メディアグランプリ

ぼっちご飯の孤独は、人との距離を縮めるのね。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ワタベミカ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「濃いもんが食べたい、餃子、トンカツ、ハンバーガー、ラーメン、カルボナーラ…」
今日は、1日イチゴを60粒近く真剣に食べた。朝9時から夕方6時までずっとひたすらイチゴだけを食べて真剣にむきあった。
 
これは仕事である。いろいろな苺の品種の特徴を書く仕事の依頼があり、その日に全国から18品種のイチゴが届いた。それを1つづつ写真を撮り、断面を撮り、味わい、色や形、香り、甘み、酸味、いろいろな特徴をひろいあげていくのだ。面白い仕事ではあるが、1日真剣に食べ続けると、濃いものが食べたくて我慢できない。濃いもんが食べたい!
 
仕事をなんとか無事に終え、やっと濃いものに到達できる時間がやってきた。仕事仲間に声をかけるが、
「今日は無理なんです〜」
「今日は体調が悪くて、とても濃いものは……」
断られ続け全滅。
 
これだけ断られると結構しょんぼりする。私って魅力ないんやなっと勝手に落ち込む。後で考えてみれば、ただただタイミング悪いだけやん、絶対行きたくなって言われたわけちゃうやん。てことなんだけど、やはり多少なりとも寂しい気持ちにはなる。
 
ちっちゃいな、私。
 
自転車で帰路についた。コンビニでは気が済まず、ロイヤルホストへ車を走らせ、濃い濃いと思われる、オマール海老のクリームスパゲティーとチーズがたくさん入ったサラダとカニのスープをようやくオーダー。
 
オーダーして一息ついて、周りを見渡すと、カップル、ファミリー、女子会。正月明けの金曜日、こんな日に女一人でロイヤルホストなんて、もちろん店舗に私一人。平気な顔をして、持ち合わせの本を読みながら、スマホでメーッセージを送りながら、完食!
 
腹ペコが解消されて心が平穏を取り戻した食後、この淋しい感じ、なんか虚しい感じをそのまま共有しようって思いついた。寂しさから開き直ってさらけだした。ぼっちご飯、恥ずかしい、虚しい、を皆にラインで共有してみよう。
 
そう思えた自分が結構好きだなと思った。
送信。送信。送信。
 
そうしたら、ある友人から即レスが帰ってきた。
「明日なら空いてるし、夜ご飯いこー!」
ありがたい。ああ、私、ちゃんと誘ってもらえてる。よかった。
仕事仲間からも、
「今日は一緒に行けなくて残念でした。また次回いきましょ〜!」
気遣ってくれるその気持がうれしかった。
 
翌日、会社に行って、濃いもん食べたい衝動を知っている人も知らない人もいる中、昨日の一部始終を話して、
「お腹は満たされたけど、寂しかったわ〜!」
と告白した。
 
「ははははは。そりゃ金曜の夜のファミレスですよ! 一人で行く人なんかいませんよー!」
と笑い飛ばされた。
 
「そうよね。そうよね。そやけどどうしてもそこそこに濃いもんが食べたい衝動が抑えられへんかってん」
 
昔の私は、こうはいかなかったのだ。
まず、一人でファミレスも行けたかな? 怪しい。
誰かから寂しい人と見られること、どう思われるのだろうかと気にしすぎて、自分の行動が制限されていた。
 
でも、実際、一人でファミレスに行ってご飯食べている人をみて、私は寂しい人、と思うだろうか、そんな周りのことに気づかないか、もしくは、目に入ったとしても、一人イコール寂しい人にはならない。
 
逆にそのまま感じたことをそのまま誰かと共有して、笑い飛ばすほうが健康的な寂しさのように思える。現に2人にあったかいメッセージを貰って、私はとても幸せな気持ちになれた。そんなときにこそ、逆のときには、寂しさに気づいて、ちょっと寄り添えるゆとりがあったらいいなと思える。
 
実際に寂しいという感情、虚しいという感情、ひとりぼっち、人気ないな、というような思い込みかもしれない感情なんて、2通のメッセージで吹っ飛ぶのである。
 
いいことばかりでなく、ちょっとこんな感情を出すことは恥ずかしいな、どう見られるかな、と思うようなことを共有すると、結構人との距離感が近くなるように思う。腹割って本音の話ができるようになる。
 
実際に寂しかった、ひとりぼっちだった、ということを公言する強さが、少しだけ備わったのだなと自分の成長を感じている。前はそんな自分を見せるのが恥ずかしくてできなかった。どんな人気者でも、こんな経験の1つや2つはある。誰もが少なからず、感じたことがある感情で、共感できる気持ちなのである。
 
誰かのことを羨ましく思う感情、妬みや僻み、寂しさや怒りを全く持ったことがない、真っ白な人なんていない。感じたことをさらけだして、誰かの寂しさや怒りや妬みに気づいたときに、まるっと受け入れ、そっと寄り添える人でありたいと思う。
 
そうそう、そういう時ってあるよね!
 
 
 
 
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2020-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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