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料理教室


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:下山員須子(ライティングゼミ平日コース)
 
京都の料理教室に行った。老舗の包丁屋さんの二階で行われる、これまた老舗の料理店のご主人が教えてくれる教室だ。
 
魚もさばけない私がなんとも無謀なことをしようとしているもんだと思いながら、教室に入ってみると、何のことはない、他の参加者も普通の主婦が多かった。
 
が、材料が私には普通じゃなかった。
 
まず「鱧の子」
 
鱧の子? 鱧って卵あんの? と思ったが、魚なんだからもちろんある。
しかし、45年生きてきて、近所のスーパーではそんな代物拝見したことはございません。
 
卵付きの鱧を買って来て処理します、とのこと。もうこの時点で異世界のなのだが、普通の主婦だと思ってた人たちが、普通に聞いてるあたり、この人たちもどうやら普通ではなかったようだ。鱧をそのまま買ってきたら、骨切りもしないとダメなはずなのに、全く皆さん動じる気配なし。
 
「鱧の子なんて、近所のスーパーで売ってます?」と、隣のご婦人に聞いてみると、
「時々売ってるわよ」とのご返答。
 
恐るべし京都。さすが京都。
 
「私大阪から来てるんですけど、近所のスーパーで売ってるのなんか見たことないですぅ」と先手を打っておく。こうすることで、周りのご婦人方は、私が異世界から来たと認識して、色々教えてくれるようになるからだ。実際、鱧の子なんて見たことないし。
 
その後も、「美人粉」「白焼きあられ(塩もつけていない素焼きのあられ)」など、そんなもん近所に売ってませんという材料が続く。
他のご婦人たちは当然知っているのだけれど、先生やご婦人方は、異世界人の私のために丁寧に教えてくれる。
「美人粉」は本来「微塵粉」言うらしく、もち米からできている。響きを重視してか、京都では「美人粉」と言うのだそうだ。これをミルで砕いて揚物の衣に使う。パン粉などは、小麦粉が原料なのだが、美人粉はもち米が原料なのでこちらの方が粉臭さがなく美味しいらしい。
「鱧の柳川鍋」というお品も教えていただいたが、先生は異世界の私のために、鱧の代わりに鶏肉で代用する方法も教えてくれた。
たかが鶏肉。されど鶏肉のようで、下処理も丁寧に教えてくれる。
この世界では、切って入れるだけという手法は存在しないのである。
すべての工程で、いちいち丁寧な作業が入る。そして時間もかける。
食べるのは一瞬なのに。
 
美味しさを追求するためには、材料と手間はケチらないのがこの世界では常識らしい。
 
そした見た目の美しさにも気を配る。お皿はもちろん、料理に花をあしらう。
萩の花が用意してあった。ご婦人方は、何の花か一目でわかったようだが、私はわからなかった。
花屋でわざわざ買って来るのかという問いに、庭に咲いてるのを使うとのお答え。私には参考にならないと思われたようで、「お寺さんによく咲いてるからもらってきたらいいよ」と教えてくれた。
微妙に参考にならないが、こちらに歩み寄ってきてくれている気遣いはわかる。
優しい方々である。
 
日々の仕事に追われている私は、普段できるだけ料理にかける手間は省きたいなぁと思っていたので、まさに異世界である。
当然出汁も昆布とかつおから取るのである。インスタントの出汁などこの世界には存在しない。
そして、昆布だけのバージョンと、かつおを入れた後のバージョンの味見をするのは、教室の日課らしい。
どっちも美味い。インスタントの出汁と違って、体に染みわたる感じがする。
 
そういえばテレビで料理家が言ってたなぁ。
「余計なもんが入ってないから、体にすっと入ってくるんです」
 
どうやら私の作る物は「余計なもん」だらけのようだ。
 
純粋に美味しさを追及して、本来の出汁の取り方をすること。
下処理などの手間暇をかけることを嫌がらない。
見た目の美しさにも気を配る。
こうすることでこの世界では、「余計なもん」は入り込む余地がなくなるのだ。
前向きで丁寧な姿勢。これまでの私には無かったものだ。
この世界の真似をすれば、私も「余計なもん」はなくしていけるかもしれない。
 
家に帰ってから、教室で習った冷やし冬瓜を作ってみる。
 
「なんも難しないわぁ」と言いながら、普通に冬瓜の皮を先生が剥いていたので、難しないやろうと、剥いてみたが難しかった。
綺麗な翡翠色が出る様に、皮は剥きすぎてはいけないらしいが、剥けてしまう。
剥き足りないと、皮は固いので食べたときの舌触りがいけていない。そして思っている以上に時間がかかる。先生の作業に時間がかからないのは、技術が高いからだった。
 
にこにこ笑いながら普通に料理していた先生はやはり、私とは異世界の人だった。
どうやらそんな異世界に、私は魅せられてしまったようだ。
来月は何を作るのだろうと、今日も異世界に想いを馳せる。
 
***

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2017-11-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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