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メディアグランプリ

突然現れたイケメンキャンプギア


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:久保田真凡(ライティングゼミ 平日コース)
 
 
「ちょとだけ焼きたくない?」
 
ファミリーキャンプ当日の朝、車に荷物を積み込む夫が、いつも私に言ってくる言葉だ。
 
「そんな夕飯食べられるかなー?」
「いや、子どもが寝てからやで。お酒飲みながら、ちょっと焼く程度」
「でもいっつも疲れ切って子どもと一緒に寝てしまうやん、その為に荷物増やすん大変じゃない?」
「まぁそうなんやけど……」
 
お決まりのやりとり。
私たち夫婦は、いつもキャンプになると「七輪を持って行くか否か」について話している。
 
娘5歳、息子3歳は、まだその年齢から、そんなに肉は食べられない。
夫38歳、私35歳は、もう若い時ほど肉を食べられなくなった。
 
昨年夫が
「BBQコンロはもう手放す? いつもそこまで食べんし、七輪あれば十分でしょ」
と言い始め、特に異論もなかったので、BBQコンロは手放した。今はキャンプでは、カセットコンロかダッチオーブンを使った料理がほとんどだ。
直ぐに点火するカセットコンロはお腹を空かせた子どもが待つ必要がなく、ほったらかしで美味しく作れるダッチオーブンは子どもと遊ぶ時間が確保できるので、どちらも子連れキャンプにはちょうどいい。
 
でも、本当は、私はちょっとだけ焼きたい。
 
夫の提案を、あれこれ理由を連ねて却下しているにもかかわらず、ちょっとだけ焼きたいのだ。炭で焼いたイカや貝を酒の肴に、夫としっぽりやりたい。子どもが寝静まった後の、つかの間の夫婦キャンプを。
キャンプの度に、夫が私に提案している「それ」をやりたかった。
 
しかし実際のところ、子どもとのキャンプはそれなりに体力を消耗し、夜も9時過ぎには一緒に寝落ちしてしまうことが大半である。せっかく持っていた七輪を使わないで、持って帰るのはナンセンスだ。荷物も極力減らしたい。
仮にやるとしても、つかの間のお楽しみなので、準備と片付けはできるだけスマートにしたい。そんなことを天秤にかけて、いつも私は断念していた。
 
そんな私に、つい先日救世主が現れた。
それは私が本職とは別に少しだけ関わっている、ビアスタンドのミーティングでの出来事だった。
 
「今日のミーティングの後半にこれ使ってみたいんですけど。BBQメニュー始めるにあたって、試しにどんなものかと思って…」
いつもミーティングを進行してくれるスタッフが手にしていたものはダンボールの色をしたA4サイズのコピー用紙の束より少し大きめの箱みたいなものだった。
 
「それ何?」
私は聞いた。
 
「クラフトグリルです。」
 
クラフトグリルとはBBQで利用される、1回使い切りのインスタントグリルのことである。着火が早く、使い捨てなので片付けの手間がなく、その手軽さが売りだ。
定期的に行くキャンプでも、使っている人を見かけることはあり、気にはなっていたが、インスタントグリルは火力が弱いという話も聞いていたので、「インスタントは所詮インスタント」と、手を出すほどの興味はなかった。
 
が、このクラフトグリルは色々優秀すぎた。私のインスタントグリルに対する期待値が低かったのもあるが、それにしても優秀すぎたのだ。
 
まずは、そのコンパクトさ。A4のコピー用紙500枚の束より一回り大きめで、成人女性の私が片手で持てる軽さだ。BBQコンロに比べると、随分小さいが、私たちが「ちょっと焼く」には十分な大きさだった。しかもトートバッグに入れて持ち歩けるサイズ感は、仮にそれを使わなかったとしても、持ち帰るのになんらストレスには感じない。
次に、着火の速さ。グリルの四隅に点火してから約5分、あっという間に着火が完了する。お腹が空いたら待てない小さい子どもを持つ身としては、この速さはありがたい。点火後、炭を触ることなく、ほったらかしで着火するので、手が空く点でも助かる。
そして、片付け。このクラフトグリルは100%天然素材でできている。網は竹製だ。消火後はまとめて燃えるゴミか、焚き火で燃やしきっても構わない。しっぽりタイムの片付けのこの手軽さは有り難い。できれば翌日に片付けは持ち越したくないからだ。
 
このあたりは他のインスタントグリルにも備わっている部分であるが、何よりこのクラフトグリルで私が一番感動したのは、その火力だった。
 
インスタントグリルは火力が弱いイメージだったが、このクラフトグリルは火力も強く、しかも安定した火力を保てた。かと言って、火が燃え上がることはないので、煙もそんなに出ない。使う者の気持ちが十分に配慮されている。
この日は魚介を焼いたのだが、熱こそ感じるものの、見た目では火が付いてるのか付いてないのか良く分からない竹網の上で、サザエがこんなに美味しく焼けるとは驚きだった。
 
「すごいですね、これ。どこの企業が作ってるんですか?」
私は聞いた。
 
「デンマークの会社です。デンマークはエコも進んでて……全部捨てられるなんてすごいですよね。」
スタッフが私に言った。
 
このエコさ、気軽さ、コンパクトさはキャンプに限らず、自宅での外ご飯、男手のいないママ友だけの集まり、私と子ども2人でのおでかけ、いろんなところで使える。クラフトグリルは、私の「ちょっと焼きたい」に付随する全ての不安を取り除き、インスタントグリルに対する先入観を取り除いてくれた。きっと夫も気に入るに違いない。
 
「グッジョブ!デンマーク!」
私は心の中でそう叫んだ。
 
その晩、私は夫に言った。
「今度のキャンプはちょっと焼こうか」
クラフトグリルの優秀さを私にプレゼンされた夫が、その提案を受け入れたのは言うまでもない。私たちはクラフトグリルで何を焼くか、少しの会話とお酒を楽しんだ。
次回キャンプが楽しみでしかたがない。
 
 
 
 
***
 
 
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2019-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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