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プロフェッショナル・ゼミ

私の人生を変えた「450円の駐車料金を払うか、それとも1300円の買い物をするか」問題《プロフェッショナル・ゼミ》


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記事:島田弘(プロフェッショナル・ゼミ)

 
 
「島田くん、まずは1000冊読もうか」
 
当時、ビジネスを教えていただいていた有名な経営コンサルタントからのアドバイスだ。
 
確か私が30歳、東京表参道のカフェでのことだった。
 
小さい頃から全く本を読んでこなかった私。
それまでに読んできた本といえば、小中学生のときに読書感想文のために読んだ本、大学受験の時に要領良く勉強できるようになるための本、大学に入ってから読まなければならなくて読んだ本、あとは東京ウォーカーや週間SPA、趣味の自転車の雑誌くらいのものだ。
 
マンガも読んでこなかった。これまでの人生で週刊少年ジャンプをはじめ、マンガ雑誌を一度も購入したことがない私だ。
 
そんな私が29歳の時に、読書をするようになった。
 
その当時、私はマウンテンバイクにハマっていて、毎月20日に発売される自転車雑誌の3誌をいつもその日にファッションビル内にある書店で購入していた。3誌の中の1つは、売れ行きが良くないのか毎月1冊しか入荷しなかった。その1冊を私が発売日に購入するというのが書店と私の間での暗黙の了解になっていた。
 
その日もいつも通り買いにいくと様子がおかしい。そう、1冊しか入荷しない「それ」が見つからないのだ。誰かが先に買ってしまったのである。とりあえず2誌を手にとった私には、1つの問題が与えられていた。
 
「450円の駐車料金を払うか、それとも1300円の買い物をするか」という駐車料金問題である。
 
このファッションビルは、3,000円以上の買い物をしないと、30分あたり450円の駐車料金が発生するのだ。ちなみに3,000円以上購入すると駐車料金は2時間無料だ。いつものように自転車雑誌3誌を購入できていたら、3,000円をクリアするのだが、今日は違う。あと1,300円買わないと、450円を払うことになるのだ。
 
ケチというのか貧乏性というのか、私はこの450円を支払うことがどうしてもイヤだった。
 
ということは、私に残された選択肢は1つ。他に購入するものを探し始めた。
 
買いたいものがないのに、広い書店をうろつく怪しい男だったと思う。気づけば、普段は絶対に行かないビジネス書のコーナーに入っていた。後で知った言葉だが、そこにはベストセラーや新刊などが積み上がっている「島」があった。その島をなんとなく見ていると、1ヶ所だけ本がなくなっているところがあった。
 
よく見ると、1冊だけ残っていた。
「この本、売れているんだろうなぁ」と思いながら中身を読み始めたら、これが面白い。値段を見たら、なんと1300円だ!
 
「これは、この本を買えってことでしょ」と解釈をして、人生で初めて自己啓発本というのか、ビジネス書を手に取った。『非常識な成功法則』という本である。駐車場が2時間無料になったのもあり、そのままファッションビル内のスタバに直行して自転車雑誌ではなくこの本を読み始めた。
 
読み終えてすぐに、私は電話をした。
 
「入会したいのですが」
 
著者が主宰されている「顧客獲得実践会」に入ってしまった。
 
学習塾講師のフリーターをしながらフリーランスのパーソナルトレーナーをしていた当時の私に役に立つかどうかは全く分からなかった。今でもなぜこの会に入会したのかちゃんと説明できない自分がいる。勢いというのか。入らない理由を見つけることができなかったのだ。
 
この決断、この会に入会したという行動が私の人生を大きく変えることになるとは、全く予想していなかった。
 
この本の著者である神田昌典さんの本を全部購入して読んだ。神田さんがオススメしている本も読んだ。そして実践会から送られてくる毎月のレポートも読んだ。
 
実践会には、コンサルタント、寿司屋、干物屋、サプリメント販売、工務店、整体院などなど、様々な業種の方が入会されていた。
中でも借金1億円からの大逆転をされた工務店社長のHさんはダントツの行動力で結果を出していて、私の中でのヒーローだった。
その証拠に、塾講師のフリーターである私がなぜかHさんが販売していた工務店向けのマニュアルなどを購入していたほどファンだった。
 
