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何事も、表と裏


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記事:後藤 愛美(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
「孤独」は「愛情」の裏返し。
 
この言葉は、私を救ってくれた、大切な、大切な、言葉だ。
 
昔から、孤独になることが、とても怖かった。
 
例えば、予定のない休日。
休みの日に、誰とも会わずにずっと一人で家にこもっていると、自分には友達が一人もいないんじゃないかと、不安が募ってしまう。
だから、暇な日を作らないように、必死に予定を詰め込んでは、みっちりスケジュールを見てほっとしていた。
 
もちろん、大切で、大好きな友達はたくさんいた。家族との関係性も良好だった。むしろ、自分の周りの人たちが、大好きで、仕方なかった。人にものすごく思い入れや愛情を持つことは、自分自身の良いところでもあると思っていたし、周りの人からも、そう言われていた。
 
でも、時々急に、考える。
私は友達だと思っているけど、相手はどう思っているのだろうか。
親友、と呼べる人って、自分にはどれくらいいるのだろうか。
もしいきなり家族がいなくなって一人っきりになったら、どうしよう。
 
そんなことを真剣に考えては、胸が苦しくなる。
長年付き合っていた彼氏とも、どう考えてもうまくいっていないのに、孤独になるのが怖くて、なかなかその関係性を手放すことができなかった。
 
そして私は、そんな風に孤独を怖がる自分が、とても嫌いだった。
本当は自立して、しっかりと力強く生きていきたいのに、誰かがそばにいてくれないと、不安で生きていけない。
そんな自分は、だめで、弱い人間だとずっと思っていた。
 
そんな私が考えを変えることができたのが、冒頭での一言だ。
 
昔から開発業界の仕事に興味があり、日本の民間企業からNGOに転職した。とあるNGOで、広報や資金調達の仕事をしていたが、数年働いた後、一度現場に最も近い所で働いてみたいと、カンボジアのNGOへの転職を決めた。
そんな中、より自分の状態を整えて現地に向かいたいとコーチングを受けていた時に、この言葉と出会った。
 
もちろん、カンボジアに行ってしっかり仕事ができるだろうか。現地の人の役に立てるだろうか。環境に馴染むことができるだろうか。そんな不安もあった。
 
でも、心の奥底で、私が抱えていた一番の不安は、孤独だった。
海外に行くと、絶対的に一人で過ごす時間が増える。
きっと、私はその孤独に耐えきれない。
 
それが怖くて、怖くて、当時受けていたコーチングのコーチに泣きついた。
私が思うことを全部吐き出した後に、彼女は笑顔でこう、言ってくれた。
 
「きっとね、孤独は愛情の、裏返しだと思うんだよね」
 
最初は、意味がわからなかった。
 
頭の上にはてなマークがいくつも浮かんでいる私に、コーチはゆっくり語りかけてくれた。
 
人に対してものすごく愛情深く、相手との関係性をものすごく大切にしたいと思うからこそ、それがなくなることを不安に感じてしまうと思うんだよね。
 
でもそれは、それくらい大切にしたい存在、相手がいないと、思わない。
 
孤独を感じることは、決して、だめなことでは、ない。
 
あなたにとって、それだけ関係性を大切にしたいということ。その裏返しとしての、孤独なんだと思うよ。
だから、直そうと思っても治らない。肩こりみたいなもんだね。いたわってあげないと。
 
衝撃だった。
 
自分が大切に思うからこそ、孤独を感じる。
孤独は恐い、そんな風に感じる自分はだめだと思い、そんな自分にならないように逃げ続けてきた。だからこそ、ずっと、それに追いかけ回されていた。
 
でも、それは、自分の良さの裏返しだったなんて。
その日は、あまりの衝撃に頭の中が真っ白になり、その後の会話は上の空だったことを覚えている。
 
その後、何日も掛けて、じわじわと、その言葉を自分のものにできた気がする。
 
孤独が、愛情の裏返しだと感じている今、孤独を感じても、
 
そうだよね、自分にとってはその関係性が大切だから、そう思うんだよね。
 
そんな風に、優しく自分自身に声をかけて、落ち着かせてあげることができる気がしている。
 
ずっとずっと付き合っていくものなんだなと思うと、心が軽くなり、孤独を感じる自分も、ありのままの自分の一部として、受け入れられる気がするのだ。
 
そして、カンボジアに来てから。
もちろん、まだまだ孤独を恐いと感じることもある。
再来週から長期休暇が始まるが、何をしようか、誰と過ごそうか、ものすごく不安に苛まれる時もある。そんな時は、「孤独は愛情の裏返し」その言葉を思いだす。
 
そして最近、この裏返し、というのは、孤独だけの話じゃないんだな、とも感じる。
 
思いっきり頑張りたいと思うから、頑張れないことが苦しい。
少しでも役に立ちたいと思うから、役に立てなくて悔しい。
心からできるようになりたいと思うから、できなくて悲しい。
 
きっとそう思うことは、どれも裏返しで、ものすごく強い願いがそこにあるから。
 
だからこそ、頑張れないこと、役に立てないこと、できないことは、悪いことではない。
そこに思いがなければ、何も感じないから。
 
そんな時は、また自分に声をかける。
それだけ、頑張りたいんだよね、役に立ちたいんだよね、できるようになりたいんだよね。だから、つらいんだね。
 
でも、大丈夫。その強い思いがあれば、なんとか、やっていける。
 
何事も、表と裏。
 
 
 
 
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2019-09-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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