メディアグランプリ

プロはなんでも知っている


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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大畑朋子:8月ライティング・ゼミ
 
「これ、なんだか知っている?」
 
そう聞かれたのは、あるブランドの椅子だった。知り合いのフォトグラファーが、ある企業の新しいオフィスの公開パーティーに呼ばれ、オフィス撮影の仕事を兼ねて参加した。一人だけならそのパーティーに連れて行くことができると言われ、私もそのフォトグラファーとともに参加した。
 
オフィスを撮影しながらも、置かれた椅子や壁にかかった絵を指し、「あれは〇〇ブランドのものだね」「あれは有名なアーティストさんが作った作品だ」と次々に誰が作ったものなのかを私に説明していった。挙句の果てには、窓から見える鉄道についての解説が始まり、彼の知識の豊富さには舌を巻いた。
 
「なんでそんなに、いろんなことを知っているんですか?」
 
思わず彼にそう聞いてしまった。ところが彼は、なんてこともないと言わんばかりの顔をして、
 
「別に僕はそんな物知りなんかじゃない。知らないことは全く語れないしね」
 
とサラリとかわされてしまった。それでも私はなぜ彼がそんなに物知りなのか気になって、ずっと仮説を立てて考えていた。
 
あるとき、彼と一緒に働いている同僚のフォトグラファーと一緒にご飯を食べることになった。その同僚は、ふとメニューを見ながら、こんなことを言った。
 
「技術が優れているフォトグラファーは、世の中たくさんいると思うんだよね。だけど、その中でも、売れている人と売れていない人の差が必ず存在するんだよ。それはなぜと思う?」
 
なぜだろう?自分の頭の中にある知識を引っ張り出して、一生懸命に考えてみた。
 
「例えば、君はある企業の社長さんだったとする。プロフィール写真の撮影をフォトグラファーにお願いしたとき、どんな対応をされたらハッとする?もし、ふと「その時計、〇〇のものですね。スーツの袖から見えるラインが素敵です。今日、お召しになっているスーツにとてもお似合いですね」なんて言われたら、この人わかっている人だなと感じるよね」
 
そんなことを同僚のフォトグラファーは話し始めた。
 
「技術が上手い人はいくらでもいるけれど、仕事の依頼が来るか来ないかは、依頼してきた人の世界観や世の中のことをどれだけ詳しく知っているかで差がつくんだよ。現に、うちの会社は9割方がリピーターのお客様で成り立っている。特別に技術が優れているわけではないけれど、お客様とのコミュニケーションのやりとりで、ファンを作っている。だから、技術を高めることも大事だけど、それよりはるかに一つ一つの物事の背景を理解したり、自分で語れる体験談を増やすことの方がよほど重要だよ」
 
そう語りながら、眺めていたメニュー表を私に回した。
 
その話を聞いて、パーティーに一緒に参加したフォトグラファーの彼が、なぜ物知りなのか、謎が少し解けた気がした。写真だけの勝負であれば、確かに彼よりもうまい人はいくらでもいる。だから当然、上手な写真を撮って欲しければ、もっと技術のレベルが高い人に頼めば良い。彼はたぶん、技術的には他の優秀なフォトグラファーに勝てないことを知っている。だからこそ、幅広い知識で、差別化を測っているのだ。
 
何しろこの間会った時、
「先日、若い人と音楽の話をしたんだけど、全然わからなかったんだよね。だから最近、若い人が聞いている曲を家でずっと流しているんだ」
と言い放って、一日中、撮影のスタジオであいみょんの曲をかけていた。おかげさまで、次の日も私の頭の中で、ずっとあいみょんの曲が流れ続けていた。
 
ありとあらゆるプロは、幅広い知識に精通しているのではないだろうか。優れたデザイナーは、自分がデザインしたものに対して全て理由が説明できる。なぜこの色を選んだのか、なぜこのフォントを用いたのか、なぜWEBサイトではなくポスターで広告を打ち出すことを決めたのか。それらを説明できる理由は、一つ一つの要素を歴史を遡って理解しているからである。
 
優れたライターもまた、文章だけがうまくてはプロのライターではない。書いた記事の内容を理解しているだけでなく、専門分野に関して精通している必要がある。
 
プロがプロであり続けるためには、日々学び続けなければならない。そのためには、疑問に思ったこと、新しく出会ったことは一つ一つ調べていく必要がある。地道な知識や経験の積み上げ積み重ねが、本物のプロを作り上げるのだ。
 
 
 
 
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2019-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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