メディアグランプリ

ショッキングレッドは魔の力


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:木戸 古音《ライティング・ゼミ平日コース》

 
 
「痛、痛、痛い」
「お願いだ、ちょっと来てくれへんか」
私はたまりかねて近くの友人に電話する。
「ちょっと、今何時だと思っているのんや。夜中の3時やんか」と実に迷惑そうな友人。
あたりまえだっろうね。しかしベッドの中で寝返りどころか息をするのも痛くて悶々としていた。
私は毎朝ベッドから起き上がるのがものすごく苦痛を伴っている。
2年前から「しょうせき膿ほう症」というややっこしい難病にかかってしまい
猛烈な背中の骨の痛みで起き上がれないでいる。
冒頭はちょうど一年前のこと。
夜中に友人に駆けつけてもらった。
友人は介護支援の経験がある。
「寝返りどころか、痛くて息もできない」とわたしは訴える。
「私にはどうしようもないわ」と友人は続けて
「救急車をよぼう」という。
痛みをこらえながら私は「そんな大層なのはいやだ」とわめく。
 
結局救急搬送されることになって、17日間入院する羽目になった。
退院後も積極的に何も出来ない。当然ものごとが首尾よく運ばなくなっていた。
この病気は骨が石灰化する病いなので完治するまでに3年間はかかるらしい。
重苦しい毎日が続いていた。
 
天狼院のライティング・ゼミに参加したのも去年の8月。
私はたたでは起き上がりたくなかった。
コンピューターを打つぐらいなら今の体調でも何とかなるだろうと思った。
本来の自分の活動がまま成らないのならと偶々入ったこの本屋さんで講座を知り迷う事はなかった。
 
あの入退院から一年経った。
いまだに日常生活に支障をきたしている。
 
このあいだの昨年暮れに古着屋で派手な色のコートを購入した。
女モノだが、左右のボタンが逆になっている以外は海外ものでもあって
サイズ的にも別段問題は無かった。
だから男物女物そのことは別に気にしない。おしゃれなら男女どうでもいいのだ。
だた、ショッキングな赤ピンク色、買ってみたものの、着て歩くには当初勇気がいった。
街を歩いてても、自転車に乗っていてもすれ違う人ごとに、こちらを振り返っている。
皆が振り返えっているように思える。
「でも交通事故にあわずにいいわい」とわたしはおもうようになった。
それでも「さすがポルノ映画館にはこのままでは入れないよな」
と、いろいろ考える。
 
そのうち
「それ似あってるな」
「いい色ね」
そういうひとが何人かあらわれてすこしは馴れてきたかもしれない。
年末ショッキングレッドコートを羽織って
思い切って近くの千本釈迦堂の閻魔堂除夜の鐘をつこうと向かった。
するとどういうことだ。
超ラッキーなことに長蛇の列の一番バッター鐘つきになっていた。
大いに気を良くしてルンルン気分になって、そのまま北野の天神さんに初詣にまで足を伸ばした。
 
それからだった。
新しい人との出会いが次々と出はじめた。
早々この五月の絵の個展の招聘が大阪と京都でギャラリーからあった。
さらには爪弾き三味線の師匠にも出会い念願の稽古を付けて下さることになった。
新たなクロッキー写生会の誘いもあり、毎回美しいモデルを描くチャンスも得た。
また知人の紹介で美しい青年ヌードモデルが専属で来てくれるようになった。
まだある。
ビンテージの高級LPレコードプレーヤーを譲っていただける夢のような話も。
 
すくなくともこのショッキングレッドが私自身を積極的に前に前にと突き出し、
周辺からもこちらにむけて話を持ってくるようになったように思う。
私はそれで気を良くしている。そして調子に乗ってコートのほかにも図案調にI love youと刺繍したベレー帽をかぶったりと、人が気軽に話しかけられる状況を恣意的に作ろうとしだした。
 
ここでわかったことは運気とかチャンスとかはこちらから積極的に大手を打っていかないといけないなと思った事だ。向こうから運がチョコチョコと歩みよってくるわけが無い。
こちらから積極的に生きる事を楽しんでおればおのずと物事は良い方向へ動き出すと言う事だと思う。
重要な鍵は自分自身のなかにあるのだということ。
当たり前ではないのか。
こんなあたりまえのことを病気を通じて再確認せざるを得なかったとは実にのんきな話でもある。
ともかくもショッキングコートの魔力は継続したい。
と思いきや困った事が生じだした。
それがここ2、3日のぽかぽか陽気だ。
この事態にどのように対処しようか。
 
真っ赤なショッキングピンクレッドのネックセーターを手に入れるべく走り回っている。
 
 
***

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2018-03-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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