 
少しではあるが本を読むようになり、半年ほどで50冊ほど読んだと思う。
 
そのころに、「島田くん、まずは1000冊読もうか」と言われたのだ。
 
「はい」と答えたのはいいが、冷静に考えると大変なことである。
 
1日1冊読んだとして1000日、約3年。せっかちな私は、1年で読もうと決意。つまり、1日3冊だ。金はないが時間はあったのでやれるはずと思った。電車での移動時間が合計で4時間を超えるような日が多かったので、その時間は読書と決めた。深夜2時までやっているスタバに毎日のようにお世話にもなった。
 
時間の問題はクリアできたが、お金の問題をどうするか。1冊1,500円として計算すると150万円だ。私の年収は200万円台。本代に150万円は無理だ。さてどうするか。答えは簡単に見つかったのである。
 
「古本屋さんを利用すればいいじゃないか!」
 
最寄駅の駅前にあったブックオフと家から原チャリで10分の範囲にあるブックオフ、計4店舗の100円コーナーが私の「いきつけ」となった。そして本を買うときは、「棚のここからここまで」という感じにした。読みたそうな本が多そうな棚だけど、興味のなさそうなものも含まれている。こうすることで「偏り」を防ごうと考えたのである。
 
毎回20冊ほど購入したので、1週間で読み切る感じだ。さらに良さそうな本があればどんどん購入していたので、家には本が積み上がっていった。
 
この頃、私のリュックは異常に重かった。常に4、5冊の本が入っているようになったからだ。本が入っていないと不安になる自分に気づき、思わず笑ってしまったことを覚えている。本なんて全く読まなかった自分が本なしでは生きられないなんて。
 
 
1年経ったある日、1000冊を読み終えたことを報告した。
 
「何かわかった?」
「仕掛ける側の意図がわかるようになったと思います」
「ちゃんと読んでるね」
 
以上である。
 
「えっ、まさか、これだけ?????」
 
これだけだった。
いただけたコメントは本当にこれだけ。
 
しかし、私が得たものはとてもたくさんあったのだ。
代表的なものを上げれば、
・読書の習慣が身についた
・色々な知識を得た
・フリーランスのパーソナルトレーナーとして1000万円を稼げるようになった
などがそうだ。
 
1000冊の本を購入するのに使った金額は、新刊を買ったり、500円くらいの古本を買ったりもしたので、1冊平均が300円だったとしても30万円である。
30万円と1年間という時間で、それ以降毎年1000万円以上を稼げるようになれた。読書とはなんて効率の良い投資なのだろうか。もちろん読んだだけではなく、それを実践して、自分の血となり肉となるようにすることが重要なことは言うまでもない。
 
習慣とはすごいもので、あの日以来16年間にわたり私の読書は続いている。
 
この記事のタイトルに「人生を変えた」と書いた。どう変わったのかというと、こんな感じだ。
 
・2冊出版をし、2冊とも重版になった
・雑誌の取材依頼、記事の依頼、監修の依頼は30件以上もらった
・出版をしている先生方と一緒にセミナーをするようになった
・大学や大学院で講義をお願いされるようになった
・東京大学の病院の先生方に指導をするようになった
などなど。
 
あの日以前の私からしたら、1ミリも想像していない現実である。
 
あの日手にした1冊の本。その中に入っていたハガキを見て入会した実戦会。その10年後、まさかその実戦会を主宰していた神田昌典さんと同じ空間で仕事をしたり、居酒屋で飲んだりすることになるなんて、やっぱり想像できなかった。
 
そしてもう1つ想像できなかったことが現実となっている。
 
今、私のビジネスの先生はあの工務店社長のHさん、私のヒーローその人なのである。
 
あの日450円の駐車料金をケチってから、私の人生は絶好調みたいだ。
 

 
***

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