プロフェッショナル・ゼミ

あの日から、私の世界は赤く染まってしまった。《プロフェッショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:田中望美(プロフェシッショナル・ゼミ)

街はもう、クリスマス仕様になっている。
先日友人と街を歩いて回っていた時、たくさんの照明と、音楽と飾りで、空気が楽しいクリスマスを思い出させた。

とあるカフェの横を通り過ぎる時。
私は、そのカフェが赤く見えてしょうがなかった。

何度も目にする広告。
私はそれも赤く見えてしまう。

普段何気なく買っていたモノや通っている場所も、突然赤く見えてしょうがなかった。

これは街のいたるところに灯されている赤、緑、黄色のクリスマスカラーの電飾のせいでは無い。

たった1つの本のせいなのだ。

天狼院書店店主であり、プロカメラマンやライター、大学の講師など、ありとあらゆる肩書を持つ三浦さんが、念願の小説を書いた。

小説家デビューするために並々ならぬ努力をしてきた三浦さんが、何年もの試行錯誤の上に書き上げた物語だ。

私は、尊敬する人物トップ3には入るであろう三浦さんの小説にとてもとても期待をしていた。
なぜなら、三浦さんと知り合ってから約2年。私の経験上、三浦さんの言うことは絶対なのだ。
プロカメラマンになると言えばなるし、雑誌をつくる、演劇をする、店舗を増やすと一度宣言すると必ずそれを実現する。その姿を間近で見て、なんとかそのメゾットを私も自分のものにしようとやってきた。
その三浦さんが超絶面白いと言うのだから、絶対なのだと思わざるを得なかった。そう思えるのも、この小説の背景には、並々ならぬ三浦さんの熱量がこもっていることを、このプロフェッショナル・ゼミの受講を通して知ってきたからだ。

忙しい中、一度書き上げたものを白紙に戻し、何度も何度も修正、改善をくり返す。福岡の天狼院書店でも時間があればギラッとした目でパソコンに向かう背中を私は見た。

だから、絶対に面白いのだと信じて疑わなかった。

でも、その本を面白いと言った三浦さんは、私の世界を赤く染めてしまった。
あの本を読み終えた瞬間から、私の周りは「赤」なのだ。

それは多分、私の中が赤く染められたからなのだろう。
それほどまでに、浸透力が凄まじいのだ。
日々過ごす何気ない瞬間に、いつもあの本のことが浮かんでしまう。日常の全てがリンクするのだ。

本を読んだ後にこんな感覚に陥るのは初めてのことだった。

私は今まで、無意識のうちに「売る」という行為は悪だと思っていた。

モノだけでなく、サービスや営業など、この世界は「売る」ということで埋め尽くされている。売るために広告をバーンと出したり、パンのいい匂いを漂わせたり、相手を口説いたり。

なぜこの世界の人々はそんなに「売る」のか? 
私には、お金のため。自分のため。としか思えなかったのだ。仕事だからしょうがないのかもしれないが、しつこいセールスは迷惑だ。人の心理的な行動をくみ取っての戦略も、相手を騙し貶めているように感じてしまう。全てをタダにしてしまえば、なんもトラブルも起きず、平和なのではないかなんて思ってしまう。

私には何かを必死になって売るという経験が無いからか、あまりにも必死になって何かを売ることの意味を、深く理解できなかったのだ。

以前、勤務先で新規入会が少ないことで、注意を受けたことがあった。遠回しに、売り上げが落ちたから、上げるように努めてほしいということだ。私はやはり、無理に売るというのはあんまり気が進まなかったし、お客さんにも逆効果なのではないかと思った。売り上げが下がったから売ることを頑張るということに、ますます違和感が募った。確かに、人は生活していくために働いて稼がなければならない。売ることが仕事の人であれば、ノルマなどがあり、嫌でもやらなくてはならないのだろう。そうしなければビジネスが成り立たない。ボランティアとは違う。それは、私でも何となく理解できた。

でもそれが、売ることが悪ではない、汚いことではないという証明にはならない。どうしても売るということの嫌悪感というものが取れずにいた。私にとって売るということは、表向きは世のため人のためときらびやかだけれど、裏では地位や名誉やお金など汚い部分を持つものだという概念が強かったのだ。

だが、勤務先の経営者の一言で私の中の何かが少し動いた。

「悪いものを売っているのなら、もっと入会を促すようなこと言えないよ。でも、うちはいいモノを提供している。そうでしょ? その自信があるから、このお店を立ち上げたんだよ」

私はこの会社が好きだった。この会社の提供しているサービスも大好きだ。なぜなら、ここで働く人やモノが良いからだ。
なるほど、そうかと思った。私は何を躊躇していたのだろう。悪いものを売っているわけではないじゃないか。いいものを売っている。どうせ悪いものは売れないのだ。だったら私のようにここのサービスによって、少しでも幸せな気持ちになれる人が増えるのであればそれは、自分にとっても相手にとっても良いことかもしれない。堂々とすればいいのだ。

 なぜこの世には、売るということが蔓延る様に、行われるのだろう。そして、それを私もしている。

でもこれは、
『殺し屋のマーケティング』で、主人公の七海が受注世界一の殺しの会社をつくった理由を聞いているのと同じことなのだ。七海にはどうしてもそれをしなければならない理由があった。もしかするとそれは、ある人からすれば単なる自己中かもしれないし、世の中の役に立つことだという人もいるかもしれない。しかし七海は、自分の信念を貫き、失敗や成功を繰り返しながらも、踏ん張るのだ。

本の中で三浦さんはマーケティングについてこういっている。

マーケティングは「旅」だ、と。

マーケティング、つまり売るために様々な戦略を立てることは、「悪」ではなく、「旅」なのだ。旅には良いも悪いもない。というか、良いことも悪いこともある。すべて含まれて「旅」といえるのだ。

私が街を歩く中で見た「赤」というものは、様々な試行錯誤を重ねて商品やサービスを提供する面影がみえたからだ。世の中には売るということが溢れている分、マーケティングの戦略も数多くある。でもそのすべてが、あの赤い本にリンクしてしまう。

商品が買い手に届くまでには、物語がある。本当にその通りだと思う。旅には失敗や成功、回り道がつきものだ。

つまり、世の中は「旅」で溢れかえっているのだ。そういう視点でとらえられるようになったのは、とても大きな糧になる。赤い本が私をそうさせたのだ。

三浦さんのその旅の途中をこの目で見ることができるのは本当に貴重な経験だと思う。

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