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メディアグランプリ

売れるかもと出店した百貨店イベントが売れなかった。でも楽しすぎてやめられない。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:濱中 伸幸(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「今日はどうだった?」
「雨やから、お客さん少なかったし、あんまり売れなかった」
「昨日は晴れてたのに、売上あんまり良くないって言ってたよ」
嫁に言われるまでもなく、今回の出店を悔やんでいた。
 
晴れてもお客さんのあまりいないフロアーで1週間イベントに出店してしまったのだ。
「明日は土曜日だからお客さん多いと思うよ」と言ってはみたものの、自分の売場にお客様が集まっている光景が浮かばない。
 
今回出店したのは、大阪の老舗百貨店の5階。ミセスの婦人服売場の一角のイベントスペースに、期間限定ショップとして1週間。自社ブランドのブラウスやカットソーとこのイベントのために仕入れたスカートとパンツをコーディネイト提案するショップ。
百貨店の器に商品を陳列すると、自社商品が輝いてみえ、とても売れそうな雰囲気を醸し出している。オープン前の準備では心が躍っていた。元百貨店マンとしての血が騒いだ。
 
僕1人で運営している会社には、販売スタップがいない。
この1週間のために、だれもが知っている百貨店ブランドで店長を経て、独立した社長に販売員の派遣をお願すると、社長自らも店頭に立ってくれることになった。
そんじょそこらの販売員さんには無いエレガントなオーラを放ち、接客されたお客様が自然と財布が開いているという技量は圧巻。販売体制としては完璧な布陣でイベントをスタートさせた。
 
ところが、ふたを開けてびっくり。フロアーにお客様がいないのだ。
開店直後少ないのは、5階なので納得できるが、昼食から夕方にかけて本来お客様が増える時間帯も閑散としている。
 
僕の経歴は百貨店勤務18年を経て2011年に独立。通常は自社サイトのオンラインショップを運営し、自社ブランドを中心に40代〜50代のお客様に婦人服を販売している。それと、数社のアパレルに向けて、ニット商品を企画提案し、受注した数量を生産し納品するOEMという仕事もしている。
 
経験上、悪くはない場所でのイベントと判断し、出店した。でも、その判断の根拠は7年も前の感覚だということに今更ながら気がついた。
時代は流れている、もう百貨店に輝きはないのか?
 
「やばい!お客様は少ないのは聞いている。でもこの店は外国人観光客でにぎわい、東京の系列店をしのいでグループNo1の売上を達成する店のはず!」
 
外国のお客様は多い、しかし、5階フロアーには上がってきていなかった。そうか、にぎわっているフロアーとそうでないフロアーの差がはげしいのだ。売上は低層階でたたいているのだ。
 
そんな分析はどうでも良い。
 
ある程度のボリュームのお客様がフロアーにいないと、接客機会も無い。
お客様の来店が少ないのは致命的だ。
こんなに少ないお客様でみんな良くやっているなあ!
でも、まわりのブランドを気にしている場合じゃない。
 
あああ、やってしまった!
これでは大赤字だ。
逃げ出したい。お客様がいないフロアーで悶々としていたが、もう一人の自分がささやいた。
「楽しめば良い!」
 
誰もが百貨店のイベントを開催出来る訳ではない。
それに、百貨店が今でも大好きだ。
自分の出身の会社ではなく、他社から出店要請がきたのだ。
誇らしいではないか!
出店にはいろいろな経費がかかっているが、
僕自身、お金を払ってでも、もう一度百貨店で接客販売したいと思っていた。
 
「楽しもう!」
男の僕も昔のように販売することにした。
 
雇っている販売員さんのじゃまにならないよう、フロアーを歩くお客様の様子を伺いながら、自社商品に興味がありそうなお客様に、アプローチを繰り返した。
 
自分の売場でお客様が目を留めるポイントは数カ所ある、そこにニコニコしながら、何やら楽しいっていうオーラを出す。
商品を手にとっても、すぐにはお声をかけない。
お客様は商品を触っている時間が長ければ長いほど、買いたくなく気持ちが高まるってことは経験知。
 
「これ試着していい?」
ぱっと見た感じの印象は、試着したら、小さいと言われてしまうかも?と思いつつ、
「もちろんです。ご試着室はこちらです」といってフィッティングルームにご案内する。
「このパンツ、はけたわ!」といって、笑顔で出てこられる。
出てこられたということは、気に入っているということ。
なので、その瞬間に通る声で、
「とても素敵です!」
ここからは、本気モードだ。関連商品をオススメ。
自社の売れ筋のカットソーをご提案、試着したパンツのまま、カットソーを試着してもらう。
「今までに無い感じで良いわ」って、再度フィッティングルームから出てこられる。
本気の本気で、さらに、麻素材のレモン柄のストールを彼女に巻くかのように巻き付ける。そして何も言わない。
お客様は、ストールを両手にとり、結んだり、横を向いたり、後ろ姿を鏡越しにみたり。ぼくはニコニコ笑顔で質問まち。
ここで、クロージング。
「素敵なスタイルができあがりましたね!」
「若すぎない?」
「とってもお似合いです!カッコいいです!」
嬉しそうに鏡を見つつ、何も言わずフィッティングルームに戻るお客様。
 
「3点ともいただくわ!」
お客様が少ない中、売上を上げるにはセット販売が大事。でも簡単にはそうならない。
接客を楽しもう!と思って、楽しんでいた。お客様にその楽しさが伝わったのかもしれない。
 
売ろうと思うほどに売れない。お客さまを楽しませようと思うのも違う。
販売を楽しんでいることにお客様が共振するから、お買い物が楽しくなる。
 
ある販売員さんは、「生きてる実感が得られるから、販売が好き」という。
僕も販売が大好きだ。その喜びは、計り知れない。
 
そんな興奮状態のあと、悪魔のささやき。
「来月も1週間イベントに出ていただいたいのですが?」
百貨店のバイヤーに言われてしまった。
「売上でお役に立ててませんが、ぜひ出店させてください!」
調子にのって、採算度外視で受けてしまった。
 
「ちゃんとやらなきゃ意味ないよ!」もう一人の自分がささやいた。
「すぐに嫁に報告するのはやめよう!」素の自分がつぶやいた。

***

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2018-06-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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