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メディアグランプリ

マンモグラフィーはそんなに痛くない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:安光伸江(ライティング・ゼミ 特講)

 
 
2016年の夏、乳がんが発覚した。
 
乳がん検査でするマンモグラフィー、すごく痛いと友達から聞いていたので、それまで検査を受けたことがなかった。別にいいやと思っていた。
 
そうこうするうちに胸のしこりを発見、痛みも感じるようになった。しこりが動くので「違うかも、良性かも」と勝手な判断をして経過観察(という名の放置)していたら、皮膚の色が変わってきた。
さすがにこれはヤバいんじゃないかということで、5月に父が亡くなったあとちょくちょく我が家に出入りするようになった従姉に相談したら、翌日すぐ大病院の乳腺外科に連れて行かれた。
 
とりあえずマンモグラフィーとエコー検査をして、針生検をするところまでが初日のメニュー。
 
噂のマンモグラフィーは、ぜんぜん痛くなかった。左胸の患部の痛みの方がよほど痛かった。そんなにぎゅーっと引っ張る感じでも、ぎゅーっと押さえつける感じでもなかった。
 
画像はその日のうちに結果が出るので、私も見たのだが、きれいな右胸に対し、左胸はかなり大きい範囲が真っ白だった。
 
99%、いや99.9%、乳がんですっ!
 
先生は険しい顔でそう言った。まぁそうだよね。これだけ皮膚の色が変わっていて、良性ってこたぁないわね。と思いつつ
 
残り0.1%は良性かもしれない
 
といちるの望みも持っていた……のだが
 
当日はほぼ寝たきりの母を介護していて、父が亡くなったので母を一人にはできないと思い、「手術しないという選択肢はないんですか?」とのんきなことを聞いた。
 
「ありますよ、むしろ、手術できるかどうかが問題なんです」と先生。
 
針生検の結果が出るまでの間、お盆休みをはさんだので少し時間があったのだが、どこをどう考えても、もし万一良性だったとしても、何らかの治療をしないといけないということは納得した。でも手術じゃなくて通院でできないかな、と往生際の悪いことを考えていた。
 
結果を聞く日、先生はすぐ「手術、いつにしましょうか」と言った。
 
ちょ、ちょっと待ってください、母を一人にはできません
 
その後は大騒ぎで、病院の相談室が母を預ける病院を探してくれて、母も私も入院ということになった。先に母を預けて、私が退院してちゃんと生活できるようになってから母を退院させるという手はずになった。
 
手術は無事成功。
 
悪いところ全部とりましたからね! 全部とりましたからね!
 
と手術室から病室に運ばれるエレベーターの中で先生に力説されたのはよく覚えている。しこりはかなり大きかったのだが、どうやら全部とりきれたらしい。リンパ節にも転移があったが、一切合切とりきったらしい。
 
全摘手術は見栄えはよくないが、かなり進行していたのに完治の可能性があるというのに安心した。というより手術できるギリギリのところだったらしく、私としては命拾いしたと感謝するしかなかった。
 
その後、術後補助療法として抗がん剤の点滴が始まり
母が退院してきて家に訪問介護の人が来るようになり
2種類めの抗がん剤の副作用がキツくて4回のうち2回だけになり
ハーセプチンという、副作用はあまりなくがん細胞にだけ効く(おおざっぱに言えば、だが)お高い薬の点滴を1年に渡ってすることになった。
 
術後半年、1年のCT検査は無事クリア。
 
私がのんきにハーセプチンをしている間に、今度は母のがんが発覚した。
 
ハーセプチンの点滴から帰ってきた日に失禁してベッドからずるずる落ちていて、その日にショートステイに入れた。その後病院に移り、肝臓の腫瘍が見つかった。
次のハーセプチンの日の前週に母の検査があり、末期がんということがわかった。
母の画像も先生が見てくれて、春までは持たないだろうと言われた。
そしてその次の点滴の日の未明に母が亡くなった。
 
家を出て6週間で亡くなった。
 
それからも淡々と点滴は続いた。母が亡くなって6週間後が最終回だった。
 
その日はCT検査と採血とマンモグラフィーをするということになっていた。
 
マンモグラフィー? 左胸、ないんだけど、どうやってするの?
 
と思っていたら、残っている右胸だけだった。そりゃそうだ。
左胸はもう骨と皮なんだから、おそらくがんはもういない。
 
今度のマンモグラフィーは、ちょっとだけ痛かった。
 
ひっぱりますよー
はさみますよー
 
あっち向いてこっち向いて手をあげてあごをあげて
いろいろ指示があったけれどよく覚えてない。
 
乳がんの最初の検査の時は痛くなかったけど、少し胸がやせたのかな? と思った。
 
検査の結果は良好。完治の可能性は5割くらい、とのことだったが、1年半とにかく生き延びた。このまま5年生存率をあげる症例になれるといいのだが。
 
これを読んでいる人で、マンモグラフィーは痛いって聞くから二の足を踏んでいる、という人がもしいたら、そんなに痛いわけじゃないから、受ける気があるなら受けた方がいいですよ、と声を大にして言いたい。
 
早期発見・早期治療すれば、乳がんの生存率はそんなに低くはないらしい。私はかなり進行していて自覚症状もあった悪い患者だが、ギリギリで手術できたのはラッキーだったとしか言いようがない。手術できない段階に進んでからだと治療はもっとつらいだろう。
 
安心するためにも、マンモグラフィーを受けてみませんか。
もし異常が見つかっても、早いうちなら助かる確率も上がりますよ。
 
抗がん剤治療は、ちょっとつらかったけどね。
 
 
***

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2018-03-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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