり笑顔になっていた。
 
こんなに一生懸命になってこの活動に取り組んでも、報酬はもちろんない。これがビジネスだったら、とんだやりがい搾取のブラック企業だ。ただし、英語が少しだけ上達するというちょっとしたおまけがついてくる。
 
英語部員の想いは1つ。ただ「自分の好きな某男性アイドル所属事務所のタレントの魅力を伝えたい」、それだけだ。
 
そこには個人の見栄やプライドは存在しない。
 
日本人が英語を話そうとするときに往々にしてあるのは「文法を間違えたら恥ずかしい」「他の人に比べて単語を知らないことがバレてしまう」といった自分の無知を曝け出すことを恥じる気持ちだ。それだけでなく「英語を英語っぽい発音で話すのが恥ずかしい」という、見栄なのか見栄じゃないのかよく分からないけれど、とにかくそんなことも頭を過る。そしてそんな気持ちが妨げになり、英語が口に出せなくなってしまう。
 
でも、英語部員は必死だ。他人に自分の英語力をどう思われようと、そんなものは自分可愛さからくる気持ちでしかない。自分のことはどうでもいい。とにかく、自分が愛して止まないものの素晴らしさを多くの人に知ってもらいたい。余すことなく分かりやすく伝えたい。そのためには出来ることは何でもする。そこにあるのは、時には自己犠牲にもなり得るほどの、大きな無償の愛だ。
 
創部メンバーの由季ちゃんは、IELTSのスピーキングで良い成績を取り、大学の推薦を貰ってイギリスに留学した。早希ちゃんは見事ホテルに就職し日常的に英語を使う日々だとのこと。夜勤も多いため英語部に顔を出す回数もめっきり少なくなってしまった。
 
英語を話せるようになるには、文法力が大切だ。単語力ももちろん必要となる。でも、何とかして伝えたい、知って欲しい、伝われ! と強く思うこと、それほど強く想えるものを持つこと、そしてちょっとの勇気を出すことが英語を話す何よりの原動力となる。
 
伝えたいことがたとえアイドルについてだったとしても、良いじゃないか。愛して止まないこと、でも、こんなことの話をして聞いてもらえるだろうか? と遠慮してしまっているようなこと、誰にでも1つくらいはあるのではないだろうか。自分が好きなものを堂々と好きと言うことは、どういうわけかとても勇気の要ることだ。でもだからこそ、それを自信を持って人に伝えられる人が魅力的であることは、英語部員の彼女らが証明している。
 
志乃ちゃんは、この夏からアメリカに留学する。今日のお別れ会の目玉は、実は彼女にプレゼントを渡し記念写真を撮ったことなんかではなかった。
 
つい先ほど、志乃ちゃんは目を見張るような素晴らしいプレゼンテーションを披露した。日本国外に在住している人500人以上から取ったアンケートを基に、海外から見た日本の「アイドル」文化についての見解を、パワーポイントを綺麗に使い、流暢な英語で述べていた。その堂々とした姿はとても魅力的だった。
 
志乃ちゃんのそんな姿を見て、英語部を主催していて本当に良かった、と思わず目を潤ませてしまったのは、やはり歳のせいだろうか。
 
今日また英語部員が1人遠くへ旅立っていく。寂しいけれど仕方のないことなのだろう。自分の言いたいことを堂々と伝えられる、世界が彼女達のような人を求めていることは、自明のことなのだから。
 
 
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2017-07-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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