プロフェッショナル・ゼミ

世界一痛い鍼治療を目指して。《プロフェッショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:石崎 洋平 (ライティング・ゼミ プロフェッショナル)

「お前の鍼は痛いんだよ!!」
今から11年前のある日のこと、とある患者さんから言われた言葉だった。
そして、あろうことかこの患者さんは私しか鍼治療をするスタッフがいない時に限って鍼治療のオーダーをする。
そして毎回毎回、同様の言葉を言う。
時には「お前ちゃんと免許持ってんのかよ!!」「練習してんのかよ!!」とさえ言っていく。

他の曜日にも来院される方だったので、たまらず他の曜日で鍼治療のオーダーをするように、それとなくお願いをしてみたりもしたが、なぜか毎週私しか鍼を打てるスタッフがいない時に鍼治療をオーダーしてくるのである。
こちらとしても正直言って言われ続けたので、それはもうたまったものではない。
そんな日々が数ヶ月続いただろうか?
もう辞めたい、この仕事自体を辞めてやる!! とも思った。
だが、私には申し訳ないが文句を言われようが何をしようがこれ以外に食べていく術が無いし簡単に辞める訳にはいかなかった。

ここにくるまでには紆余曲折あった。
まず当時通っていた大学を退学し、鍼灸の専門学校を受験するもはっきり言って舐めていた。
高校時代、専門学校に進学する連中の話では、専門学校なんて試験とは名ばかりで願書に名前を書けば合格する。
試験があっても、ちょっとした作文を書けば入学させてくれると言っていたのを真に受けて、そのつもりで願書を取り寄せてみたらビックリ!! ちゃんとした試験をするではないですか!!
生物や国語に小論文、学校によっては英語や数学まで。
当然なんの準備もなく受験をした私は、どこの学校からも不合格通知をもらうこととなる。
翌年の受験でめでたく合格するも、学校に3年間。
学ぶものは、鍼治療なのだから「東洋医学」だけを学ぶのかと思いきや扱いとしては、コ・メディカルに属するので、しっかりと「西洋医学」も勉強することが義務付けられている。
両方の知識を学ぶのだから脳みその中は、なかなか大変な作業となる。
意外と大変なのが、同じ漢字を使用するということ。
西洋医学では「肝臓」東洋医学では「肝」
「臓」がつくかつかないかの差だがこれが大違いで、まず概念から違う。
語っているものが違うのに同じ漢字を使うので初学者はまずここでつまずく、東洋医学に魅せられて入学しても20年以上西洋医学にばかり触れて生活してきたのだから、なんだかんだ言っても仕方がない。
そして穴(ツボ)の名前。
常用漢字でない漢字などというレベルではない、もう初めて見るような感じのオンパレードだったりする。
まずは、これらの用語に慣れなくてはならなかった。
当時欲しかったものは西医学専用の脳みそと、東洋医学専用の脳みそだった。
苦労して総額700万円以上のお金を使い国家試験に合格しての就職。
そして働き出した治療院で3年目の年のことでもう30歳になっていた。

この歳で、わずか3年で違う職につく事なんかできないのである。
もう崖ぷちだった。

とにかく必死に、まずは学生時代の教科書やノートを引っ張り出しひたすら自分で練習する日々がはじまるが、それだけではまだ足りないので講習会に参加し学校で一番初めに習う右手の役割は? 左手の役割は? などという事から必死に習い練習する日々が始まった。
道具となる鍼は一寸三分(約40mm)、髪の毛ぐらい(0.16mm)の太さのものを基本的に使用するが、そこから常用するのは長さ三寸(約90mm)太さが2倍くらいのものまで、材質はステンレスが多いが銀の鍼も使用する。
これらの道具を自在に精度よく扱えるようにする事が求められる。
まずは、痛みなく打つ事ができること。

そうして数年が過ぎると、だんだんと患者さんに褒められること感謝されることが増えてくる。
中には「鍼治療って痛くて嫌だったけど、心地よく受けることができた」と言っていただくことまで出てきたのは嬉しい限りである。
こういう言葉をいただけるようになってくると、しっかりとこの技術で食べていくことができるようでありがたい。

しかし、これで良いのか?
痛みがないのは良いが、しっかりと効果が出ているのだろうか?
もっと有効的に効果が出せないか?
効果の出し方は考え方もそれぞれで、それこそ「なでる」だけでも効果は出る。
子供の頃転んだりすると親にやってもらった事があるのではないだろうか?
「痛いの痛いの飛んでいけー!!」
いわゆる手当療法。
逆にTVなどで見かけることのある、痛い足裏マッサージ。
施術を受けている時には七転八倒しているが、終わってみるとスッキリ!! よく効いている。

じゃあ鍼治療はどうか?
痛くて効くもの。
できれば、痛く無いのが良いな。

かと言って、全く痛く無いが効果が少ないのも……。

そこで考えたのは「痛みと、無痛のあいだ」の刺激。
身体に対しての刺激は入っているが、痛み無く施術をするということ。
鍼を打つ時の痛みをなくすのは、よく切れる刃物で瞬間的に切ると痛みを感じないことと同じ手法を使う。
これは西洋医学的にいうと神経の域値(痛みなどに反応する刺激量)を超えない刺激をギリギリのところまで与えるということ。
そうすることにより、痛みなく最大限に刺激を与える事ができ最大の効果を生み出す事ができるのである。

これには、使う鍼を自分のおもうがまま自在に扱えるようならなくてはならない。
鍼灸の免許を取得して14年。
歳の数でいうと、まだ中学生だろうか?
業界的には、まだまだ若造ではあるのだからこれからも日々研鑽を重ねていこうとおもう。

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