メディアグランプリ

美人に必要な3項目。目的と戦略と他人の視線。それが手に入る夢の場所


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:石田葵(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
パシャッ
 
ポーズを決めるわたしの前で、フラッシュが光った。
 
「こんな感じ! どう!?」
 
カメラのファインダー側、デジタル画面をこちらに向けて、三浦さんが撮ったばかりの写真を見せてくれた。
 
三浦さんはわたしが通う文章講座の先生だ。
たぶん本業は本屋の店主だけど、大学の講師をしているし、11月には小説も出すらしい。見た目は安田大サーカスのクロちゃんを細くしたような、キュートなおじさま。
そんなクロちゃんならぬ三浦さん、「女性をセクシーに撮るプロ」のカメラマンでもあり、女性限定の撮影会「秘めフォト部」を開催している。この日わたしは友だちに誘われて、その「秘めフォト部」に参加していた。
 
「秘めフォト部」は、参加者からの評価が高いサービスだった。
うたい文句は
 
自分史上最高にSEXYな1枚を撮る
女性限定のまったく新しいフォトサービス
 
参加した人たちは「女性として自信が持てるようになった!」と口をそろえて熱く語った。
わたしからしたら充分キレイな彼女たちが、真面目な顔をして「自信が持てた」と言うのだから、よほどの内容なのだろう。
 
三浦さんはいったい何をしたのか?
 
わたしは自分がキレイになることより、彼女たちに起こった変化の理由が気になった。
 
ということで、誘われるまま参加し、こうして自分もモデルばりにポーズを決めて撮ってもらっている訳だけど・・・・・・
 
「どう!? これ、君だよ! びっくりするでしょ!」
 
本人以上にキラキラした目でそう訴えかけてくる三浦さんに、しかしわたしは曖昧な笑みしか返せなかった。
 
(やっぱり、うちやなあ……)
 
画面に映るのは、セクシーな衣装を着てセクシーなポーズをとり、それこそ「どう?」といった表情をしてこっちを見ている「見慣れた自分」。
 
わたしは高校で演劇をしていたので、人よりは照明や舞台というものに慣れていた。
衣装やポーズも、役の一環と思えば照れもない。
率先して衣装を選び、撮影前に見せてもらったポージングを真似し、
 
「好きな人を誘う雰囲気を出したいんです!」
 
なんて軽口を叩きながら表情を作った。
その行動が他の参加者の緊張を解きほぐせたなら本望で、自分自身がキレイになるというのは正直あまり期待していなかった。実際、撮ってもらった写真を見ても、「さすがプロ」と思いはしたが、自分の顔からは視線をそらした。見ても心浮かれなかったから。
 
昔から、自分の顔が好きではなかった。
高校生のとき、浜崎あゆみや倖田來未が大好きだった。
ギャル系に憧れて、髪もメイクも真似をした。服も露出の多い派手な柄や色を着た。
でも似合わなかった。
完全にコピーしたつもりでも、「昭和の女感」が漂うわたしの顔には合わなかった。
周りからも「似合わない」と言われ続けた。
それでもやめなかった。好きだったから。
続ければ、いつか彼女たちに近づけるのではと思っていた。
 
そんなわたしが大学生になったとき、ある事件が起きた。
世界的なミスコンである「ミス・ユニバース」で、森理世さんという日本人が一位になったのだ。
日本のメディアは大騒ぎになった。
それは48年ぶりの日本人優勝者が出たということ、だけど彼女が日本的な「美人じゃない」という理由からだった。
 
約半世紀ぶりとなる栄誉を母国にもたらした彼女は、しかしその母国からバッシングされた。
 
美人じゃない、と。
 
世界で一番と認められた美女が、日本では美人じゃない。
 
これはいったいどういうことなのか。
そもそも、美人の基準とはなんなのか。
 
自分の目指すものと周囲が認めるものと。
そのギャップに疲れていたわたしは、これをきっかけに主観的ではなく客観的に「美人」を知りたいと思った。
感情的ではなく理論的にこの謎を解き明かしたい。
大学の卒業論文のテーマに「美人」を選んだ。
 
先行研究を調べ、「美人」に関連する歴史書や指南書を読み、アンケートを取り、観察し、ミスコンに応募もした。もちろん「ミス・ユニバース」だ。
3次面接であえなく落選したものの、去年度のミス・ユニバースジャパンから話しを聞くことができた。
「美を目指す女性同士が競い合う集団面接」も、とても貴重な体験になった。
 
そしてわたしは美人についてこう結論づけた。
 
「美人とは、目的を達成するための一手段である」
 
「美人」を決める絶対的基準なんてない。
国や文化によって違うし、それも時代によって変わっていく。
 
日本では「キレイ」よりも「カワイイ」女性像が好まれ、欧米で「カワイイ」は子どもにしか使われない。
そう考えれば、森さんが日本的な美人でないことは不思議ではない。
だって彼女が戦ったのは、「ミス日本」ではなく「ミス・ユニバース」。あらゆる文化とあらゆる人種が同じステージの上で競い合う世界大会だったのだから。
 
森さんが優勝する前年、日本代表は知花くららという人だった。彼女は美を競うことに違和感を感じ、迷いを抱いていた。女性性を売り物にして、男尊女卑を助長させる手助けをしているだけではないのか、と。
そんな彼女に、スタッフの一人がこう声をかけた。
 
「あなたが注目されれば、あなたのしていることが注目される」
 
知花さんは、貧困にあえぐ子どもを助けたかった。
知花さんが有名になれば、その活動を知ってもらえる。彼女に憧れる女性たちが知るきっかけになる。
その言葉で彼女は迷いを断ち切り、世界2位に輝いた。
 
目的があり、それを達成するための手段として「美」を考える。
 
現代の美人をそう定義づけ、わたしは論文のタイトルに「戦略的美人論」と名付けた。
 
だが、言うは易し行うは難しい。
 
戦略的美人になるためには自分自身の武器、つまり、他の人からはどこが魅力的に見えるのかを知る必要がある。
それを人に聞く機会がいったどれだけあるだろう。聞ける勇気のある人が、一体どれだけいるだろう。
日常生活の中でミス・ユニバースの予選会場のような、美にひたむきな姿をさらせる環境はそうそうない。
 
理論がわかったところで、わたしはそれを活かせずにいた。
 
それがどうだろう。
 
撮影も終盤に差し掛かり、他の参加者たちが変わっていく様子を見るうちに気付いた。
 
「君のお尻は勝負できるお尻だね!」
 
「首から肩へのラインがすごくいい!」
 
長所を教えてもらい、褒められることを受け入れ、自らの武器と認識し、それをもっと活かそうと工夫を始める。
その姿は美しかった。
わたしが定義した、現代の美人の姿そのものだった。
 
(これは戦略的美人育成の場なんや)
 
わたしが一年以上かけて解き明かした謎の「成果」を、たった数時間でやってしまうとは。
まさかそんな場を作ってしまうとは。
 
「ああ、おもろいなあ」
 
思わずそう言っていた。
 
そしたらなぜか、参加者ではなく三浦さんが振り返って言った。
 
「そうでしょ!? 楽しいでしょ!?」
 
参加者たちが口をそろえて「自信がついた」と行った意味が理解できた。
戦略的美人育成の場なら、キレイにならない方がおかしいのだ。
 
(ここでなら、うちも目指せるかもしれへんなぁ)
 
今度は視線をそさず、笑顔で三浦さんに言葉を返した。
 
「楽しいですね!」
 
 

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2017-09-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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