メディアグランプリ

救世主の名はエクセル  


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事: 中村響 (ライティング・ゼミ 特講)
<この物語はフィクションです>

 
 
「二度とサラリーマンなんかやるか……」
昨年に、私は会社を辞めた。
健康上の理由とはいえ、自分としては悔いの残る辞め方だった。
「せめて仕事がきちんと回すことが、
出来る状態になって辞めたかった」
偽らざる私の本音ではあったが、
スキル不足は如何ともしがたい。
そんな私に大きな力を与えてくれたのは、
「エクセル」だった。
私にとっては「エクセル」こそ、救世主だったのだ。
「お前、あの仕事まだ終わってなかったのかよ?!」
上司に怒鳴られながら、私は全ての仕事に懸命に取り組んだ。
しかし、結果は一向に出ない。
仕事において、
「安全地帯」となる得意分野が無いのは相当に厳しい。
コミュニケーションやPCスキル、本職の財務の知識。
足りなかった物を上げればきりがない。
すべてが足りなかった結果、体を壊して私は敗走した。
「まずはタッチタイピングをやっていきましょう」
体を壊した私は、色々な人の力を借りて再就職に向けて動き始めた。
そして、再就職のための訓練講座で言われた、
この何気ない一言が私を変えた。
エクセルの加護を受ける契機になったのだ。
「指が痛いいいいいいいいいいいいい」
私はまずはずっと苦手だった、
タッチタイピングに手を付けることにした。
馬鹿馬鹿しいほど簡単なものから取り組む。
キーボードの位置を覚えて、
手の動かし方をメモにしてそれを見ながら文字を打った。
普通の人から見れば失笑するような内容からの再スタートである。
しかし、私は大まじめだった。
 
「エクセルを使わない職場はほぼ考えられない」ということを、
身に染みて知っていた。
懸命にキーボードに向かう日が続く。
数か月後。
「はー、何とか出来るようになった」
人間なんとか技能を覚えようとするもので、
人並みにはタッチタイピングを出来るようになっていた。
そこから大きく巻き返しが始まる。
「MOSを目指そう。取りあえず履歴書には欠ける」
MOSと呼ばれる、
エクセルの資格試験突破を目標に勉強を進め始めた。
その途中で、
知り合いでエクセルに詳しい方がおり協力してくれた。
そこで、ショートカットキーという概念を知る。
「中村君、エクセル勉強してるんでしょ?
ショートカットキーの機能はコピー&ペーストだけじゃないから、覚えると早くなるよ」
そう教えてもらった。
試してみると、
「たまげた……」
今までの自分をとりあえず張り倒したくなる。
ありとあらゆる動作が、
けた違いに早くなるのだ。
読者の方々もコピー&ペースト位なら知っている方も多いだろう。
では表の作成をマウス無しで、
出来る人はどれくらいいるだろうか。
エクセルはほとんどの機能を、
マウス無しで行えるように設計されている。
検索するページとエクセルの画面の切り替えまで、
ショートカットキーで出来るように作られているのだ。
これが出来るようになると、
エクセルのポテンシャルを最大限引き出すことが出来る。
「これなら次の職場では仕事が出来るようになれる」
そう思えるほど、大きな違いが生まれた。
 
さらに資格試験の勉強をしている時、
私は驚愕する機能に出会う。
「マクロの記録? なんだこれ?」
それは今回受ける試験ではわずかしか問われない範囲だった。
正直、点数の配点で言えばゼロに等しい。
重点分野では全くない。
そんな機能である。
しかし、この機能が私の考え方を大きく変える。
教科書通りに動かしてみると。
「えっ……。嘘だろ?」
人間は本当に物事に驚くと、固まる。
今までの常識がガラガラと音を立てて崩れていくのだ。
「これマスターしたら、全部の仕事を自動で出来るんじゃないか!!!!?
仕事で苦労しなくてもよくなるぞ!!!?」
前職であんなに苦しめられた仕事が、
エクセルの力で全て処理される。
そんな理想が見えたのだ。
「うおおおおおおおおおおお!!!!!」
少し、エクセルに詳しくなっただけ。
だがそれは私にとって、計り知れないほど大きな一歩だった。
まさにエクセルは私の「救世主」なのだ。
その時のサンプルは只のコピー&ペースト。
だが今までのエクセルと違うのは、動作が全て自動化されている所だ。
ボタンをワンクリックするだけで、必要な操作が全て完了する。
そんな機能だ。
その裏側のからくりを司るのが「VBA」というプログラミング言語だ。
私はこの知識を習得すべく、勉強に没頭した。
そして数ヵ月後、
私は得た知識を武器に、無事に再就職を果たした。
「ふわああああ」
午後はやはりとても眠い。
大あくびが出る。
「中村君……随分ヒマそうだね? 何なら手伝ってくれない?」
あっ、先輩に見つかった。
新しい仕事が振ってくる。
 
「わっかりましたー。 これなら午後一杯で出来そうですね」
「は?! この量を?! どうやんの?!」
先輩が目を剥く。
目の前にあるのは大量の数字のデータだ。
「2時間くらいでプログラム組み終わるんで、
一旦そこで完成したもの見てもらって良いですか?
この位ならワンクリックで処理できるようになるんで」
私がこともなげに言うと、先輩がジト目で私を見る。
「全く、入社して1ヵ月で『仕事が無くなりました』なんて言うんだもんなあ。
仕事振るこっちの身にもなれよ……」
そう愚痴ってはいるが、嬉しそうだ。
自分に振られた仕事をすべて自動化して、
先輩の仕事を巻き取り、
先輩の定時退社に大きく貢献したのだから、
そりゃそうだろう。
「まあ私はエクセルという救世主の加護が付いてますからね。
数字に関わるものなら何でも出来ますよ」
そう言って、
私は笑ってプログラムを組み始めた。
敗残兵は、救世主の力で蘇ったのだ。
エクセルは勉強した分だけ、私達の身を助けてくれる。
 
 
***

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2018-04-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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