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ライティング・ラボ

なぜ人はコメダ珈琲に行くのか?〜 コメダ珈琲と見知らぬ老女とリラックマと私 〜


記事:小田恵美子(ライティングラボ)

米田コーヒー

先日、近所に名古屋スタイルの喫茶店として有名なコメダ珈琲が開店した。

その時の私の思考は以下である。

あら、東京のこんなところにも、コメダ珈琲が出店したんだ?

コメダって行ったことないけど、あれでしょ?デニッシュの上にソフトクリームが乗ってるやつ(シロノワール)が有名なとこでしょ?

試しに一回行ってみよう

あらー。ちょっと高いじゃないですか・・・

でも照明が明るくていい感じ。しかも1人で行ったのに4人用の席に案内されて机が広くて読書がしやすい

また時々来ようじゃないですか・・・

実際、その後も時々“なんとなくコメダ気分”な時に来店している。

さて、本日も、“なんとなくコメダ気分”だった。しかし折悪しく結構な混み具合。私の前に3組ほど待っている客がいた。

店を変えるか? どうしようか? と悩んでいるとさらに新たな客、来店。80代くらいの男性と女性の組み合わせだった。都合4組の客が狭い待合スペースでひしめき合っている状況の中、新たに加わったその見知らぬ80代女性、なぜか私に話しかけてきた。曰く、

「あら、また混んでるわ・・・。ちょっと、あなた。今日私は、この店が何故どこも満員なのかを調べに来たの。前回きた時は、懐かしくていいお味のするコーヒーだと思った。だけど、メニューを見たら、結構いいお値段じゃない。なのに、何故あなた、このお店でコーヒーを飲もうとするの? ここは他のコーヒー屋さんと何が違うのか教えて頂戴」

好奇心旺盛なる見知らぬ老女にいきなり高度なマーケティング議論を振られ、正直、焦った。

反射的に他の待ち客に助けを求めるように視線を移すと、皆さりげなく視線を逸らす。東京の人間、冷たい。

左様な次第で成り行き上、「なぜコメダに客が来るのか?」を解説することになってしまった。(ちなみに「話でき過ぎ。お前、盛ってるやろ?」と思われるかもしれないが、上記の会話は、100%ノンフィクションである)。

その間もガンガン客が来店し、空席待ちの人数が増えていく。これがさらに老女の好奇心を

刺激する。つまり、いくら解説しても納得してくれない。恐らく10分以上は、似非マーケティング即興講義をしただろうか。

私のしどろもどろの解説に納得したからとはちょっと考え難いが、結局その80代の男女は入店せずに帰って行った。しかし今度は逆に、10分間しゃべりっぱなしの私のほうが自分の説明に納得がいかなくなってしまった。このため、入店して1時間くらい店内の客層をリサーチし、店員にサービス内容を確認し、メニューを検討し、最後にコメダのサイトを見て、マインドマップに「人はなぜコメダに来るのか・何を求めているのか」を(単に自分が納得するためだけに)まとめる破目になった。

大学のレポートを書きに来たというのに、一体何をやっているのであろうか。

ともあれ、以下、その時考えたことの要点を記す。

★仮説

○コメダ珈琲は、一人客の来店が多い(特に男性)。30代以上の、比較的お金を喫茶代に自由に使える層が、ゆったり落ち着いて作業や読書などをしたいと思って来る場所ではないか?

○しかし、こういう客が来店すると、滞在時間が延び、回転率は落ちる。商品単価が高いのは、そのせいであろう。

★人は何故コメダ珈琲に来店するのか

○入り口正面に雑誌や新聞が置いてあるレイアウト。これはつまり「長居してもいいですよ」という無言のメッセージである。

○布のおしぼり、しっかり作られた食事メニュー(確かに高いが、注文した品を食べ終わった後「この値段でこれか」と思ったことはない品質)は、古き良き喫茶店の名残を残す。保守的・かつ経済的に余裕のある客層を意識していると思われる。

○1人当たりに与えられる座席エリアが広く、他の席との距離も広い。周囲の席の会話が殆ど気にならない。4人用の席に4人で座っている客は1客のみ。あとは1名・2名で4人掛けの席が占拠されている。

○4人掛けの席に1人で座れるということは、テーブルも広いということ。つまりワークスペースが大きく、作業がしやすい。

○来店している客の内訳はどうなっているのか。

1人客・・・8人 (女性2、男性6。ともに30代~40代。全員、普段着で何らかの作業や読書をしている)

2人客・・・9組 (男性のみ又は女性のみの2人客が6組、男女のカップルが2組。20~60代)

3人客・・・2組 (男1と女2人の組み合わせと、女性のみ3人の組み合わせ)

4人客・・・1組(70代の女性1、30代の女性1、30代の男性2、幼児2の家族連れ。コメダ

では、個人的にあまり見たことのない客種。70代の女性が1人でずっとしゃべっている。他のメンバーは聞き役に徹していた)

★結論

○コメダ珈琲は、サードプレイスにお金を払う余裕がある「日本人の、精神的にも年齢的にも大人な客」がゆっくりと話をしに来るところ・又は読書などプライベートな作業をしに来るところである。

○若くてお金がない10代~20代の高校生~大学生が「ダベリに行く」のはマックをはじめとしたファーストフード店であり、バリバリのサラリーマン・キャリアウーマン・ノマド達がマックのパソコンでPCによるビジネス作業をしにいくのは主にスターバックスなどのカフェである。

○このどちらにも属さない大人の男女が、気取らず自然体で日常的なことをしにくるのが、コメダ珈琲である。現に、ほとんどの客が普段着であった(男性1人客は特にこの傾向が強い)。

○年齢やや高め(20代後半~40代)で、安定期の雰囲気を醸し出しているカップルが圧倒的に多かったのも、その証左であろう。

○つまりコメダ珈琲とは、経済的に比較的余裕のある「日本人の、大人」がリラックスしに来るところである。

・・・という結論に至って、ふと、あるキャラクターが思い浮かんだ。

もし、コメダ珈琲がキャラクターとコラボするとしたら、ミッキーでもなく、ハローキティでもなくポケモンでもジバニャンでもなく、彼しかあり得ない。

そのキャラクターとは誰か?リラックマである。

そう思って改めて見ると、コメダ珈琲の店内の色調も、リラックマと同じである。もしコメダ珈琲のあかがね色のビロード風ソファにリラックマのぬいぐるみが置いてあっても、違和感を受ける客はあまりいないのではないか(ちょっと想像してみていただきたい)。

というわけで、改めてまとめると・・・。

コメダ珈琲とは、サードプレイスにお金を払う余裕がある「日本人の、大人」が程良くだらだらリラックス、つまりリラックマになりに来るところである。もはや、それ以外、あり得ない。

 

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2015-01-12 | Posted in ライティング・ラボ, 記事

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