メディアグランプリ

雨の日にはレインブーツを


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:卯月そら(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「うわ、今日は午後から雨だ。しかも夜は相当降るって……」
今日の夜は、天狼院でのゼミの日だ。
雨が降ると移動が大変なんだよね。傘をさしても足元もバックも濡れるし。濡れた足のまま講義を受けるのも気持ち悪いなー。
ああ、どうしようかな。めんどくさいから休んじゃおうかな。
 
心の中で行きたくないという自分と、行かなきゃという自分が戦っている。
いやいや、雨だからって会社を休んだりしないよね。これは、会社じゃないけど雨だからって行かないのはダメだよね。
 
でもなぜ、雨だと外に出るのが億劫なんだろう。ちょっと私は考えた。
 
そうだ、たぶん足元が濡れるからだ。
私は、雨の日に外を歩いて靴が湿って、足が冷たくなるのが嫌なのだ。おまけに大雨だと靴の中に水が入って、室内に入ってもなかなか乾かない。
最悪だ。
こんな気持ち悪い状態がずっと続くなんて。
 
私はしばらく考えた。なにかいい方法はないかと。
そして、レインブーツを履いて出かけることにした。買っておいたものの、なかなか私の生活に登場しないレインブーツ。大雨だからって、会社にはなかなか履いていけない。休みの日のお出かけは、雨に濡れないところに予定変更だし。
 
このレインシューズは、私が東京に転勤してきたばかりの頃、一足先に東京に異動した後輩に、「東京はものすごい雨が降ることがあるから、絶対に長靴を買っといたほうがいいですよ!」といわれて、購入したものだ。長靴を買うのなんて子供の頃以来だ。デパートのレインシューズ売り場で、ちょっとおしゃれなブーツをみつけて購入した。これだったら雨の日の普通のお出かけにも使える。そう思って、結構気に入って購入したのだが、なかなか使う機会はなかった。
 
いよいよ、レインブーツの出番だ。今日は、これをはいてゼミに行こう!
ブーツにインできる細身のパンツに履き替えて、持ち物をビニールコーティングされたバックに詰め替える。そして、シューズボックスの奥のほうから靴を玄関に引っ張り出した。履くのはちょっと大変だけど、何とかレインブーツの中に足が収まった。
 
いざ、出発!
家から最寄りの駅まではすぐ近くだ。それなのに、駅のホームに立ったとき傘からすでに水滴がいくつも垂れていた。電車を乗り継いて池袋の駅に到着する。駅の外にでると、家を出た時より強く雨が降っている。
私は、思い切って勢いよく傘を開いて雨の中を歩き始めた。
レインブーツだから、足元は安心だ。足元さえ濡れなければ、上半身の雨は傘でよければいい。駅からちょっと遠い道のりを、私は、晴れの日と同じように大股で歩き始めた。水がはねても、大きい水たまりがあっても、レインブーツだからよけたり遠回りしたりしなくてもいい。
 
こうして歩いていると子どものころを思い出す。あのころは、雨の日に外を歩くのが嫌いじゃなかった。きっと雨の日はいつも長靴をはいて出かけていたからだ。長靴をはくとうれしくて、わざわざ水たまりの中を進んだり、道路の端から水が噴き出ているところを選んで歩いたりしたものだ。
 
あれ? 
今もレインブーツをはくと同じ気持ちになるんだ。私は歩きながふいにそう思った。
何だか雨の中を歩いていくのが楽しい。目の前に唐突に現れる水たまりすらも楽しくて仕方ない。私は人通りの多い道で何人も追い抜いた。足は地面の水を蹴散らして、軽やかだった。
そうして、雨の日の道のりを楽しんでいるうちに目的地に到着した。入り口にたくさんの傘が立てかけてある。
ああ、こんな雨の日でもみんなちゃんとここまで歩いてくるんだ。そう思いながら、私も水滴が大量に滴り落ちる傘をそこにおいて中に入った。
気がつくとバックとブラウスの下のほうは濡れている。でも、靴の中の靴下は濡れてない。
これだけでも、十分快適だ。私は2時間の講義に耳を傾けながら、やっぱり来てよかったと思った。
 
講義が終わって外に出る。
来るときにあんなに降っていた雨が嘘のように上がっていた。
私は、ちょっと残念に思った。久々にはいたレインブーツを、もう少し雨で楽しみたかった。
雨は、さっき上がったばかりのようで、帰り道にはまだたくさん水たまりがあった。私はその中をじゃぶじゃぶ進み、長靴の感触を楽しんだ。小さいころを思い出しながら。
傘をささずにすんだ分、駅にはずいぶん早くたどり着いた。
「ああ、もう着いちゃった」
家を出るまで行くかどうか悩んでいたのが嘘のようだ。
 
さて。
何かひとつ嫌なことがあるとき。
その原因を考えてみる。
そしてその原因を少しでも軽くすることを考えてみる。そうすると、嫌なことが少し嫌なことでなくなる。
私は、雨の日の外出が嫌いだった。それはどうして?
考えてみると、足元が濡れるのが嫌だったからだ。
でも、レインブーツという魔法の小道具で解消されたのだ。
 
きっと雨の日に、いつでもレインブーツをはいて外出できるわけではない。でも、嫌な気持ちの解決方法はみつけた。おまけに、水たまりの中を歩くというお楽しみも一緒に。
 
これから、嫌なことにぶちあたったら、一度考えてみよう。
「なぜそれが嫌なのか」を。
そうすれば、きっと人生が少し楽になっていく。

 
 
***

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2018-06-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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